「【今作は悲恋映画の古典であり、天にも昇る喜びと絶望の哀しみを眼の表情で演じ分けるヴィヴィアン・リーとロバート・テイラーの姿が心に残る、戦争に翻弄された人生の哀しきジェットコースター映画である。】」哀愁 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【今作は悲恋映画の古典であり、天にも昇る喜びと絶望の哀しみを眼の表情で演じ分けるヴィヴィアン・リーとロバート・テイラーの姿が心に残る、戦争に翻弄された人生の哀しきジェットコースター映画である。】
■冒頭、1939年のウォータールー橋。哀しみの表情を湛えた一人の将校が戦地に向かう途中で、運転手に車を停めさせ、手に握る”幸運の人形”を持ち、沈痛な表情で遠くを見つめている。
シーンは変わり、第一次世界大戦中、ウォータールー橋で出会った英国軍人ロイ・クローニン(ロバート・テイラー)とバレエダンサーのマイラ・レスター(ヴィヴィアン・リー)は瞬く間に恋に落ち、結婚の約束を交わす仲になり、ロイは上長から結婚の許しを貰い、教会へ行くが15時以降の結婚は法律で認められないといわれ、婚約状態のままクローニンは戦地へ赴くのである・・。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作は、余りにも有名な悲恋の物語であるが、それを支えているのは、天にも昇る喜びと絶望の哀しみを眼の表情で演じ分けるヒロイン、マイラを演じたヴィヴィアン・リーとロバート・テイラーの姿である。
・設定も、冒頭に1939年のウォータールー橋で、マイラが残した”幸運の人形”を持ち、沈痛な表情で遠くを見つめているシーンから始まり、時を遡り第一次世界大戦中に同じウォータールー橋で出会ったロイとマイラが瞬時に恋に落ちる姿を描いているが、今作の魅力は特にヴィヴィアン・リーの弾ける様な若々しい幸せ絶頂の笑顔と、彼女特有と思っている憂いを帯びた暗い眼をした虚ろな表情のギャップの姿である。
あの演じ分けは、本当に凄い。
・物語設定も、冒頭で何かを匂わせる様な英国軍人ロイ・クローニンの表情と、その後、時を遡り、幸せの絶頂の二人から、マイラが誤報の新聞記事を読んでしまい、絶望の淵に堕ち乍ら、生きていたロイとの再会からの、その後の葛藤の表情が凄いのである。
そして、マイラはロイの家族に温かく迎えられながらも、置き手紙を残して去り、再びウォータールー橋を、フラフラと歩く姿からの、軍用トラックに飛び込むシーンと路上に投げ出された”幸運の人形”を映す哀しきショットの効果的な事・・。
<今作は、ヒロインであるバレエダンサーであったマイラが、幸福の絶頂から不幸のどん底に叩き落とされ、一時の喜びを経験するも、自らの行為を恥じて命を絶つという、まさに人生のジェットコースタームービーであり、悲恋映画の代表的古典作品である。
モノクロームの利点を最大限に活かしたライティングも併せて、後世の作品に多大なる影響を与えたる、凄い作品だと思います。>