「肉玉の恐怖!しかし、臭いことといい、色形といい、どう見てもあれはうん○だ。」猫目小僧 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
肉玉の恐怖!しかし、臭いことといい、色形といい、どう見てもあれはうん○だ。
もしかするとスカトロマニア、唾液マニア、エログロSFマニアに発信した映画なんじゃないかと思えました。妖怪である猫目くんの特殊能力が彼の唾液にあるという設定から薄々気づいてました。まずは引っ越してきた藤崎家の小学生の息子浩のぜんそくを治してしまい、娘まゆか(石田未来)の左頬の痣を治してしまうのです。浩にはアクロバティックに唾を口の中に入れ、まゆかには濃厚なキスシーンであるかのように舐めて痣を消し去った・・・この時点ですでに唾液マニア・舐めマニアは大喜びのはずです。
さらに物語が進むと、人間を肉玉に変えてしまうという臭くて気持ち悪くて恐ろしい造形のクリーチャーが登場する。ゾンビのように次から次へと感染して増えていくのですが、増殖方法がうん○のような肉玉を食べさせるというもの。ここでスカトロファンは大喜び。しかし、普通の観客ならドン引きです。もうエロなのかホラーなのか、ひょっとするとコメディなのかわけがわからなくなってくるのです。
序盤、猫目くんの登場はほのぼのとした田舎の風景に溶け込んでいましたが、一方では肝だめしバカップルが妖怪ギョロリの封印を解いてしまったので大惨事になってしまいます。まるで『となりのトトロ』にゾンビが登場するかのようなアンバランス。役者がそれぞれ下手なので、学芸会チックなノリで不思議空間を楽しめるのです。顔の痣のためにいじめられていたまゆかが、痣が完治してから同級生の態度も変わり、好きな男性とも恋に落ちる。表面的な醜さと心の優しさという両面が人の態度をどう変化させるのかも興味深いところでした。
30年ほど前、TVでも「猫目小僧」を放映していましたが、「ゲゲゲの鬼太郎」人気に便乗した手抜きの紙芝居アニメといった印象があります。今回の実写化では完璧なかぶりものにしたという潔さは好感持てるし、B級ゾンビ映画をリスペクトしているところも評価できるのかと思います。しかし、人々の恐怖の表情が全くなっていない。脇に徹した津田寛治でさえお粗末な演技。田口浩正が主役級の役だから期待していたのに・・・まともな演技はつぶやきシローだけだったかもしれません。
【2006年9月映画館にて】