「ワンピースの名前を借りた細田守の毒が詰まった作品。」ONE PIECE ワンピース THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島 TAKEさんの映画レビュー(感想・評価)
ワンピースの名前を借りた細田守の毒が詰まった作品。
正直これがワンピースというジャンプの代表作ではなく、細田守のオリジナル作品ならいくらかマシ・・・というか文句は言わない。
だがワンピースという世界観と物語をベースに、キャラクターと仲間との絆がすでに構築されているのに監督の独断で変な方向に走りまくっていた。
まず麦わらの一味は喧嘩をすることはあるがここまで険悪にならないし、なったとしてもこんなズルズルネチネチ引きずらない。たしかにウォーターセブン編のようにどうしようもない譲れないことがあってぶつかったことはあるが、ナミが事故で離脱したウソップを見捨てたと言って責め立てるのはひどいキャラ変だしちゃんと戻って助けたことに関して怒りが優先されている。こんなのは細田守のオリキャラでも作ってそのキャラにさせておけばいいのになぜワンピースで賢い枠のナミにやらせる?
あとゾロとサンジはたしかに仲が悪いが、ここまでネチネチと酷くはない。やるなら子供の喧嘩並みにボカスカ殴り会うようなギャグで済ませるべき。ここに細田守のお得意のリアルさは必要ない。
しかもサンジがナミに暴言っぽいセリフがあったのはナンセンス。ちゃんと原作を読み込んでいるのかも懐疑的になる。
そしてこんなことになっているのに船長のルフィになにもさせない。ルフィは船長として一味をまとめ上げることが何度も物語であったのに、ギクシャクしている現状を打破させない、ていうかわかってないまま、アフターケアなし、下手したら無能に見える。作り方が下手なのか?と疑うレベル。
そしてこんなに引っ掻き回しておいて最後は敵を倒してふらっと復活した仲間が喧嘩していなかったかのようにな〜んにもなかったかのように仲良く話しながら、満身創痍のルフィに「何寝てんだ?」だと。初見の人が見たらこんな呑気なクルーを見たら嫌いになるぞ?
聞いた話では細田守が自分の体験をストーリーに反映させたとか。現実で起こったチーム崩壊のエピソードを麦わらの一味で作ったとか。しかも終始ギャグやコメディにしようとしたスタッフの意思を聞かずに独断で最後はダークな展開にしたとか。
ふざけないでほしい。ワンピースはチームワークのお話でもある。それを自分が体験した辛いことを押し付けないでほしい。そういうのは自分のオリジナルの映画でやっておいて。
どうせ、麦わらの一味という仲良しが内部崩壊したら見てる人たちもドキドキハラハラするだろうと浅はかな考えだったと思うが、長年のファンからしたらキャラ変されたキャラや暴走するオリキャラを見ていると不快以外の何物でもない。
オマツリ男爵というキャラが立って強くて面白い戦い方をするボスキャラもいるのに。ムチゴロウなんか最高だった。前半は面白いのに後半が後味悪いのが作り方と方向性を大きく変えたという話を聞いてなんとなく納得した。
もっと現実でもチームというものが何なのかというものを学んでから原作がある作品の監督を引き受けるべきだった。
デジモンアドベンチャーぼくらのウォーゲームは良作だっただけに本当に残念な作品。