いかレスラーのレビュー・感想・評価
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イカもの
英国のお馬鹿コメディ「えびボクサー」に触発されて創ったとのこと、確かに安上がりなシャコの張りぼてで一本映画が造れるなら特撮の本家日本なら引けを取らないと意気込んだのだろう。
ボクシングでは丸パクリになるからレスリングに模様替え、タイガー・マスクが居るからイカの被り物、いや豪華にアレンジ、コンセプトは半イカ半人の変身もの、果たしてイカレスラーの正体は?とミステリー要素も盛り込んだ。
変身は東洋魔術らしいが宿敵まで変身可能とは、おかま手術のような手軽さは何だろう。
「えびボクサー」は登場までの気持たせが長すぎたので本作ではアバンタイトルからいきなり登場、しかも後半はイカばかりか2体も追加しての大サービス。ただし試合はショボさを実況でカバーする手抜き感、ルー大柴のプロレスこそ戦後復興のパワーの源泉云々のご高説も一聴まともに聞こえるが力道山を小馬鹿にしたようなやり取りもあり、興行師丸出し、プロレスファンはどう見たのだろう。
感動路線の方は宿命のライバルが実は・・というお涙頂戴系?、ロッキーもどきの過酷な修行、病や屈辱からのリベンジ、三角関係に力動山の隠し子と欲張りすぎて収拾憑かず。修行で変身能力を得たのかと思ったら遺伝もするらしい、赤ん坊がイカもどきでは笑いと言うより奇形を連想して鼻じらむでしょう、まさに蛇足のエンディング。思い付きでまっしぐらではなくもう少し練って欲しかった。
B級映画の楽しみ方
タイトルバック、そしてエンディングの“終”の文字。TV版ウルトラマンとそっくりなのだ。それもそのはず、総監修を実相寺昭雄氏が担当している。
この映画を観て「つまらない」と一笑にふすことは簡単だ。しかし、タイトルやあらすじからしてB級映画なんてことはわかりきった映画を「駄作だ」と決めつけることほどつまらないことはない。単純にB級の楽しみ方・・・すなわち、馬鹿馬鹿しい映画に体当たりで素の演技をする俳優たちを微笑ましく見守ってあげること・・・これが大事なことなのだ。
『えびボクサー』からヒントを得て作ったこともわかりきったことなので、『ウルトラマン』に対して限りなくオマージュを捧げていることに驚きます。イカやタコの造詣はひょっとするとスタッフの行きつけの寿司屋さんへのオマージュが隠されているのかもしれないし、よっちゃん食品工業にも限りない愛情を注いでいるのかもしれない。プロレス界の人気レスラーをも簡単に倒してしまう“しゃこボクサー”なんて、ウルトラマンに出てくるゼットンにそっくりだし、強いんだよなぁ・・・こどもの頃、この恐ろしさのためトラウマになってしまう友達もいたし・・・ゼットンって蝦蛄がモデルだったのか?(トラウマと書いて気付いたけど、ウルトラマンのネーミングって、ココから?違うよね・・・)
聞きづらい音響効果とルー大柴の下手くそな演技さえなければ、いい映画になったかもしれない。
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