乱歩地獄のレビュー・感想・評価
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ぼっ、ぼっ、ぼくらは浅野忠信団♪
江戸川乱歩は好きです。小学生の頃、少年探偵団シリーズばかり読んでいたため、クラスの読書冊数コンテストで1位を取ったこともありました。同級生からは「すげーっ」と声があがりましたが、「とにかく、本を読むことはいいことだ」とおっしゃった担任の先生が引き攣ったような笑顔を浮かべていたことが印象的です。しかも当時、NHK連続ドラマ『明智探偵事務所』が放映されていたこともあり、原作との違いを同級生に説明する少年kossyは鼻高々だったのだと思います。
この『明智探偵事務所』の主人公・明智小五郎を演じていたのは夏木陽介であり、怪人二十面相は米倉斉加年。この2人がぴたりとイメージ通りの人物像を作り上げ、今でもこの2人がベストのキャスティングだったと思っています(刷り込まれてるのかも)。そして、キャスティングのいいイメージが崩れ落ち、明智小五郎像をぶち壊してしまったと感じたのが天知茂です(しかもこのシリーズがまた多い・・・)。もしかしたら彼のせいで、江戸川乱歩人気が衰退していったのではないかと疑ってしまうほどなのです。
そんなこんなで、この『乱歩地獄』では明智を浅野忠信が演じています。さすがに天知茂よりはいい感じですが、二十面相にもピタリと当てはまりそうな不思議な俳優さんです。
この作品、4人の監督によるオムニバスなのですが、どの作品も耽美的、幻想的、不条理の世界を映像中心に見せてくれます。
【火星の運河】監督:竹内スグル
浅野忠信の全裸。なぜか肉体美を感じさせない彼の病的な後姿が火星のような背景とバランスが取れている。実験的な映像、激しく切り替わるシーン、とても耐えられないと思ったのも束の間、エンディングを迎える・・・ホッとした。10分もなかった。
【鏡地獄】監督:実相寺昭雄
鏡を多用した映像。テロップもすべて鏡に映したような反転文字。同監督の『姑獲鳥の夏』でも気になっていた傾いた映像。あのときは全体の3割程度だったような気がしますけど、この作品では全体の9割は傾いていました。しかし合わせ鏡の効果を上手く利用して、絶妙な構図のバランスとなっていました。この「鏡地獄」の出来がよかったので、うぶめにも取り入れたんじゃないでしょうか・・・
彫金師を演じた成宮寛貴の狂気の表情がとてもよかった。彼はこんな役もできるんですね~
【芋虫】監督:佐藤寿保
この話も読んだことがあるのですが、文章にしたほうが迫力があったように記憶している。なにしろ差別用語のオンパレードなのです。その言葉に圧倒された。それをこの作品では映像よりむしろ演技力に求めたと思われます。大森南朋の演技も迫力あるし、艶かしいセックスシーンも不気味さを内包している。時折、心の声がテロップに現れるときにその迫力が増してゆく・・・どうも『ジョニーは戦場へ行った』とダブってしまいますね。
【蟲】監督:カネコアツシ
これだけはちょっといただけなかった。ケータイを使った時点でダメ。さすがに最後だけはゾッとしたけど・・・
【2006年1月映画館にて】
これは、緒川たまきを観る為の映画である。
この映画で観るべき点は、ただひとつ。
緒川たまき演じる、『蟲』の女優「木下芙蓉」である。
その立居振舞、衣装、台詞が、たまらなくエレガントで非現実的なのだ。
ただ登場するのは、全編からしてみたらほんの一瞬なので、心して観て頂きたいのだが、、、。
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