「地球を救うのはゴジラ?ミニラ?それとも泉谷しげるか?」ゴジラ FINAL WARS kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
地球を救うのはゴジラ?ミニラ?それとも泉谷しげるか?
タイトルに対戦相手の怪獣が明記されていない今作だが、「ゴジラ対ガイガン」とか、「ゴジラ対懐かしの怪獣達」という内容だけじゃないのです!これは「大槻教授対韮澤潤一郎」なのだ!
何かやってくれると予感していた北村龍平監督。これだけ笑えるゴジラ映画は久しぶりだし、アクションに興奮してしまうゴジラも初めての経験だ。平成シリーズになる前には笑えるゴジラ映画もあったのだけど、意味も無い懐かしい怪獣たちを登場させたり、シリアスなキャラクターにギャグをかませたりして存分に楽しませてくれた。怪獣たちの中にもお笑い要素はある。一瞬しか出てこない怪獣もさることながら、シドニーに突如現われたイグアナ風の怪獣はハリウッド版ゴジラだったので大笑いしてしまった。「マグロ食ってるようなのはダメだな」。モスラファンは怒ってしまう内容かもしれないが、ヘドラファン(かなり少数派)エビラファン(そんな人いる?)というマイノリティにも気を使ってくれている。
アクションシーンなど人間やX星人の描写には『マトリックス』や『スター・ウォーズ』などの影響(パクリなのか、オマージュなのかはわからない・・・)がかなり見受けられ、ミュータントという新設定、自衛隊じゃなくて地球防衛軍という奇抜な設定を使うことによって、新しいゴジラ映画の誕生をも予感させた。その一方で、往年のゴジラファンにならわかる宝田明、佐原健二、水野久美を起用していることも嬉しい。新旧ゴジラファンに気を使っていることがうかがえるのだ。そして、総吹替えになっている格闘家のドン・フライ、X星人役の北村一輝が面白い。吹替えと言えばNYの暴漢たちも大阪弁になっていて大爆笑できるはず。
全体的には詰め込み過ぎ感が漂っていて、前半のゴジラがあちこち旅行しすぎなのがマイナス。ケイン・コスギや菊川怜の演技もイマイチ。反核のメッセージは全く無く、9・11以降の世相をも考慮してしまったためなのだろうか、ちょっと変わった世界観でもある。最後の戦いで新登場したモンスターX。これは最高です(特に変身後)。ゴジラファンなら必見でしょう。
ミレニアムシリーズの総仕上げといった扱いなのですが、メガギラスや総攻撃のように作家性のある新解釈もここまでやったか!と思えるくらい大胆な改変が逆に面白く、どこまでぶっ飛んだゴジラを撮れるか競ってるような印象が残ります。ちょっとだけ気になったのが小美人(長澤まさみ、大塚ちひろ)の立ち位置が前作と逆になっていた・・・