曉の出航

劇場公開日:

解説

「南極のスコット」「幸福なる種族」のジョン・ミルズと「ギニ・ピッグ」等で今売出しの新人リチャード・アッテンボローが主演する映画で、ケネス・ウーラードの舞台劇を、海軍将校から戦後映画界に転じた新顔のウィリアム・E・C・フェアチャイルドが脚色し、新進のロイ・ウォード・ベイカーが監督した。撮影は「ハムレット(1947)」のデスモンド・ディキンソン、水中撮影は特に英海軍のホッジス少佐が受けもっている。助演者は「脱走兵(1948)」のナイジェル・パトリック、「青い珊瑚礁」のジェームズ・ヘイター、「闇の人生航路」のアンドリュー・クロフォード、「四重奏」のジョージ・コール、我国には初めてのヘレン・チェリー及び新進のラナ・モリス等である。

1949年製作/97分/イギリス
原題または英題:Morning Departure
配給:英国映画協会=NCC
劇場公開日:1950年12月11日

ストーリー

イギリス海軍潜水艦トロイアン号は対潜レーダー試験のため、朝早く軍港を離れた。乗組員は午後帰港してから何をするかに気をとられているほど静かな出航だった。沖へ出た潜水艦は潜航に移った。間もなくレーダーに微かな反応があり、艦長アームストロングが潜望鏡をのぞくと、すぐ目の前に機雷が浮いていた。戦争中に投下されたものが残っていたのである。艦は急速に深度をとった。危く触雷を免れたと一安心した刹那、激しい爆音とショックが起り、艦内の電燈は消えトロイアンは九十呎の深海に沈没した。艦長は生き残った人員を集めた。総計十二名が一室に集って脱出を講じたが、脱出口はすでに浸水していた。司令塔と砲への通路から各々四名ずつ浮び上る事が出来る。海上では潜水母艦から沈没の報が発せられ、直ちに救助隊が到着した。十二名の生存者が艦内で救援の知らせを待つ間、老練な水兵ヒギンスは悠々として食事の用意をした。頭上に駆逐艦の音が聞えた。先づ最初の四名が脱出した。次に四名を出したあと、艦内全部に水を入れて最後の四名が出る計画だった。所が其時になって救命衣が破損して全部の数には足りないことが発見された。最後の四人は潜水艦が海上に引上げられるまで、もはや脱出の方法はないのだ。艦長は自分を除く七名にカルタを引かせて、次に脱出する四名の者を決めた。残ったのは艦長、マンソン少佐、ヒギンス及びスニプの四名だった。まだ年が若く、この朝美しい妻と口争いをして別れたスニプは、何ともしても先に脱出したかった。彼は狂気の様に救命衣の方へかけよったが、艦長の一撃をくらって倒れた。二度目の四人が脱出したあと、サルヴェージ船が到着して艦の引上作業が始まったが、九十呎の深海で、夜に日をついだ努力も容易に効を奏しない。マンソンは遂に死亡し、艦は太いロープで少しずつ引上げられたが、後十時間という時、荒天のためロープが切れ、再び艦は九十呎の深海へ沈んで行った。遭難以来一週間となり、すでに食糧はなく、三人の肉体は弱り果てたが、少しも動ずることなく、静かに向い合って運命を待つのだった。

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