徳川女刑罰史のレビュー・感想・評価
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サディスト石井輝男の本領発揮!
東映チャンネル(スカパー!)の放送にて。
東映のポルノ戦略に基づく石井輝男監督の異常性愛シリーズの3作目で、時代劇としては『徳川女系図』(’68)に続く2作目。
エログロ、サディズムはエスカレートしているが、成人指定にはなっていない一般映画。
アバンタイトルで、江戸時代の刑罰が残虐だったのは悪に対する報いが重視されたからだと、「目には目を、歯には歯を」を引き合いに出した解説が字幕とナレーションで入る。
そして、ひとりの女囚が崖上の木に吊るされて首と胴を斬断される映像の後にタイトル表示。
この女囚が目元パッチリで妙に美人なのだった。
続くクレジット表示の背景で“牛裂きの刑”などの残酷処刑が描写される。
徳川女刑罰十四種を忠実に再現した…という触れ込みだが、そんなものは架空に違いない。
本作の8年後に公開されたカルト的グロ映画『徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑』(’76)の監督牧口雄二は本作で助監督を務めていた。
予告編で出演女優に失神者が続出したとPRされていて、それが本当かどうかは怪しいが、ハードな撮影を強いられたと思われるシーンは確かにある。
“水磔刑”に処される橘ますみ(役名:みつ)は海の中に本当に逆さ磔にされて海の波が頭を覆っていく(スタントだったとしても過酷…)。
橘ますみはテレビ時代劇「大奥」の出演などで一定の知名度があり、どちらかというと清純派の印象だ。
本作では呉服屋に手籠めにされたり兄と近親相姦に陥ったりするものの脱いではいない。石井輝男の前作『温泉あんま芸者』(’68)では主演だったが、そこでも脱いではいなかった。
ところが、次作の成人指定映画『残酷・異常・虐待物語 元禄女系図』にも起用され、とうとう脱がされる。後は石井輝男作品の常連となって脱がされまくっている。
“新人”とクレジットされている尾花ミキ(役名:妙心)はもっとハードだ。彼女は尼僧役のために本当に剃髪したらしい。
荒縄で縛られエビ反り状態で吊るされているのは、相当にキツイだろう。これは間違いなく本人だった。
本作以降、尾花ミキも橘ますみと共に石井輝男の異常性愛シリーズの常連となった。
尾花ミキの妙心を拷問するのは役人ではないく尼寺の院主代賀川雪絵(役名:玲宝)だから、私刑であって奉行所の刑罰ではない。
賀川雪絵は大映出身のフリー女優で、彼女も『徳川女系図』以降の石井輝男組女優なのだが、この人の尼さん姿は美しい。
賀川雪絵は拷問を受ける場面はないが、レズビアンにふけったり、初めての男に陶酔して首を斬り落として抱きしめたり、それなりに極限の演技をしている。
石井輝男の『明治大正昭和 猟奇女犯罪史』(’69)では阿部定を演じている。
長崎のバテレン拷問シーンでは、複数の白人女性たちが責められる。
中でも、水車のような回転台に磔にされて左右交互に揺すられて水槽に頭を突っ込まれていた女優は、このために日本に呼ばれたのか、日本国内で採用されたのか知らないが、酷い目にあっている。
彫物師の小池朝雄(役名:彫丁)に拉致され、刺青を入れられて逆に彫丁の虜になってしまう町娘役の三笠礼子(役名:花)は、どことなく筧美和子に似ている。
彫丁に刺青をオーダーする芸者君蝶役の沢たまきは出番は短いものの存在感がある。
経営方針とはいえ、東映京都撮影所では当然にエスカレートするポルノ路線に俳優やスタッフたちからの猛反発があり、東映を退社する俳優も続出したようだ。
しかし、観客動員は上々で、東映ポルノ路線、特に石井輝男の異常性愛シリーズは戦略として成功した。
本作の興収は過去の同路線の中でも突出した成績を上げたのだから、テレビやその他のメディアでは見ることができなかったエログロに当時の観客は惹き寄せられたということだ。
石井輝男の首や手や脚が斬り飛ばされる演出は益々快調で、後にタランティーノを魅了するのだ。
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