「NO MUSIC, NO WARS. こんなめちゃくちゃな脚本、ラノベでもそう無いぞっ💦💦」アイアン・イーグル たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
NO MUSIC, NO WARS. こんなめちゃくちゃな脚本、ラノベでもそう無いぞっ💦💦
アメリカ空軍の活躍を描く航空アクション映画『アイアン・イーグル』シリーズの第1作。
米空軍パイロットのテッドは、地中海での飛行訓練中に中東のならず者国家に捕らえられてしまう。テッドの息子でパイロット志望の高校生ダグは、弱腰な態度を見せる米政府に変わり父を救い出すため、予備役軍人のチャールズに助けを求める…。
『トップガン』(1986)の大ヒットにあやかって制作されたエピゴーネン…かと思いきや、実は本作の方が公開は半年くらい早い。結果として『トップガン』の方が興行的にも知名度的にも上回っている訳だが、それに先駆けて戦闘機パイロット映画を世に送り出している事はしっかりと評価したい。
本作も『トップガン』も、空軍と海軍の違いこそあれ両方とも米軍パイロットリクルート映画である。…まぁ本作は戦闘機を盗難するという描写があるため空軍から協力を得られず、仕方なくイスラエルに手を貸して貰っている訳だが。
『トップガン』も無茶苦茶な映画だが、それでも一応主人公は軍人である。しかし、本作の主人公はまさかの高校を卒業したばかりの一般人。それが中東の軍事国家に1人で戦争を挑むという、あまりにもトンデモなストーリー。日本のラノベだってもう少し考えてるぞ!
確かに米軍リクルート映画として考えれば、「高校生の君たちでもカッコいいパイロットになれる」という事を愚直なまでに描いた本作はその役目をしっかりと果たしていると言えるのだが、ロックを聴きながら敵地を殲滅していく主人公の姿に空恐ろしいものを感じるのは私だけでしょうか…。
主人公のメンターを務める予備役軍人チャッピー大佐を演じるのは、昨年お亡くなりになったオスカー俳優のルイス・ゴセット・ジュニア。本シリーズ4作品の全てに出演している唯一の俳優である。
名優にやらせる仕事かコレ!?なんて思わん事もないが、こういうバカな映画にも最後までしっかりと付き合ってくれるんだから、ルイスさんってとっても良い人だったんでしょうね。
注目したいのは、カダフィ大佐みたいな敵のボスを演じているのが、『名探偵ポワロ』シリーズ(1989-2013)のエルキュール・ポワロでお馴染みサー・デヴィッド・スーシェだという事。自らミグ23に乗り込んで先陣を突っ切るという、ポワロとは真逆な単細胞キャラを演じる彼の勇姿を拝めるというのはなかなか貴重。アガサ・クリスティも草葉の陰で喜んでいる…のか?
「イーグルス」とかいう仲良しチームが頑張るというのは如何にも『E.T.』(1982)以降のティーン映画らしい。これぞ80年代という感じで、無駄にカッコつけてない分『トップガン』よりも可愛げはある。
また、バイクとセスナ機による「スネーク・レース」など、迫力ある航空アクションも魅力。後半のトンデモ展開に目を瞑れば、普通に楽しい青春グラフィティである。
本作は興行的にはさほど成功しなかったが、ビデオテープが予想外の売り上げを見せた。レンタルビデオサービスの興隆に上手く乗れたんでしょうね。
その結果、3本の続編が作られる事になったのだが、この邦題がなかなかに凄い。
〈①『アイアン・イーグル』(1986)→②『メタル・ブルー』(1988)→③『エイセス/大空の誓い』(1992)→④『アイアンイーグル4』(1995)〉
…いや誰がシリーズってわかんねんこんなん💦『アイアン・イーグル』シリーズのタイトルを順番通りに言えるのなら、あなたも立派な映画通。