劇場公開日 1974年12月21日

「今でも古びない青春映画の古典」アメリカン・グラフィティ バラージさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 今でも古びない青春映画の古典

2025年8月31日
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鑑賞方法:DVD/BD、その他、映画館

幸せ

斬新

癒される

1990年代にレンタルビデオで初めて観て、低価格再発売ビデオを買い、DVDに買い換え、2012年に午前十時の映画祭で映画館で初めて観て、今年またも午前十時の映画祭で4K版を観た。

1962年のカリフォルニア北部の小さな田舎町を舞台としたジョージ・ルーカス監督による1973年の映画で、高校を卒業し東部の大学に旅立つ若者とその仲間たちの最後の一夜を描いた青春群像劇である。その後の青春映画を塗り替えた歴史的な作品で、今となっては青春映画の古典と言っていい作品だ。公開時というか製作時からして、現在を舞台とした作品ではなく過去をノスタルジックに描いた映画だったからということもあるのかもしれないが、2025年の今になっても全く古びてないのがすごい。街で一瞬見かけただけの“夢の女”を一晩中探し回るリチャード・ドレイファスをはじめとする登場人物それぞれの恋愛エピソード、流れる数々のオールディーズ、謎のラジオDJウルフマンなど、いずれもが秀逸。ラストに登場人物の「その後(現在)」を文章で表示するエピローグも、この映画が元祖らしい。

ルーカスは有名な映画人だが、監督をしたのは実はこれを含めて3本だけ。あとはもっぱら製作総指揮とかばっかりしている。まぁ、これと『スター・ウォーズ』を監督したらもう何作ってもこれは超えられん、これ以上のものは作れんと思ったのかもしれないけど。そして今回観て初めて気付いたんだが、村上春樹のデビュー作『風の歌を聴け』は明らかにこの映画に影響を受けている……と思って調べたら、そんなのとっくの昔に大勢の人が指摘してて、村上本人もどこかで言及してたらしい。本作も『風の歌を聴け』もどっちも90年代にレンタルVHSと文庫本で初めて触れたのに、今の今まで気づかなかったとは我ながら情けない。

ま、ともかく何度観てもやっぱりいい映画だ。ドレイファスも後に監督になるロン・ハワードもハリソン・フォードもみんな若いなあ。

バラージ