チルソクの夏のレビュー・感想・評価
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わけありの関係だが
GYAO!のキネマ旬報ベストテン映画から。2003年のはずの映像を白黒にしてスタートして、1977年に戻ってカラーになるという、意外な色の使い方で始まった。『スウィングガールズ』で話題になる以前の上野樹里が出演している。下関と釜山の高校生の陸上競技会の話で、4人の日本の女子高生の仲間が選手として釜山に行く。
韓国の事は何も知らないが、日本国内でも日本人同士で結婚できない人が増加して、(遊び人がフリーセックスと不倫する両極が起きているが)日本人と韓国人の淡い恋の話だとすると、そんな余裕もないのだがなと思うのだが、逆に、日本人男性と韓国女性の恋の話なら良かったかも知れない。競技大会は日韓戦というより、日本で言えば東京のような釜山と、下関の競技会なのだから、人口から言っても普通は下関は大きく不利で、実際そのような対抗戦になっていた。私は関東在住だが、山口県あたりだとだいぶ韓国が近いイメージになるのか。私が観た時点が2018年だから15年後では、現在60歳前くらいの人の青春だろうか。映像は高校生の鋭い無駄のない肉体が映し出され、女性の競技姿も美しい。佐々部清監督は、『八重子のハミング』の監督でもあるのか。上野樹里の演じた女子高生は、男子高校生と性行為してしまい、生理が来ないということでか悩んでいたが遅れてきたと喜んでいたシーンがあったが、これはまずいだろう。一気に評価を下げた。ただ、その女子高生は間違った考えなのだが見栄のような気でやっていたのかよくわからない。日本では年間20万件ちかい中絶数なのもあり、でき婚になったとしても基本的に良くはない。
それに比べたら、山本譲二演ずる父親に反対されても、外国人と交際するほうがまともだろう。むしろなかなか会えなかったり、言葉が流暢に関係できないという国の違いが、文通という方法をとることによって清純な関係になっている。その対比としても上野樹里はあったのだろうか。どうして山本譲二の父が強く反対する意味はわからない。この確執に意味はあったのだろうか。下関の女子高生がハングル文字を覚えて文通が続いていたシーンはすごいなと思った。韓国人の高校生のほうはほうで、母親に交際を良く思われていなくて、成績もともに下がったのを責められていた。
上野樹里のほうも、相手の大学上京のために不安になっている。山本譲二の父親役は流しで頑張ってはいるが、家計は苦しく、主人公の娘は進学先に悩む。就職すると母親に伝える。1977年という時代背景もある。娘は風呂は銭湯に通っていた。親父がうまくいかなくて問題になってしまっているのはドラマとしては余計だったかも知れないと思ってしまうが、現実にはそうした家庭がうまくいかずに影響を受けてしまう思春期、青年期の人も多いのだろう。それは今でも。韓国の男子のほうが中流的な家庭で、目指すもソウル大学だという。母親の強い反対から、陸上部も辞めさせられ、主人公の女生徒に、韓国人の母親がハングルで手紙をもうよこさないでくれと書いてきた。
海に向かって「馬鹿野郎」と叫ぶ女生徒。もうハングルの手紙が読めるようになっていた。女生徒も陸上部をさぼるようになってしまった。それでも新聞配達は続けていた。仲間の女子3人が泣きながら説得してくれる。「陸上をやってきたのは何のためやったんやろう。」父親も連動してトラブルから流しを辞めようかと悩んでいるときに、娘は新聞配達代金から壊されてなかったギターを、新たに購入して、私は陸上推薦で大学に行かせて、お父さんも流しを辞めないでと頼む。そのギターで娘と女房の前で弾き語りをする。翌年の関釜陸上競技会になる。場所は下関。友達は、その韓国人だけが男じゃないからねと慰めるが、辞めたはずの陸上競技会に、文通相手の韓国人が現れる。劇中使われている音楽は、ツイストの『あんたのバラード』や、ピンクレディーの『カルメン77』などである。その頃だ。競技前の前夜祭で二人は再会する。困難より誠実が勝っていた。イルカも出演していたが、『なごり雪』が主題歌や、劇中にも活用される。それにも時折双方の無理解が顔をのぞかせるが、それを超える出来事を高校生たちが演出する。韓国人男性を演じたのは日本人だったが、誠実な男性をみせている。先の戦争での確執の影響が述べられる。細いトンネルで、福岡県と山口県の境で話す二人。38度線も簡単に超えられるようになりたいと女性に話す。北と南は同じ民族なのに。憎しみ合うのはおかしいよ。といまだに解決できていない話をする。
私たちは、タレントの誰が好きだとかそういう話ばかりなのに。と言うと、だから日本は幸福で良いんだよと男性はいう。そして山口県の方向へ競争しようと、一緒に走る。この誠実さが泣けてくる。
この映画では、韓国男性のほうが日本語をよく覚えてくれて、話ができるようになっていた。最初は英語で通じていたりした。仲間が仕掛けた再会で、次に会えるのは4年後だよと話す。長いけど絶対に会おうと約束する。ここで良くはないので評価を下げざるを得ないが軽くだが抱擁後のキスシーンがある。そしてすぐさようならと日本語で言って別れる。精神的な関係に性愛が忍び寄る複雑な人間の仕組みだが、泣いている女生徒に仲間3人が出てきて、『なごり雪』を歌ってあげる。複雑だが泣かせるが、翌朝に部活の顧問に夜遊びして何事だと注意を受けている途中で、女性とは走り抜け出す。船で立つ韓国人男性を見送ろうと走る。だがほんの少しの時間で、間に合わなかった。何度も相手の名を叫ぶが、聞こえなかったのだろう。そして、ほかの女生徒に頼んで、ブレスレットを渡して欲しいと頼んでいた。そして、また白黒に戻る。2003年の七夕での釜山と下関の陸上競技会。結局4年後に二人は会わなかったのだという。主人公は結婚もしたが離婚してしまっていた。腕にはブレスレットをしていた。バブル崩壊で10年ストップしていたという。運営の再開に尽力したのは主人公の女性だったが、体育大学を出て教師になったようだ。そして映画らしい、布石の解消が起こる気配となる。ハッピーエンドを予感させ、『なごり雪』が流れる。
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