劇場公開日 2018年7月21日

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「疾走するオートバイにシンボライズした愛欲の衝動」あの胸にもういちど Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0疾走するオートバイにシンボライズした愛欲の衝動

2021年12月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館、TV地上波

戦後イギリス映画を代表する「天国への階段」「黒水仙」「赤い靴」の名撮影監督ジャック・カーディフが演出したアラン・ドロン主演映画。これ迄にも監督作品はいくつかあるが、僅かに「長い船団」「戦争プロフェッショナル」しか観ていないし、その記憶も殆どない。愛欲に溺れる女性の性的衝動を、自然の中を疾走するオートバイにシンボライズした映像美が見所の映画で、カーディフ監督の才覚は充分汲み取れる。ただアラン・ドロンが出演するような内容ではないと思われるが、濃厚なラブシーンがあるお蔭でドロン作品では特異な存在になっていると思われる。ライダースーツを身に纏ったマリアンヌ・フェイスフルは、セクシュアルな魅力を溢れんばかりに放ち、強烈な個性を映像に遺している。驚いたのは、2007年の主演映画「やわらかい手」で還暦を迎えた中年婦人の哀愁を帯びた存在感で好演を見せたこと。こんな味わいのある演技をする女優に年を重ねたことに感動してしまった。ゴシップに事欠かない私生活の遍歴が無駄になっていないのでは、と想像する。
カーディフのビビットな映像美、ドロンの大胆な演技、フェイスフルの直情的な個性、そして生命体のようなオートバイと見せる物はある。ストーリーが至って平凡なのが残念。

Gustav