「時間自身を記録する」阿賀の記憶 LaStradaさんの映画レビュー(感想・評価)
時間自身を記録する
有機水銀による公害被害者という一面を持ちながら阿賀野川沿いで生きる人々の日常を追った『阿賀に生きる』の10年後という作品かと想像していたのですが、ちょっと違っていました。「10年の間の変化」と言うよりは「10年の時間」そのものを記録しようとした映像詩と感じました。
でも、それより強く印象に残ったのは、「阿賀に生きる」では人々の訛の強い言葉に全て字幕がついたのに、本作では一切の字幕を排除した事でした。お年寄りの訛の強いお話は僕には1割程度しか理解出来ず、まるで音楽を聴く様な思いでした。それは恐らく、お一人お一人の声自身に耳を傾けてもらおうと言う監督の意図的な造りでしょう。でも、その為には「意味」など理解されなくとも仕方ないと言うのかな。外国映画にも字幕は要らないと言う事なのかな。難しく深い問題だ。
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