劇場公開日 2003年10月4日

「再び我らを惑わす時が来るか、陰陽師!」陰陽師II 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5再び我らを惑わす時が来るか、陰陽師!

2019年5月4日
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鑑賞方法:DVD/BD

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興奮

大ヒット&大ブームとなった『陰陽師』の続編。
1作目は劇場に観に行き、レンタルでも見て、忘れもしない昨年の入院生活中偶々BSで放送してたのを暇潰しに見て、そしてつい先日も。
実は意外と見てるのだが、この続編はその昔レンタルで一回見たきり。はっきり言うと、まるで覚えちゃいねぇ。
なので、初見のつもりで鑑賞。

再び都を襲う奇っ怪な陰謀に晴明と博雅が立ち向かう。
奇々怪々、魑魅魍魎な伝奇時代劇の雰囲気。
チープなVFX、アクション、メイク、ツッコミ所失笑所に至るまで。
もはや奇妙な魅力と言えよう。

都に出没し、人を喰らう鬼。
民の間で神と崇められる男。
鬼すら怖るる勇ましい姫、博雅が出会った美しい琵琶を奏でる少年。
雨叢雲剣、天照大神、スサノオ、ヤマタノオロチなど日本神話と絡め、クライマックスは大スケールの都破壊や幻想的な天岩戸のシーンなどなど、前作以上に要素や面白味を詰め込み。

…が、かと言って、奇っ怪な事に面白くなるとは限らず。
要素は充分なのに、纏まりに欠けると言うか、演出や脚本の問題か、話の吸引力が弱い。
せっかく興味尽きない日本神話を題材にしていながら、残念極まりない。
晴明に最大の危機が訪れ、邦画お決まりの“主人公死す…!?”な展開になるのだが、勿論そうはならない。
大団円な最後も何だか今一つパッとせず。
前作も決して傑作ではなかったが、今回は話そのもの疎か全体的に面白味ダウン。

ようやく伊藤英明と今井絵理子の下手っぴ演技に慣れてきたと思ったら、今度は深田恭子と市原隼人の超絶ド下手演技が襲い来る。
この二人の一応感動的っぽいシーンも、真面目にやればやるほど失笑してしまう。
黒幕は出た瞬間に分かる。中井貴一はさすが手堅い演技を見せるが、前作の真田広之ほどのインパクトは無い。
本当に本当にまたしても、野村萬斎の存在感と魅力で守っている。
クライマックスの舞い踊りはもはや妖艶な美しさ。

陰陽師ブームは何かの妖しの術だったかのようにあっという間に鎮火し、映画も2作で終了。
“令和”という新しい元号が本作の舞台である平安時代に書かれた万葉集からの引用で注目され、野村萬斎も全く衰える事の無い人気、滝田監督はオスカーを受賞し、伊藤英明もタフな役者となり、邦画のVFXやアクション技術は向上。
今また、『陰陽師』の新作を作ったら面白いかも。
もし作られたら…、多分劇場へ観に行っちゃうな。

近大