APPLESEED アップルシードのレビュー・感想・評価
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中々面白い
2004年という時代のSFアニメ
冒頭からヨハネの黙示録が引用されている。
つまり終末論的世界
この架空の世界にいるのは、人とクローン技術で誕生させたバイオロイド、そしてサイボーグ
これらがいわゆる人格を持っている。
そして問題となっているのが「人」
人の持つ欲望がこの世界にとってどうにもならない問題で、どうにかして世界を平和にしたいと願う行政院や立法院のジジイ達が、ガイアというスーパーコンピューターのようなものに問いかけ続けて、その方法論を得ようとしている。
さて、
アニメーションは非常によくできていた。
脚本もいい。
そして設定が面白い。
近未来でも人の欲望と争いが尽きないことを言っている。
それをどうにかしたいと考える人と、その中にいながら裏切る人物というのは、いつの時代も変わらないのだろう。
ジジイ達とガイアとで出した答えが、人類を滅亡させることというのも面白い。
そのために使用するウィルス 人間の生殖機能が奪われるという設定
希望を失ったジジイ達にある刹那的な考えというのも想像を掻き立てる。
とくに彼らが博士を殺した背景に彼らの絶望を感じるとともに、ジジイという先のない命の独特な思考設定も面白い。
しかし、
そもそもバイオロイドの思考をプログラミングするという概念があれば、人もプログラミングできそうだなと思った。
そうなれば必然的に犯罪者に対する措置がプログラミングになるだろう。
ただ、
この現在は世界大戦後の混沌とした時期を描いているので、ジジイ達が人に対して絶望しているのは理解できる。
若干不明なのが、このユートピアと呼ばれるオリュンポスという都市のほかにも都市や国家があるが、ガイアという管理AIとオリュンポスのジジイ達が、他の国家を差し置いて人類滅亡を決めたことになる。
これと先の世界戦争の違いはどこにあるのだろう?
バイオロイドに地球を託す選択
人の尽きない欲望
その出した最終的な答えが人類滅亡
わかるようなわからないような… 微妙さが残った。
さて、、
主人公デュナンの母は、アップルシードというバイオロイドの感情抑制を解除し正常な機能を回復させるためのものと、ウィルスを作った博士。
物語上重要な部分だが、設定上も興味深いところだ。
彼女はある意味「神」なのだろうか?
冒頭のヨハネの黙示録 終末の時代における神の計画と救済 未来の運命
人間による選択と決断
これこそが、どうあれ「正しい」ことなのだろう。
また、
バイオロイドはプログラミングによる感情抑制によって、定期的にメンテナンスを必要とする。
バイオロイドの勘定抑制を解除することで彼らはより人間に近い存在となる。
これらの背景を考えると、
かつて奴隷があったように、人はバイオロイドをその代わりにしていることが伺える。
レストランでもバイオロイドに食って掛かる人間が描かれていた。
戦争は殆ど機械とサイボーグだが、パワードスーツの中に入っているのは人間だろうか?
仮にバイオロイドがそれに使われていれば、この物語は大きく矛盾するだろう。
欲に溺れた人間がパワードスーツで戦争
そこにサイボーグ化された人間と機械は登場してもバイオロイドは加担しない。
そこまで徹底管理されているなら、地球救済にはまた別の方法もありそうだなと思ってしまった。
物語はジジイ達とガイアで決めた人類滅亡のウィルス作戦をデュナンらが食い止めることで決着する。
アップルシードがもたらすバイオロイドの解除抑制の解除
これが若者が出した答えで、そこに忍ばせているのが、未来は未来を担うものに任せよということだろう。
さて、、、
サイボーグとなったデュナンの恋人ブリアレオス
戦闘による負傷と生き延びる手段
より戦闘能力が上がった彼だったが、自分自身が機械になってしまったことに対する憂いを感じさせる。
生きる この言葉は彼にとって瞬間的な判断だったが、機械になった苦悩や葛藤は相当なものなのだろう。
もし負傷が戦争によるものでなければ、彼はどうしただろうか?
そこに垣間見れる任務と責任 戦時中の特殊な思考
彼は一生その事に悩み続けるだろう。
バイオロイドに感情の抑揚が解禁されたのは、その後を考えればバイオロイドの生殖機能がないことによる自然絶滅が待っているように思う。
その時人類はどうするのだろうか?
死ぬのは人間と同じで感情が芽生えればより死の恐怖や苦悩を抱え込むだろう。
そしてやがて、その感情が生殖機能獲得へと向かうのではないだろうか?
その是々非々の問題が新しく発生するだろう。
戦闘中の負傷とサイボーグ化という選択肢も、戦争がなくなれば終わるだろう。
それとも彼らの感情コントロールのために戦争は続くのだろうか?
彼らサイボーグはどのように死を考えるのだろうか?
人間 バイオロイド サイボーグ これらにある感情と葛藤を考えてしまう。
主人公らが阻止した人類滅亡だが、企業国家はそのままの形で存続することになる。
問題は地球規模にならざるを得ない。
最終的に、デュナンたちはバイオロイドとの共存を誓い、新しい未来を築くために努力することを決意するが、それに関わった者たちだけがそれらを共有できるが、実際に世界は現状のままだ。
オリュンポスの政治だけがふりだしに戻っただけ。
企業国家は戦争をやめないだろう。
どうするんだ? デュナン
この後の世界についてもう少しだけ描いてほしかった。
士郎政宗ワールドの映像化
原作は『攻殻機動隊』の士郎政宗。
【ストーリー】
大戦が終わり、国家はことごとく灰燼に帰した。
銃器による犯罪の横行する世界を、女性兵士のデュナンは仲間とともに、戦いながら生きのびていた。
たがデュナンの部隊が、高度にロボット化した戦闘兵器部隊に襲われ、全滅してしまう。
奮戦するデュナンだが、追いつめられ敵に包囲される。
そこに新たな戦闘団が参戦し、窮地からデュナンを救う。
身長2メートルを超えた全身サイボーグの男性。
それはかつての恋人、様変わりしたブリアレオスだった。
さて、いきなりですが原作の話をします。
『アップルシード』は青心社から発売された、士郎政宗の大型本。
全四巻+データブックやら副読本、美術本やらたくさんの作品が発表されてます。
中学二年生で友だちにすすめられて、はじめて読んだときは衝撃でした。
「この未来、来る」
本気で信じちゃいました。
それだけリアルで説得力に満ちた世界観なんですね、士郎政宗作品。
反面ドラマは排除され、骨太のハードSF世界で、主人公たちは戦闘のプロらしい、おさえた感情表現にとどめてます。
描写は最大級に細かく、アクション作品ながらそこいらのお仕事マンガよりも情報は濃密。
原作では崩壊したビル街で、楽しくサバイバルしていたデュナンとブリアレオスを、立法院のヒトミと、行政院トップのアテナ子飼いの戦車部隊が、二人に迫るところからはじまります。
はねっかえりの若いデュナンと、それをたしなめ慎重に判断をくだすブリアレオス。
SWAT隊長の父親に鍛えられた娘と、父親の有能な部下で、事故で全身サイボーグになった恋人という関係でもあります。
二人は最初からカップルで、その関係はゆらぎません。
士郎政宗作品って、ロマンスは添えものなんですよ。
無くても困らないレベルにしか描かれてません。
『攻殻機動隊』でも、原作では素子とバトー、ミジンコもラブくないし。
素子ったら一課の課長と週末すごしたり、副業での販売用アダルトデータの制作で、友だちとレズプレイしたりして、アニメの凛々しさはありません。
バトーも、若い女性のフリした七十代男性とネットでデートしてるし。あ、バトーは騙されてますよ。しかも荒牧に監視されてて、おもろい笑
作風、基本コメディなんですよね士郎政宗。
なにがリアルなのかというと、見たこともない未来デバイスを、キャラクターたちがあたりまえに使いこなすところ。
すごい自然なんですよ。
アップルシードなんか説明もせずに超小型ドローンとか使ってるし、車のバックミラーはカメラだし、顔認証で尾行者を特定して補足してるし。
攻殻機動隊でも、スマホなんかなくても頭の中でブラウジングしてるし、通話しながら視覚データをクラウドにアップしてオペレーターが分析してるし。
どうです?
「この未来、来る」って思いませんか?
あとアクションもリアル。
アップルシードも本来のバトルシーンは、主人公コンビがド派手なスーパープレイを決めて仲間をすくう場面なんかありません。
ESWATが敵よりも人数や火力、装備をととのえて、末端から静かに無力化、クリアリングしてゆく、地味なコマンドアタック主体です。
原作原理主義者ではない自分ですが、設定改変の多いこのデジタルアニメのどこを気に入っているのかというと、オリュンポスという都市の構造物です。
「そうそう、タルタロスはその形!」
「多脚砲台(タカアシガニ)のキャノンはその位置!」
というような、メカや未来都市のディテールが原作に忠実なところ。
自分、原作に出会ったときからオリュンポスに住みたかったんですよね。
その欲求を満たしてくれる作品なんです。
それとギュゲス。
ギュゲスはいい……心からほしい。
ギュゲスで夜コンビニで買い物できたら、暗くてもお外、こわくない。
うたい文句どおりに音楽はノリがいいしアクションはスタイリッシュなんですが、正直そこはどうでもいいや笑
内容は第一巻『プロメテウスの挑戦』、第二巻『プロメテウスの解放』第三巻『プロメテウスの小天秤』までを、分解してパーツとって、いっぱいなんか足して原型なく組みなおし、ホイップクリームたっぷり盛ってイチゴ埋めつくすほどのっけたシロモノになってます。
具体的には、プロデューサー曽利文彦&荒牧伸志監督コンビらしい、感情的で大仰なドラマが加えられてます。イヤなの?すごくイヤだよ!こっちはリアルな未来社会でリアルなキャラクターがリアルな働きするから士郎政宗のマンガ読んでるんだよ!主人公を巻きこむ壮大な陰謀とか痴話ゲンカとかいらないんだってば!
ふう。
言ったった。
思ってたことぜんぶ言ったった。
子どもみたいな主張したった。
スッキリしました。
あと、補足としては、リアルな未来兵器もたくさん出てくる士郎政宗作品ですが、実は軍隊を主役にしたものはありません。
このアップルシードでは警察特殊部隊のSWAT、二作目『ドミニオン』は地方都市パトロール戦車隊、そしてご存じ攻殻機動隊は首相直属の公安局といった、法執行組織(警察とか麻薬取締局とか)を、主人公の所属組織として描いてるんですよね。
なので映像化作品の軍隊エピソードや設定は、いずれもほぼオリジナルです。
ほかになんか書きのこしたことあったっけなあ……そうだ、実は『D[di:]』の洞沢由美子キャラデザで、アップルシードのOVA(オリジナルアニメビデオ)が制作販売されてます。
版元はガイナックス。
出来はまあ、ねえ。
これに『実写版ショートフィルム』っておまけ映像がついてるんですが、デュナン役の女の子、りりしくてかわいいんですよ。
珍品ですが、3分程度の長さなので、機会あったらちょっと見てあげてほしいかな。
ブリアレオスのかぶり物がよくできてて、折れストローでジュース飲んでるシーンは妙に萌えます。
矛盾がでた
確かにCGはすごい。特に背景。
でもリアルに作ろうとすればするほど違和感が大きくなって観るのもちと辛い。
CGの落とし穴というか、矛盾なんだろうけどリアルに作りこめてしまうために、
特に人物とのコントラストが妙になってしまう。
人物もがんばってるのは分かるんだけどやはり髪の毛などは無理があるわけだし、アニメ特有の動きがリアルにしちゃっただけに、余計観てて、なんか違う…と頭の中が判断を下してしまう。
技術が高くなると挑戦したくなるのかな。やたらとリアルを求めるのなら、実際の人間でいいじゃんって思ってしまうのだけど。
ひょっとしたら現在はもっと技術が進んでいて実際の映像と見分けが付かないくらいにできるのかもしれませんが。うーん、やはり作りこんだものとは違うのだよね。
その違和感をわざと狙った効果で使うならアリだとは思います。
ストーリーも微妙に古臭い。
一昔前のハリウッドSF映画を観ているような気になった。
画像にこれだけこだわったのならストーリーももう少しどうにかしたほうが良かったんでは。
原作を読んでませんが、原作と変えてあるとしたら余計なことだったのかもしれないですね。
3D・CGとセルアニメの融合、そして原作が士郎正宗とあれば『イノ...
3D・CGとセルアニメの融合、そして原作が士郎正宗とあれば『イノセンス』と比較せざるを得ない。先ずはキャラクターの比較でこちらは負けている。明らかにアユをイメージした主人公デュナン。他のキャラも少女漫画を想像させる容姿なので、感情移入が難しい。そして人物の動きがFFなどのゲームを思わせるポリゴンの動きなのだ。3Dゲームやメカニカルアニメが好きな人や美少女アニメが好きな人は必見であろう。
世界観は、バイオノイドと呼ばれるクローン人間(争いごとを避けるため生殖機能を奪ってある)と人間をガイアと呼ばれる機械の親分が管理しているのだ。人間の潜在的な闘争本能を無くし平和な世界を作ることが行政院、立法院、軍隊、それぞれ共通の普遍テーマとして捉えてあるが、現在の世界に置き換えてみると興味深いストーリーになっている。
未来の世界を決めるのは頭の固そうなじいさんとは違う!民意を反映するためには若者の意志が重要なのだ!そして、もっと深く考えると、一国の決定権は他国の押し付けによるものであってはならないとまで思い出させる映画なのかもしれない。ふっ、考えすぎだな・・・
頑張ってはいると思うが…
(原作未読)
この時代のCGにしては、キャラクターの目や表情の動きや、海や水たまり、水の反射の表現、廃墟感など、かなり頑張っているとは思う。だが、どうしても今見ると昔のテレビゲームのイベントシーンやPVっぽさが拭えない。これを3DCGで描く必要が本当にあったのかわからない。それこそ攻殻機動隊のように二次元アニメでもよかったのではないのかと思う。
この作品で扱っているテーマというか、メッセージのようなものにも共感が出来なかった。全く現実世界とリンクしていない物語な分、どこで感動したらいいかわからなかった。
人間は醜いね。でも守らなきゃね。
どっちかにして欲しい。
作中で登場するバイオロイドというクローンのようなもの。そいつらに未来を任せた方がよっぽど安泰であるとしか見えない。
人間が何故種を後世に残して行かなければならないのか、あまり掘り下げられていない。バイオロイドはあまり関係なく争っているのは結局人間だけ。
そのくせバイオロイドには、愛情があるだのなんだのと。こっちの方がよっぽどいいではないかと思ってしまう。
人間は間違いを繰り返すが、それでもこの世に存在し続けるのには意味と理由がある。という問いかけにはなっていない気がする。
もっとこの独特な設定を上手く使えたのではないかと考えてしまう。
VFXやCGの発達に伴い、歴史の影に埋れてしまった骨董品としては、興味深く見れたかな。
人間の美しさ、そして醜さ
この作品は、人物のCGアニメ映像が独特なので、結構好き嫌いが分かれるようですね。
私は原作は読んだことが無いんですが、普通に見れましたし、気に入ったので何回も見てます。
音楽が良いし、ES.W.A.Tのランドメイトの戦闘シーン・スピード感が好きです。
主人公デュナンは戦闘能力高すぎます。でもまあ、そこはアニメなので・・・。
彼女が、倒れるギリアムを受け止めようとするところはグッときました。スローモーションなんかにしたら、もう、泣けちゃうじゃないですかー。
終盤、オリュンポス最強の兵器「多脚砲台」と、ES.W.A.Tとの戦いは迫力たっぷりで、ランドメイトに乗ったブリアレオスが登場するシーンは格好良いです。
タルタロスの頂上のタンクの真実。
「人間には戦争の歴史しかなく、もう地球の未来は託せない。」
オリュンポス正規軍の大佐・ハデスの存在は、人間の愚かな歴史や醜い感情の、象徴のように思えました。
他人を愛する心を持っていても、戦争ばかり繰り返す「人間」と、かたや争い事とは無縁で、人を愛する心に憧れる「バイオロイド」。
人間がいなくなれば、世界は平和になるのだろうか?
この作品はそう問い掛けていると思います。
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