「日本は実験台」ひろしま kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
日本は実験台
米ABCCは診察はするものの治療はしない。白血病の知識と、どうしても治せない苦しみ。エノラゲイ乗務員の手記やドイツ人の書いた論文にも、日本人には怒りを感じずにいられない序盤の授業シーンであったが、いきなり1945年8月6日の回想シーンへと移る。
さながら地獄絵のような原爆投下直後のシーン。息子を必死で捜す加藤嘉が迫真の演技だ。疎開から帰ってきた息子遠藤幸男は孤児となり、必死で生きるが、キャバレーのバイト、学校を辞め工場の仕事をするが、砲弾を作ることにやりきれなくなる。骸骨をアメリカ人に売ろうとするが警察につかまり、そこで叫ぶ反戦メッセージが涙を誘います。
ストーリーとしては繋がりもはっきりせず、映画としてより学校で集団鑑賞する原爆ドラマといった感じですが、ゴジラの伊福部さんの重苦しい音楽とともにずっと心に残る映像でした。戦争を肯定する愛国心を謳う人たちに是非見てもらいたいものだ。
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しゅうへいさんのコメント
2019年8月17日
kossyさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
今回初鑑賞だったので、衝撃的な場面の連続にときには目を背けたくなりながらも画面に釘付けになりました。
日本映画にしては破格のスケールで、仰る通りセットをつくるだけでも大変そうですね。
広島市民のエキストラ参加人数も本作製作への意義に共感した故のものだと思うと、平和への願いを噛み締めずにはいられませんでした。
本作で流れていた伊福部昭の音楽は、「ゴジラ」の東京襲撃後の病院の場面などでも使用されていて、余計に涙が溢れて来ました。