「非凡な作品なんだろうが、良さがわからない…」マインド・ゲーム たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
非凡な作品なんだろうが、良さがわからない…
「とことんやる」ことを条件に死から復活した男が、自分を飲み込んだクジラの体内からの脱出を図るというナンセンス・アニメ。
監督/脚本は『ねこぢる草』の脚本を担当した日本アニメ界の鬼才、湯浅正明。
天才とも称されるアニメーション作家、湯浅政明の長編アニメ監督デビュー作。
常軌を逸する表現方法で描かれる、何やらよくわからないアニメ。
デフォルメの効いたキャラクターがグネグネ動く様は見ていて小気味良い。
突如としてキャラクターの顔が実写に変わり、声優を務める今田耕司やDonDokoDon山口が登場するという斬新すぎる表現は凄い。
目まぐるしいカットの切り替えで、時系列のわかりづらいエピソードや誰のものなのか分かりづらいエピソードが挿入されるので、正直よく理解できませんでした。
あらすじの内容から、てっきり死から蘇った男とヤクザが繰り広げるドタバタアクション映画かと思っていた。
そのような描写もあるものの、ほとんどはクジラの体内という密室からの脱出劇。
シナリオは単純明快なものですが、監督の作家性が溢れる演出で唯一無二の作品となっております。
好き嫌いが分かれる作品だろうとは思いますが、個人的には嫌いです。
演出がくどすぎて飲み込めない。
脚本がつまらなすぎる。
アクションも最後のクジラからの脱出シーン以外は全く刺さりませんでした。脱出シーンも演出がくどくて途中から飽きてしまいましたが。
クジラは閉じられた自分自身のマインドの比喩であり、そこがどれだけ居心地の良いものでも外の世界と触れ合わなければいけないというメッセージは素晴らしいですが、クジラに飲み込まれてからは正直めちゃくちゃ退屈…
同監督作品の『ピンポン』は比較的原作に忠実でまぁまぁ楽しめたし、『映像研には手を出すな!』はかなり面白かった。
30分のテレビアニメは中々面白い物を作れる監督だと思うのだが、長編映画を作ると何故かつまらなくなる。
湯浅政明監督の感性は自分とは合わないのかも。
原作は未読ですが、本作と同じスタジオ4℃でのちにアニメ化される作品、松本大洋の漫画『鉄コン筋クリート』の影響を非常に受けていると感じました。
個人的には『鉄コン』の方が断然良いと思いますが…
もう一度観賞すれば色々な事に気付くのでしょうが、2度見る気にはなれません。
時間の無駄だったという作品ではありませんでしたが、しんどかった…