「 時計を逆に進めたいアナと、人生の大事な輪のどこかが欠如していたオ...」ANA+OTTO アナとオットー kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
時計を逆に進めたいアナと、人生の大事な輪のどこかが欠如していたオ...
時計を逆に進めたいアナと、人生の大事な輪のどこかが欠如していたオットー。ANAとOTTOという回文を名前に持つ二人がそれぞれの視点で進むストーリーがメインだ。
「偶然の連続」というアナの視点は面白く、父の死、オットーとの出会い、OTTOの名前の由来や二人のアルバロと母の出会いという偶然。そして、人生最大の偶然を求めるために北極圏の境界線のあるフィンランドの小屋を目指す。一方、オットーは人生の不完全な輪を繋げるため「偶然」を創り出そうとするのです。
「回文の名前を持つものは幸せになれる」、「燃料が切れた時は死ぬ時だよ」と印象的な言葉も多く、赤いバスにぶつかりそうになるデジャブの映像、祖父とドイツ軍パイロットの話を基本に「偶然」というものは何なのだろうと考えさせられるのだ。この映画の編集・構成自体がそうした輪廻転生の雰囲気を演出していて、ストーリーにある「生まれ変わり」というものに重みを増していた。さらに、幸せな偶然ばかりではなく、不幸な偶然も数多く経験しているところに、単なる恋愛映画ではない!と、うならせる脚本になっているのです。
細かく観ると、ここまでやるか!と思わせるほどのこだわりがある。小年時代のオットーは父の職業を知らなくて、大人になったオットーは父にパイロットになったことも住所さえ知らせなかったり、重要な場面でのタバコや新聞という細かな描写も面白い。こうして、人生の輪の表と裏がメビウスの輪のように繰り返され、最後のオットーの決断では、真ん中で二つに切り取ると繋がってしまうことを表現してるのではないかと疑ってしまうくらいだ。
唯一わからなかったのは、少年オットーが飛ばした紙飛行機に書かれていた言葉は何だったのか?ということです。それと、アナの生徒が書いた文章も・・・どちらも少年が書く文なのに、深いテーマなんでしょうね。「待ちわびた偶然よ」なのかな?