「初めて知る史実に、作品としての評価を下せないまま鑑賞を終え…」暁の7人 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
初めて知る史実に、作品としての評価を下せないまま鑑賞を終え…
ヒトラー側近として
ゲッペルス、ゲーリング、ヒムラーらは
有名だが、
TVのドキュメンタリーを見て、
ラインハルト・ハイドリヒという
ヒトラーに次ぐ実力者と言われた人物
がいたことと、この作品が、
そんな彼の暗殺物語と知り初観賞した。
しかし、この作品はハイドリヒの人物像に
迫る作品ではなく、
主に彼の暗殺後に行われた暗殺部隊の悲劇に
ウエイトを置いた作品だった。
冒頭に“これは実話である”とあったのだが、
少し疑問に思うのは、
護衛の後続車両が、
負傷したハイドリヒが別の車で運ばれるまで
何故追い付いてこなかったのか?
ハイドリヒの部下は本当に彼を一人っきりに
して犯人を追い回しただろうか?
また、妻子のあるメンバーが仲間を裏切って
自首した不可解な行為。この作品では
家族の心配や懸賞金目当てとしたが、
犯人の仲間であることを告白するわけだから
結果はより酷いことになることは
分かりそうなものだが、
彼の自首の理由は本当なのだろうか?
これらは本当に史実なのだろうか?
納得出来る描写が無いままに終わる中、
彼は戦後に反逆罪で死刑
とエンドロールで語られたが、
彼の妻と子供はどうなったのだろうか。
この作品には、良いとか悪いだとか以前に、
このハイドリヒ暗殺事件そのものや
暗殺者グループや根絶やしにされた村の
悲惨な最後を初めて知ることの
ウエイトが重すぎて、
何かドキュメンタリーを見たような気分で
評価とまではいかないまま鑑賞を終えた。
それにしても、このタイトル、
「…7人」ではなく、「…3人」とすべき内容と
思ったが、調べてみたら、
原作通りの日本版タイトルとのこと。
想像するに、原作ではサポート部隊の5人にも
言及が多かったのだと思うが、
映画化に際しては、
“7人”との印象付けの描写も無く
違和感ばかり。
これも想像の域を出ないが、
何も無理して原作のタイトルを
踏襲しなくても、との理由だけではなく、
ヒット作「荒野の“7人”」や、
同じギルバート監督の007シリーズと
「第七の暁」の“7”という数字にこだわった
結果だったのでは、と勝手に推察したが、
実際はどうだったのだろうか。