「原点かつ最恐」悪魔のいけにえ Tiny-Escobarさんの映画レビュー(感想・評価)
原点かつ最恐
今、半笑いでこのレビューを書き始めましたが、これは百回ぐらい鑑賞してようやくたどり着ける境地であり、初見だと死ぬほど怖いです。
私の文章でネタバレしてしまうのはもったいないので、未見かつホラーがお好きであれば、まずは鑑賞をオススメします。
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お昼は誰も死なないという、ホラーの安全地帯をぶち壊した映画です。
時間に関係なく、目が合えば追ってきますし、捕まれば高確率で死にます。
若者5人からすると、殺人鬼一家のお留守番がレザーフェイスというのも、実に間が悪かったと思います。(もしかしたら、ニートでいつも自宅にいるのかもしれませんが)
ただ、レザーフェイスの立場に立てば、留守番をしていたら次々と知らない人が入ってくるわけで、頑張って殺しながらも『なんなんだよぉ~』と慌てる様子は、どこか可愛いです。
殺人鬼一家の正体にしても、意外に賑やかで、ちょっとはケンカもするけど基本はハッピー。若者5人が訪れた日以外の日常を想像できる余白が、ちゃんと用意されています。
そして、このクセ強家族が揃う夕食の場面からは、画面から摂取できる狂気がカンストして面白くなってきます。久々の獲物に有頂天になる3人はなんとも嬉しそうで、思わずほっこりしそうになりますが、若者側の生き残りであるサリーがお誕生日席に座らされているのは、久々のお客さんだからではなく、これから屠られる『ごちそう』だからという、怖い要素もちゃんとあります。
最後は、殺人鬼一家と過ごした夕食の時間が恋しくなるぐらいに、ハードコアなホラーに逆戻りしますが、サリーとレザーフェイスがいよいよ対決するのかと思いきや、何も起きません。
いやマジで、逃げるだけで精一杯です。
結局、地道にスコアを決めてきたレザーフェイスのひとり勝ち。画面がブラックアウトする瞬間に恐怖の頂点を据えてくるのも、凄い演出です。
世界のどこかには、知らずに足を止めたら高確率で命を落とす道がある。
強烈な余韻を残す、名作です。