「 映像ドキュメンタリーと銘打ったホラー映画。フィクションかノンフィクションか、その答えは映画の中にあるようだ」ノロイ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
映像ドキュメンタリーと銘打ったホラー映画。フィクションかノンフィクションか、その答えは映画の中にあるようだ
公式サイト、小林雅文公式サイト、杉書房公式サイトなど、映画本編のみならず、ネットも使って騙しにくる徹底ぶり。
中田秀夫監督や清水崇監督がジャパニーズホラーの人気を確立し、その才能に次ぐ監督と評価される白石晃士監督。仕掛人は一瀬隆重プロデューサーだ。音響効果やVFX・CGによる恐怖を煽る手法にホラーファンがそろそろ飽きてきているのではないかと読んで、このようなドキュメンタリー・タッチによる映画を作ったのだとすれば、賞賛の拍手を送ってもいいのかもしれない。「これは実話だ」と騙される人がかなり多くなることは明白だからだ。上記の小林雅文、杉書房公式サイトを立ち上げることも凝っている。ただ、ビデオも書籍も、残念なことにamazonでは販売していない・・・
フィクションなのか、ノンフィクションなのか・・・霊の存在を信じる者であれば、確実に実話だと信じさせてしまう手法には恐れ入ったが、俳優(チョイ役の実際のタレント)の演技がわざとらしく、途中から興ざめしてしまうのです。小林雅文(俳優名不明)と松本まりかだけは迫真の演技だったのですが、アンガールズと心霊スポット取材の幽霊が全くダメ。そして、“霊体ミミズ”というわけのわからない霊能力者の存在にも失笑を買ってしまいます。その後はフィクションと受けとめ、冷静にドラマとして鑑賞せざるを得ませんでした。
そうは言っても、小道具のこだわりやビデオ構成の上手さには思わず唸ってしまうほど。時系列を見ても、順撮りビデオなのに怪しい人物やそのエピソードが巧妙に交錯し、“かぐたば”という鬼祭の儀式へと繋がっていく。ドキュメンタリーの枠を超えて、プロット重視の立派なホラー映画に思えてきます。エンディングも見事。エンドロールが全くないどころか、キャスト、スタッフの紹介が全くない・・・凄いぞ!
〈2005年8月映画館にて〉