「お菓子の詰め合わせ缶のような映画」茶の味 ひらつかさんの映画レビュー(感想・評価)
お菓子の詰め合わせ缶のような映画
「PARTY7」の石井克人監督が放つ最新作。
美しい山間の町を舞台に、それぞれが悩みを抱えたある家族の日常を、
ユーモラスかつハートフルに紡ぐほのぼのドラマ。
見ようと思ってすっかり忘れてたら、
まだ映画館で見られるらしいということで高田馬場へ。
5分くらいの短編を2時間分つなげ一つのストーリーをつくる、
まるでお歳暮でもらうでかいお菓子の詰め合わせ缶のような映画。
旨いのもあれば、そうでもないのもある。でも全体としてなんだかハッピー。
ハリウッドが2時間1本勝負でホームランか三振かを狙うとすれば、
この映画は何十もの打席の中でどれだけヒットを打てるかという具合。
だから脚本よりも演出や役者の演技がかなりクローズアップされている。
で、結論からいうと、良いんですよ。けっこう。
意味のわかんないところとか、寒いギャグとかもかなりあるんですが、
打率10割は打てるわけないので、そこは愛嬌。
ところどころの台詞回しと間がすごくて、他の映画だったらNGになるような、
台詞のかみっぷりや、会話の無音の長さや、
よく聞き取れなかったりとかが、まんまOKになっていて、
いい意味ですごく演出をがんばってないと感じます。役者は、やはり浅野忠信恐るべし。
昔告白した女性(たぶん今でもチャンスがあればどうにかしたいと思っている)と
久しぶりに再会するシーンでの恐ろしくたどたどしい、
5分以上の全く中身の無い会話は必見です。
他、祖父アキラの最後のスクラップブック、妻春子が完成させるアニメーション、
そして娘幸子の鉄棒の成功の瞬間など、クライマックスに向けて見所めじろ押し。
思いがけずの拾い物映画でした。
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