劇場公開日 2004年7月31日

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「【娘を想う父の気持ち、父や友に対する申し訳なさ故に”幸せになってはいけない”と思う娘の気持ちを名優二人が台詞と演技で観る側に訴える。強烈な反原爆映画である。】」父と暮せば NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【娘を想う父の気持ち、父や友に対する申し訳なさ故に”幸せになってはいけない”と思う娘の気持ちを名優二人が台詞と演技で観る側に訴える。強烈な反原爆映画である。】

2021年11月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

ー 2015年に、山田洋次監督の「母と暮らせば」を鑑賞した際以降に、気になっていた映画である。-

◆感想

 ・ほぼ、宮沢りえさんと、故、原田芳雄さんが演じる親子の二人芝居である。

 ・舞台は、1948年の広島の夏。

 ・美津江(宮沢理恵)と、父(原田芳雄)が、雷を怖がるシーンから物語は始まる。
 ー 二人が、稲光を恐れる訳。ー

 ・”儂がお前の所に現れるようになったのは・・”と口にする父。
 ー 舞台を観ていないものにとっては、この時点で、父の娘に対する想いと、父の真の姿が分かる。ー

 ・美津江が心惹かれる青年、木下(浅野忠信)への想いを父は知っており、少し茶化しながらも、娘に青年との交流を進める父の姿。

 ・劇中、語られる”原爆瓦”。あの日、広島の上空で二つの1200度の太陽が現れた事実。

 ・美津江の”自分は、幸せになってはいけない”と言う想いと、お地蔵様の半分焼けただれた顔。

<美津江が、戦中から子供たちに行っていた”昔ばなし研究会”の活動。
 そして、あの日以降も、図書館員としてその行為を続ける美津江。
 その姿を温かい目で見守りながら、”独り残された”娘の幸せを願う父の姿。
 無垢な人々を襲った”二つの太陽”
 が、それでも父は、娘に”孫の顔が見たい”と願うのである。
 宮沢りえさんと、故、原田芳雄さんのユーモアを伴った演技が、彼の悲惨極まりない”人間が人間に行った許されざる行為”を強烈に糾弾した反戦映画である。>

NOBU
KENZO一級建築士事務所さんのコメント
2021年11月2日

同感コメント、ありがとうございました。黒木監督は“核”をテーマとした作品が多いですが、私は中でも「TOMORROW明日」が大好きで、この映画は長崎の原爆に関する作品と分かって観始めたはずかなのに、市井の皆さんの描写に、いつの間にか、そんなこともすっかり忘れてしまい、B29が飛んで来たシーンで、あっそうだった、この後に原爆が投下されるんだと思い起こされたという、素晴らしい演出力に驚かされたとの記憶があります。日本映画の名監督のお一人ですね。

KENZO一級建築士事務所