劇場公開日 1953年10月7日

「原爆とその後。いい意味で教科書のような良い映画。」ひろしま ミラーズさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0原爆とその後。いい意味で教科書のような良い映画。

2019年8月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波

8月16日深夜Eテレビの放送にて鑑賞

戦後8年以上経ち、復興も進む広島の高校?で、一人の女生徒が倒れる。そこから原爆による後遺症の被害が浮き彫りにされて行く。

そして8月6日の一日が描かれる。

原爆が炸裂する直前の淡々と呆気なく起こるところや、短いながら強烈な破壊シーンを経て、生き残った人々の悲惨な姿が数日に渡って描かれる。

火傷を負い、廃墟を彷徨う人々や川の流れに消える多くの女生徒達。死に満ちた病院。

当時の混乱も整理されているのでわかりやすく進み、メインの遠藤一家の父親を演じる名優加藤嘉や山田五十鈴も流石の演技でこの惨劇を写す。

そこから冒頭の学生達の時代までの広島の状況を見せ、原爆孤児や朝鮮戦争の影、警察予備隊や広島に観光で来るだけの無関心な人など、次の戦争への脅威を警告する辺りも当時の世論の動向が見える

最後の広島市民の大行進と亡くなった人々のオーバラップも反戦へのメッセージとして響く。

監督の関川秀雄作品は「超高層のあけぼの」のみの鑑賞しているが、どちらも切れ味のある誠実な演出で、見応えがある。

背景の美術やセットも力が入っていて見応えがあるし、アメリカの会社がリマスターした映像もとてもクリアになっていて見やすい。

正直、日教組主体で、製作された映画なので、変な主張があるのかな?と思ったが、当時に判明した事実をキチンと紹介して分かりやすく描いている。

いい意味で教科書のような良い映画。

ミラーズ