海がきこえるのレビュー・感想・評価
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匂いまで伝わるほど、その時代に生きた人には響く映画
⭐︎3.9 / 5.0
30年前の本放送からずっと心揺さぶり続ける本作
30年前、進め青春少年という当時のバラエティ番組から取ってつけたようなチョイ枠で突然放映された本作。見た瞬間、気持ちの全てを持っていかれました。
それ以来ずっと、心惹かれたまま。
夏の始まりに永田茂氏の作った本作の音楽が頭に流れ始ます。ファーストインプレッションと海がきこえるという本作のメインで流れる音楽です。永田氏の音楽はなんとも言えない独特の雰囲気を醸し出しており、全然つながりのない高知の風景ですら私に身勝手にノスタルジーを感じさせてしまうのです。
絵は近藤勝也氏。これはもうなにも言う必要がないでしょう。素晴らしいの一言です。
マニアックな話になりますが、録音もとてもいいです。記憶が間違っていなければたしかこの頃、当時渋谷にあった音響制作会社のAPUスタジオがHi8録音に切り替えた頃ではなかっただろうかとおもいます。音響監督は今は亡き浦上靖夫御大。氏のなせる技であろう。また整音が柴田氏と大城氏という2本柱で完璧な業である。
また役者も素晴らしいのです。カミーユ・ビダンと松田耕作が高知弁で話し、ナウシカが方言指導というもはや混乱するレベル。ジブリは近年、宮崎駿の意向でか素人を起用するケースが多いが本作はほぼ本職の芸術的な演技によって支えられているのです。
ジブリで良作はと聞かれたら
ナウシカと海がきこえると即答するでしょう。
すでに映画館3度目の視聴。
高知には行きたいけど行けないので、
吉祥寺の駅構内抜けてあえて吉祥寺の映画館で見ています。「きちじょうじ」の看板は今やスチール製から樹脂製へ変わっている。ロンロンはアトレへ、その昇降口をあえて抜け、タイムトンネルをくぐるかのようにして、得も言われぬ感覚を抱きながら、4度目の映画館に今週も行くことにします。
宮崎駿監督は、なぜこの映画を認めなかったのだろう
ただ一回、この映画を見た私の感想。まず、設定がどうかと思った。製作者たちは、バブル期の東京の若者たちの青春を、高知に持ち込んでいる。
主人公の杜崎拓は、なぜ自由にできるお金をあんなにたくさん持っていたのだろう。地方の進学校の高校生、通常、バイトも許可が降りないはず、もちろん、カードなんて使えず、現金だけの時代。バブル期の東京の情景を映しているとしか言いようがない。彼は、東京の(おそらく)私大に進学してからも、帰省はいきなり飛行機だし。
高校の修学旅行にハワイはよく聞くけど、都市部で系列大学への進学が約束されているところに限られるだろう。普通は、語学研修がせいぜいか。
作画は、予告編を見た時には、ジブリそのものと思ったけれど、実際には、女子たちの描き方が、やや類型的。肝心の二人目の主人公、武藤里伽子は、吉祥寺駅のホームの姿が一番良かった、だけど、高校時代の姿との連続性が弱かった、とても、地方の進学校で、いきなり良い成績を取るようには見えなかったし。母親に連れられて、泣く泣く高知に来たとしても、母から離れて一人下宿なんて、家事の上でも、財政的にも非現実的。高校生たちに土台になるリアリティがなければ、ストーリーで飛翔し、カタルシスを味わうことなんて、できっこない。
三人目の松野豊だけは、地方の奥手の秀才で、卒業後、京都の国立大(おそらく京大)に進学したことも、よく納得できた。杜崎が、最初に帰省した時、それまで仲違いしていたはずなのに、なぜ、松野が迎えに行けたのか分からなかったけど。おそらく、杜崎の家は、裕福で、田舎とは思えない開放的な家庭だったのだろう。
ストーリーも、結局どうということはなかった。でもたった一つ、良かったところも、終盤、松野に指摘されて、初めて、杜崎の抱いていた思いが、武藤里伽子への恋心であったと、気付かされる。特に、里伽子が、同性にもいえないような秘密を、杜崎には、初めから打ち明けていたことが、連続的にリフレーズされる。それにしても、それまで60分もあって、ただただ退屈だった。動きもないし。タイトルの意味も、最後まで明らかにされることはなかった。
私は、ジブリの同系列だったら、宮崎吾朗の「コクリコ坂から」が好きだな。朝食を作るときのリズムとか、よく思い出す。
当時とだいぶ印象が違う
10年後にまた見たい
こんな時代があったなと思う
大人のようで子どもだった年頃。自分をよく見せたいと思ったり、誰にも頼らないと強がったり、背伸びをしていたりしたあの頃。誰にもそういう時があるよね。
ジブリのキャラクターらしくないという声があるけど、それはジブリのキャラクターが特別なのであり、里伽子はどこにでもいる普通の人だから。
男のくせにとか、女には分からないとか、未成年が飲酒や喫煙をするシーンがあり、こういう時代だったなと思い出す。文化祭の後の打ち上げで、コークハイや缶チューハイ飲んでいたよね。店も未成年と分かっていて酒を出していたし、見回りの教師は、「帰りが遅くなるなよ」と言って見逃してくれて、そんな時代だったな。今では絶対にありえないけど。
少年や少女が大人になる前の、ちょっと危なっかしい年頃の空気感があった。ただ、時間が短く、里伽子の家庭事情や母親との関係などがよく分からない。ジェンダーやコンプライアンス等、現代の設定に直して、映像も脚本も作り直すとよいと思った。ジブリが若返り、若手の製作者が活躍するきっかけにしてほしい。
映画『海がきこえる』レビュー|経営者の視点から見る“心の距離”と“選ばれる理由”
『海がきこえる』は、1993年にスタジオジブリが手がけた青春アニメでありながら、派手な演出もない、静かで繊細な作品である。だがこの「静かさ」の中にこそ、経営者として学ぶべき“本質”があると感じた。
高知の高校を舞台にしたこの作品は、主人公・杜崎拓と転校生・武藤里伽子のすれ違いや葛藤を描く。恋愛のようでいて、はっきりとは言葉にしない感情の交差が、観る者の記憶に静かに染み込む。
この物語で強く印象に残るのは「言葉ではなく、行動と思いやりで人の心は動く」という点だ。これはまさに、経営においても同じである。お客様に“選ばれる理由”は、単なる言葉や商品スペックではなく、目に見えない「心地よさ」や「信頼」だ。
たとえば、私が関心を持っているよもぎ蒸しのサロン経営でも同様である。どれだけ効果効能を説明しても、実際に来店された方が「ここは安心できる」「また来たい」と思わなければリピートにはつながらない。それは、店の雰囲気・接客・空気感といった、五感に触れる“無言のメッセージ”で伝わるものだ。
『海がきこえる』の魅力は、登場人物たちが何を言うかではなく、「何を言わずにいるか」にある。その沈黙が、関係性をよりリアルに、そして重層的に描き出す。経営者もまた、社員やお客様との間で“察する力”“聴く姿勢”を持つことが大切だと気づかされる。
大声でアピールしなくても、人の心に届くものがある。『海がきこえる』は、よもぎ蒸しのように、静かに心と体に染みわたる作品である。派手さではなく、芯の強さと丁寧さ。経営においても、そうありたいと感じた
スマホも携帯もポケベルもなかった時代
リバイバル上映で鑑賞。
放映された当時は小学生だったので、初めて聞いた作品でしたがジブリ若手集団による野心作とのことで鑑賞。
結果、大人になった今観てよかった。幼い頃だと面白みを感じなかったかも。
スマホも携帯もポケベルもなかった時代の青春映画。ノスタルジーを感じさせられた。
静かに響いてくる大人のジブリ
高校生の未成熟さ
登場人物はみんな、自分の感じたことや気持ちにまっすぐだな〜と思いました。
高校生ならではの未発達さや未成熟さがあり、他人の気持ちに十分な配慮ができないことが原因で軋轢が生じていました。
りかこは強い芯を持っており、土佐の全体主義にも染まらない強さがありましたね。
一方、自身の家庭が複雑で気持ちが不安定になっていたのでしょうか、杜崎くんを振り回したり松野くんに酷いことを言ったり、他人に配慮できない一面もありました。
ただ、まだ10代だし自分の気持ちに折り合いをつけて他人とうまく付き合っていく、なんて簡単にはいかないですよね。
あとはもう土佐弁たまらない。たまらない!言い回しにドキドキしてまいます。
ジブリの人物はとてもとても魅力的ですよね〜。
個人的には杜崎くん派でした。かわいくて素直でシュッとしててかっこい〜!クラスにいたら絶対好きになってしまう。
放課後、運動部の声が響く無人の教室や、男女で分かれている体育の授業で気になる子をチラチラ見る感じ。
高校生たのしいね!当時の気持ちを少し思い出しウキウキしてしまいました。
静かな余韻
たった72分の映画ですが、好きなジブリ映画の上位に入るお気に入りです。
物語は終始普通の日常ですが、心に残る名作だと思います。
昔テレビで観て以来、20年ぶり位に初めて映画館で鑑賞しましたが、やはり良いものですね。
さわやかな絵柄で中和されていますが、リカコが他者に対する接し方が、妙にリアルで生々しく感じました。今まで接点のなかった男子に、唐突に愛想よく話しかけお金を借りる。
借りたら後は知らんぷり。協調性になさから来る女子同士の対立。
リカコの勝手な振る舞いに苛立ちつつも、女子に話しかけられまんざらでもない主人公。
リカコの事情を知り同情や共感もありながら、それでも特別に親しい関係になる事無く高校時代はあっさり終わる。
ぶつ切りのエピソートの連続が、卒業後に思い出の中で再編され、好きだったんだと互いに気づく。そしてラストの駅のホーム。
派手に盛り上げる事もせず淡々とした描写が、鑑賞後の余韻を深めてくれました。
何年か経って、また観てみたい映画です。
杜崎、がっかりだぜ
リバイバル上映で令和7年にして初めて鑑賞しました。
杜崎、、松野への気持ち分かるよ、、と思ってたら
最後に武藤が好きとか言い出して大横転。
それまでは星5でした!!!
良かった!!
15年ぶりくらいに観た
大人になって改めて見ると、思春期の良い意味の若さや痛さ、スマホも携帯も無かった一昔前の日本がそこにはあって学生時代に見た時よりもノスタルジーを感じた。
ヒロインについては賛否両論あるとは思うけど、あれくらいの年頃にありがちな自分勝手な女性像がよりリアルに描かれてて、最近のラブコメアニメのテンプレキャラに染まってるZ世代には多分響かないだろう。(笑)
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