「 「モーツァルトを殺した」と叫びながら自室で自殺を図るサリエリのシ...」アマデウス kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
「モーツァルトを殺した」と叫びながら自室で自殺を図るサリエリのシ...
「モーツァルトを殺した」と叫びながら自室で自殺を図るサリエリのシーンから始まった。単純な伝記のスタイルを無視した構成に思わずのめり込む一瞬だ。神父への懺悔で始まる。
イタリア人のサリエリ。天才音楽家のモーツァルトにやっと会えたけど、奇妙な性癖を持った彼には徐々に妬みと反発があった。歌姫を使われたことに対する嫉妬もあり、皇帝の意見にも追随するサリエリ。徐々に憎しみの炎も燃やし始める。皇帝の妹がマリー・アントワネットであり、幼きモーツァルトが彼女に求婚したというエピソードはあまりにも有名だ。
生活に困ったモーツァルト夫人が彼の家庭教師の職を得るため楽譜を持ってきた。それを見たサリエリは驚愕。下書きなど無いのに書き直しの無い完璧な譜面。その後様々の場面でサリエリはモーツァルトの天才を認めないわけにはいかなくなり、徐々に彼を潰してしまいたい欲求にかられてしまう。
それでも二人とも音楽家。相手を尊重する態度は立派だ。モーツァルトの父親が死んでからの暗いオペラにも圧倒され、死神のような使者を遣わせてレクイエムも書かせる。この事実がモーツァルトを死に至らしめたとは思えないけど、映画としては最高に震えがくるような場面だ。死の直前、病床にいても最後の曲をあきらめきれず、サリエリに代筆させるところは楽天的な音楽家と嫉妬心溢れる音楽家がともに芸術を高めていくような神々しさをも感じられる。
世の凡庸なる人々。神は天才を殺してしまうが、平凡な人間は生き地獄を味わわなければならないというのも真理をついているかもしれない。
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