あゝ結婚(1964)のレビュー・感想・評価
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ひまわりとはえらい違い
ソフィアローレン扮するフィルメーナマルトゥラーノは職場で仕事中に倒れかつぎこまれたのでマルチェロマストロヤンニ扮するドメニコソリアーノが呼び出された。しかしフィルメーナは神父を呼んでくれと言った。
いきなり出足から嫌な雰囲気ではじまったね。ショートヘアのソフィアローレンもなかなか素敵だね。見映えが素晴らしいと言うかイタリアらしい派手でセクシーな女優さんだ。これはソフィアローレンを楽しむ映画だ。でもひまわりとはえらい違いだ。
男と女の間には深い溝。それをこんなにパンチのある喜悲劇に。座布団1枚!
フィルメ―ナに対するドメニコの仕打ちに腹が立ってくる。
不幸な生い立ちから、ごく普通の、自他ともに認められる夫がいて子供がいて、の生活を渇望したフィルメ―ナ。「競馬場に連れて行ってくれるのよ。友達に会わせてくれるの」喜々としたフィルメ―ナが切なくて愛おしい。だが、それを知っていながら、ことごとくその気持ちを裏切るドメニコ。「彼のお金で子供を育てた方がいい」と別の男からのプロポーズを断るフィルメ―ナ。少なくともフィルメ―ナの方は打算と打算の結びつきでなかったことは、丘の上の場面を見ればわかる。偽りの結婚に異議を唱えるドメニコ。「だってお前は言わなかった」言っていたら結婚してたんかい!なんて自分勝手な言い草。
そんな境遇の中、子供を預けて養育費稼ぎに専念するフィルメ―ナ。預けられたことを恨みもせずに母を許す息子達。少なくとも金銭的に最後まで見捨てなかったこと、遠く離れていたけど大切に思っていたことは伝わっていたのね。苦労が報われた一瞬。
解説を読めば、フィルメ―ナを演じたソフィアさんも私生児で生まれ金銭的に苦労して育ち、この映画を撮影した時期実生活でも愛する人と結婚したくてもできず…と、そんなあまりにも似た境遇のこの役を演じるってどんな気持ちだったのだろう。胸がかきむしられる。それはそれ、全てを演技に昇華するその役者魂。10代~40代(しかも大学生を頭に3人の子持ち)を演じきったその演技と合わせて、凄い役者さんだなあと感嘆。
そんな映画のラストで、望んでいたもの全てを手に入れたフィルメ―ナが初めて大泣きをする。それにとまどうドメニコ。わからないだろうなドメニコには。こんな二人が夫婦として幸せになるんかい?とも思うけど、彼女には3人の息子がいるからね。
そんな無神経ダメ男さっさと見切りをつけてお払い箱にしなさいよ。貴方の情をちゃんと受け取って応えてくれる人と幸せになりなよ。あなたほどのいい女は。と言いたいけど、そんな風に割り切れない。恋とか愛とか情ってやつは。
しかもすごいのは、全部フィルメ―ナは自己責任でやっていること。「誰かのせいで…私って不幸…」なんて愚痴をこぼしてキレたり泣き寝入りなんかしない。だから使用人も彼女の味方。
男と女の間には深い溝があると良く言うけど、それを見事に具現化した映画です。でも気の持ちようではそんな悲劇もハッピーになれるのね。フィルメ―ナのたくましさ・ポジティブさに乾杯。
自己憐憫に陥りそうになった時、見直したい映画です。
≪余談≫
これほどの仕打ちを受けてもまだ、フィルメ―ナが愛することをやめられない伊達男ドメニコにマストロヤンニ氏。なるほどね。
フィルメ―ナが危篤という報を受けてうろうろする場面とか、三國連太郎氏に見えた。
丘の上で、ドメニコ相手に思いのたけをぶちまけるフィルメ―ナ。ペネロぺ・クルスさんに見えた。
素敵な人たちって似るのね。
途中までは面白くなったのに、息子が3人いることがわかってから面白く...
途中までは面白くなったのに、息子が3人いることがわかってから面白くなった。しかし、結婚して20年も経つのに息子がいたことをわからないなんて、どうかしてる・・・
10~40代を演じるソフィア・ローレン
不憫だがたくましいソフィア・ローレン。自分勝手でだらしない菓子屋のバカ息子役がコワイほどはまってるマストロヤンニ。
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