劇場公開日 1975年11月1日

「女性監督の感性と厳しさが描く、ナチズムの亡霊」愛の嵐 Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5女性監督の感性と厳しさが描く、ナチズムの亡霊

2020年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

女性監督リリアーナ・カバーニの粘着力のある愛欲描写が話題になった戦後ヨーロッパが引き摺るナチズムの亡霊。ダーク・ボガードが「ベニスに死す」に迫る名演を見せる。シャーロット・ランプリングの大胆な肉体表現は「さらば美しき人」から更に進化して、女優魂と演技力を兼ね備えた女優として存在する。このような倒錯した愛のドラマを観ると、「ラストタンゴ・イン・パリ」の影響が大きいと思うが、演出の厳しさの点では遥かに上回る。ただ、ラストのふたりの決着の仕方が奇麗事に見えるのだが。愛に殉死する姿を映画的な見世物にした点で評価は少し下げる。

Gustav