「濃いキャラたちとプロヴァンス地方」愛と宿命の泉 雨音さんの映画レビュー(感想・評価)
濃いキャラたちとプロヴァンス地方
クリックして本文を読む
プロヴァンス地方のこと、そして農業のこと。よく知らないことだったのでおもしろかった。
そしてひなびた田舎風景は目にも心にも優しく、疲れない。
私は、ウゴランにとても興味を持った。幼いマノンの言うように醜いけれど、人間臭い。
ずるさと子供っぽさが同居し、頭は使うが自分の核は持っていない。したたかになりきれず戸惑いながらもズルズルといってしまう。
最後は可愛そうだった。人に振り廻されて要領が悪い人生だった。
だめなやつだと思いながらも同情してしまう。わたしたちは多かれ少なかれ、彼のように曖昧な人生を歩んでしまうのでは、と。
そんなキャラがうまく表情に出ていて、見ていて飽きなかった。
その他の俳優も、子役も含め個性的で(イヴ・モンタン、かなりカッコいい)、おまけに村の人々に至るまで、見ごたえがあった。
しかしメインの登場人物たちは個性的すぎて、私の目にはチラチラしすぎ…というか、組み合わせがしっくりこないような気がした。
フロレットが、叔父のようなしたたか男(若い頃は違ったのか?)に惚れたこと。ピュアなジャンと、ネックレスを毎日身につけるあの華やかな妻の組合わせ。その二人の子供のマノンの無口さ。インテリで気が強そうなマノンに素朴なウゴランが命を捨てるほど惚れること。そのマノンと宗教家のようなまともな教師の組み合わせ(なんだか面白くない…)。
何となくしっくりこないのは、各々が個性的すぎるせいか、人間関係がしっくりくるよう描写されいないせいか…?
原作はどんなふうになっているのだろう?
なんだかんだ言っても、観終わってからあちこち気になり、結局ほとんど観直した。
やはり見ごたえがある映画だったのだと思う。
コメントする