「舞台中継」父と暮せば よしたださんの映画レビュー(感想・評価)
舞台中継
宮沢りえと原田芳雄の芝居が圧巻。
現代の日本を代表する女優といってもよい宮沢の映画を観るのは、意外なことに初めて。若い頃のイメージで、こちらで勝手に「TVの人」だと決めつけていたことを恥ずかしく思う。自分と同世代の随一の映画女優である。
主演二人の素晴らしい芝居のおかげで、良い舞台を映像で見せてもらえた幸福感を味わえる。
しかしながら、井上ひさしの戯曲を映画にするからには、もっと映像表現で戦争や親子の情愛を語ってもらいたい。無駄にカメラが動くし、やたらと全てを照らそうとする照明も不自然。舞台中継の域を出ていない。
瓦礫に埋もれて動けない父親と、それを見捨てては行けない娘のじゃんけんの場面に、この映画に対する全ての不満を忘れた。
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