蛇イチゴのレビュー・感想・評価
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つみきみほか、いたなぁ、まきせりほと区別がつかない(笑) 仮面崩壊...
つみきみほか、いたなぁ、まきせりほと区別がつかない(笑)
仮面崩壊家庭が真の崩壊家庭へ。ラストの蛇いちごが、さあ君たちにわかるかね(笑)
評価高い作品あるある。私はあんまり好きじゃない。考察好きの方はどうぞ(笑)
普通の真面目な幸せ一家が実は、、。 兄が帰ってきて、家が崩壊してか...
普通の真面目な幸せ一家が実は、、。
兄が帰ってきて、家が崩壊してからは
それぞれの本性が出て。
妹に頼ろうとする両親に対して、いい加減で不真面目が兄は妹を守ろうとする。
それもまた本心かどうかわからない。
兄妹の会話が秀逸。
悪いヤツだけど憎めない、本気なのかウソなのかわからない
そんな人物を宮迫博之が見事に演じている。
いや、演じているのか、それとも彼の地なのか。
結局兄は妹にウソをついていなかった。
ということだろうか。
表と裏の顔
この作品は、観る人を選ぶ作品であると思います。物語も単調な様子を醸し出しながら家族が着実に崩壊していく様が見事でした。
認知症のお爺さんが食卓でご飯を食べているシーンでも「まさにいける屍か。」というセリフがあった。
あのセリフは、表面では立派な会社を装うっているがただ何も考えず生きている姿を自分に投影しているのでは無いかと思った。
そんな中で父の借金がある事が分かり、今までのはなんだったのだと。
突然現れた兄が家族を救うために奔走しようとしているが、今まで嘘ばかりをついてきた兄のことを信用出来ない妹。
そんな兄がまたもや騙そうとしていると勘繰るが、
最後の蛇いちごのシーンに全てが持っていかれました。
自分が決めた枠組みの中でしか相手を見てない事に改めて気付かされた妹とただ自分に対して思うばかりなんだなと感じました。
いつも正しいと思っていたが…
おじいちゃんが亡くなり
葬式で兄が帰ってきた
教師でいつも正しい事を言っている
真面目な妹。
そんな妹とは対照的な
兄はいつもデタラメなことばかりで
嘘つくことが当たり前で信用ならない。
…事の発端は
父が会社をクビになり借金まみれ
そんな状況で葬儀の最中借金の取り立てにあって兄がその場を納めた。
父と母は助かったと思い兄を
見直したが妹は香典泥棒は兄だと
思って騙されまいと両親を諭す
幼い頃、兄が美味しいと言っていた
…蛇イチゴ
森のなかに無かったことを思いだし
兄と共に行ってみることに。
途中
川の向こうにある
と言われたが妹は川で引き返す
兄がウソをついて逃亡すると思っての事
…でも、帰ったらテーブルの上に
蛇イチゴが置いてあった
兄が言っていたのは本当だった
…何が正しいのかはわからない
思い込みはほどほどに。
と思いました
純粋に
笑える要素も
あっておもしろい
宮迫の嘘つく感じが効果大なのかも
お洒落なラスト
「家がおしまいになっちゃう前に、お兄ちゃんに出てってもらおう」
平凡で普通の家。
だったはずが、父親の借金をきっかけに家族が崩壊していく。
そんな折、勘当された兄の周治が帰省する。
周治は家族のピンチを救おうと奮闘するが、妹の倫子だけは周治を信じられずにいた。
「お兄ちゃん、ちょうど今頃の季節に小学校の裏山で蛇イチゴの木見つけて、食べたらすごくおいしかったとか言って、私に嘘言ったの覚えてる?」
「違うんだよ、馬鹿だな。あったんだけど、お前が間違っただけなの」
久しぶりの兄妹喧嘩の末、周治と倫子は蛇イチゴを探しに行くことに。
暗い山道を歩いていく二人の先に、蛇イチゴは…
お洒落なラストにゾクゾクした。
途中、もしかして周治は本当の息子じゃないんじゃ…と邪推してしまったが、そんなことなかったw
結局、周治は本当に家族を助けようとしていたのか、それとも騙そうとしていたのか。
それは観ているこっちもわからないままだけど、最後は不思議な爽快感を得られる映画だった。
【”虚構の家族。そして、嘘と真実の狭間で生きる人々・・。”人間の内面に秘めた嫌らしさ、醜さ、普段は言えない”本音”を、当時28歳!の、西川監督がオリジナル脚本で描き出した作品。】
■祖父、父、母、娘のごく平凡な家族・明智家。
娘・倫子(つみき
みほ)は同僚との結婚を控え、父・芳郎(平泉成)は一家を支え(ているふりをして・・)、母・章子(大谷直子)は痴呆症の祖父・京蔵を世話している。
だが家族全員が誰にも言えない”秘密”なり”不満”を抱えている。
そこに10年目に家を出た、長男・周治(宮迫博之)が突然帰ってきて…。
◆感想
・今作は、今や邦画を代表する監督になった西川美和さんが、28歳の時に脚本・監督をこなした作品である。
今作には、その後には公開された数々の映画で、描かれている人間の、内面に秘めた嫌らしさ、醜さ、普段は言えない本音を抱えた一見普通の幸せそうな”家族”が描かれている。
・今作の、キーマンになる周治は、借金塗れだった父を助け、母は彼に縋ろうとするが、周治の真実を知る倫子のみが、”昔、蛇イチゴがある・・”と兄に言われ大変な目に遭ったことを忘れずに、”兄に家を乗っ取られる”と反対するが・・。
<ラストシーンの解釈はそれぞれだと思う。
倫子は兄とともに蛇イチゴを探しに行くが、倫子は途中で探すのを辞め、香典泥棒の兄の所業を警察に伝え、フラフラと川沿いの道を歩いて行く。
そして、家に帰ると兄の服は無く、机の上には、蛇イチゴが置いてある。
- ここの、暈した映像から、蛇イチゴにフォーカスして行く様が、絶妙である。-
今作は、嘘と真実の狭間で生きる人々の姿を描いた、ブラックコメディである。>
最後は良い
お父さんが最悪で、ずっとモヤモヤモヤモヤ
だってどうするの?
自分で作った借金なのに、偉そうにしてて。
日本の家庭の嫌なところばかり見せられているようで、気分が悪かった。
自分と重なるところがあるからかもしれないけど。
お兄ちゃんの小気味良さがちょっと救い。
最後、蛇いちごのところだけ良かった。
蛇いちごはあるのか?ないのか?
ドキドキ
とも子は越えられるのか、越えられないのか?
川を、世間体を、常識を、普通を…
……
越えられないのだけどね。ここでは。
でも、とも子は気づくと思う。
もっと近いて、自分の目で見なければいけないと。
○○くんのお母さんがどうなのか、自分の目で確かめなければいけないと。
最後は良かった。
西河美和さんの新しい作品を見た後、4つ目の鑑賞。
ここから始まったと思うと嬉しい。
心の機微を映像に映し出す技術が、この作品でも見られるけれど、さらにどんどん上がっていったのですね。
蛇いちご
宮迫の演技はやはり素晴らしい。
嘘吐きだらけの家族の中、妹のみ嘘をつけず兄を警察送りにする。両極端な家族?
メッセージとしてはちゃらんぽらん過ぎるのはダメだが正直過ぎるのはどうかな?というのを感じた。
どうにでもなれ、かな
ボケたお祖父ちゃん(笑福亭松之助)が亡くなり、葬式に音信不通だった長男(宮迫博之)が戻ってくる。
出棺のとき、借金取りが押しかけてきて、親戚連中はすぐに居なくなる。
父親(平泉成)はとっくにクビになっていたが、言い出せず借金を重ねていた。
母親(大谷直子)は長男の言いなりで、妹(つみきみほ)は我慢できない。
悲惨だけど笑わせてくれるホームドラマ。
マスダくん
教室にてまんまとのせられて、生徒を嘘つきと断罪してしまい、生徒に突っ込まれて言葉を失う。ラストとも共通する話。多くの嘘が潤滑油のように家族に染み入って、全てが露わになった後、不思議と和らいだ表情を浮かべる両親。つみきみほの整った眉毛が対照的。
基本的にコメディなのか、絵沢萠子の下着姿だとか大泉成の入浴姿だとかギョッとするが、総じて笑いにはならない。どうも芝居がチグハグに感じた。
何せオチが良い。
嘘がテーマのこれ以上の作品を知らぬ。
座敷の暗闇に佇む宮迫の死相。
大谷のようにこの役を演れる女優が世界に何人居るか。
序盤教室の金魚の件(何というサスペンス!)が全編の通奏低音になる構成の妙。
本処女作から緩やかに下降する(永い言い訳、で上向いたが)西川美和の復調を。
必見。
何せオチが良い。
後の片鱗
個人評価:2.0
時折みせる不快感しかない演出と映像は西川美和自身のしたい事だろうか。外部からの演出の口出しがあったと思いたい。吉本芸人を細く起用しなければならないキャスティングも、まだ初監督作品である本作の悲しい部分だろう。
後の西川作品の片鱗はうかがえなかった。
ちょっとだけ共感する人たち
テンポ良く、するする観れた。
デビュー作でオリジナル脚本で、
すごいわぁ~。
西川監督って、人間観察の力が半端なく高いよな。
ダメな部分も、ちゃんと愛らしく描くから、本当にキライっ!て人が出てこない。
お兄ちゃんは、アカンたれだし、
お父さんは、借金作ってんのにエラッそうだし、
お母さん、ああ~我慢の限界きちゃったかぁ…だし、
妹だって、マジメ過ぎるし、
義姉さんだってイラつくし、
あのカマタですら、小憎らしいけど、キライじゃない。
なんか、みーんなちょっとだけ共感できるんだよなー。
そのちょっとだけの描き方が巧いなぁ…。
ラストも好きだわ。
西川美和伝説の始まり
父はこっそり失業中。兄は香典泥棒。知らずに入った葬儀場で偶然に祖父の死に巡り合うのだが、父が借金だらけであることも露見してしまう。詐欺師である兄は咄嗟に弁護士と名乗り、急場をしのぐ。これがまたすごい。
香典を盗んだ金は父の借金の一部を返済するものの、破産申請という手段をすすめる兄。婚約も破談になりそうな倫子と兄の会話は、とてもリアル。嘘をついたことがない妹と嘘ばかりの兄。自分の妹との会話もこんなものかもしれないとクスクス笑ってしまった。まぁ、言ってみれば『男はつらいよ』の設定と同じと思えばいいのですけどね・・・兄を信じないという妹の性格だけは違うのかもしれません。
兄が昔言った「蛇イチゴ」を探して森の中へ入っていく映像だけはよかったけど、後味が悪くなってしまった
10数年前の家族ってこんなだったんだ。
永い言い訳が絶賛上映中の2016年ですが、西川美和の監督デビュー作、蛇イチゴを映画館で観る機会に恵まれました。地方暮らしの身でして、レンタル店にも置いてなくて観られてなかったんです、蛇イチゴ。わーいわーい。
公開が2003とか2002年ということですんで13・4年前の作品です。
当然出演者が若い。まずはお馴染みの彼らの若かりし頃を堪能しました。
ともこの生徒のますだくんが染谷将太ですね。なんてかわいいの。小学生!
若い宮迫と蛍ちゃん、菅原大吉に手塚とおると、この人がこんなところに!がいっぱいで楽しかったです。寺島進と佐藤浩市もいましたね。平泉成はあまり変わってないね。
語り口は今と同じです。わ、西川美和だ!って感じです。
登場人物の人生観が、2000年代初頭だなと思いました。そんなに変わってないと思っていたけれど、やはり変わっていますね。それを実感しました。
男性で独身のまま三十路を迎えたのが情けないと自嘲する風でしたし、あんなに症状の進んだ認知症をいくら専業主婦とはいえ介護サービスなしって、今では考えにくいですもの。
おそらく映画の中の時代では、おじいちゃんは認知症ではなく、呆けたという認識なんだろうと思いました。だからおじいちゃんの大変さを言葉にしないし、隠してるかどうかの確認がいるってことです。
娘はおそらく25、6歳で、もう結婚を明日にでもする事として意識している。もちろん2016年でも26で結婚してますが、全く迷いなくって感じが少し前の事だと思わせます。
一見いい関係の幸せそうな家庭です。でも秘密を抱えていて、化けの皮がどのように剥がれ落ちていくかというお話です。
メーカー勤務のお父さん、呆けた舅であるおじいちゃんを世話する専業主婦のお母さん、小学校の教員をしている娘の家庭です。
はじめはお母さんの父だからお父さんはおじいちゃんを汚いもののように扱ってお母さんにだけ世話をさせるのかと思ってましたらどうやら違う。嫁に介護を無言で押し付けている様子です、そして嫁はもうだいぶん疲弊している。
お父さんは、娘には甘いが普通に偉そうな人で、どうやら無職を隠していることが割と早いうちにわかります。
娘は可愛がられて育っており、正論で全部生きていけると思っている様子です。
HRで、飼育係の仕事をサボるますだくんが嘘ついていると決めつけています。物事にはなんでも両面があり、子供でも簡単に本音は言わないことを全く考えたことがなくて、という幼稚な小娘です。だけど本人はいっぱしの社会人のつもりです。
さて、娘は恋人がおり親に紹介する段の様子です。既に前からある秘密が一つあって、それは長男がいるが勘当されていて消息不明であることです。まあそれは当然黙っておき、恋人のお披露目は無事終了。ですがお父さんは借金取りに呼び出され、お母さんはおじいちゃんの大暴れにぐったり。発作を聞こえないふりして死んでもらったのでした。
お母さんの悲しみはわかります。そら息もつまりましょう。夫からは召使いと変わらない扱いで、上げ膳据膳の娘は一丁前の口聞いて母の気持ちを慮る人はいない。おじいちゃんはだいぶん頭がお花畑で、味噌汁にイチゴジャム入れちゃったりする(面白かったけど)。
お父さんみたいな男は大嫌いなので、とっとと自己破産しろよと思いました。兄は、、、ほっといていいでしょう。
若かりし頃の西川美和の、辛辣さを堪能できてよかったです。
ラストのテーブルの上の蛇イチゴがよかったです。
キョウダイ
個人的には「キョウダイ」を描いた作品なのかなと。
監督は兄弟がいるのかな?
「ゆれる」含め兄弟的な作品を描かせたら天下一品だと思った。
キョウダイって不思議で。
死ぬほど嫌いで興味なくて、だけど大切。でも同族嫌悪。だけどほっとけねー。
どっかで信じてしまう。
2時間弱正直なんの盛り上がりもないというかそんな感じなんだけど、
共感する人が見ると揺さぶられる。そんな映画。
日本映画っていいなって思いました。
わたしは日本人なので、やっぱ正直外国の映画見ても気持ちが深いところまで分からない。
※決して外国映画を馬鹿にしているわけでもなく、人種的なもんだいを述べているつもりもありません。
日本人的な兄弟のしがらみとか、家のうんぬんかんぬんとか、そーゆーの苦しい。
そーゆーのを真正面から描かれると逃げてた現実を突きつけられてしまう。
日本人の家族は遠慮をしているからほとんどの家庭が幸せにみえるさ。
だけど、きっとほとんどの家庭がそう見せたいだけさ。
宮迫さんさ、正直演技くさいから好きじゃなかったんだけど、良かったです。
自然にそこに居ましたね。
ただ、印象的なシーンは宮迫さん関係なく。
手塚とおるさんとつきみみほさんの会話から。
上述の通り、日本人は見栄っ張りさ。
いい家庭。仲のいい家庭が好きさ。作る。
だから作る。だから、その中にいる家族すら気づかない。
手塚さん演じる鎌田さん。明智家に訪れ感動します。
暖かくて、貧しくても、自分の家にないものが明智家にはあると。(鎌田さんは金持ち)
だけど、おじいさんの葬式の日に知ります。
彼女(つきみみほ 明智倫子)の父(平泉成)が、いつのまにか会社を首になり借金まみれになっていたこと。
そして、彼女に言います。
俺は騙された気持ちだと。
それに倫子はいいます。
私だってなにも知らなかったと。騙されたというなら私も同じだと。
家族は素晴らしい。
困ったら無償の愛で支えてくれるのが家族。
それは私は今でも思います。
だけれども。
ボランティア集団が必ずしもお互いのことをすべて知っているわけではないように。
家族も、お互いのことをすべては知らない。
だから裏切られるし裏切る。
だけど、西川美和さんのにくいところ。
いつもテキトーなことを言って、本当のことなんて何も言わなかった兄(宮迫博之)が、
最後の最後に、蛇イチゴを食卓に置いて帰る。
※小学生のころ倫子に蛇イチゴがうまかったと場所を伝えたが倫世がたどり着くことができず泣きじゃくり、大騒動となり、今でも倫子は兄のウソだったと思っている場所に生息している蛇イチゴのこと
そのシーンがなかったらさ、「いくら血がつながっているキョウダイだって裏切るし裏切られるさ」で終わってた。だけどそのシーンあるからニクイ。
キョウダイって、家族ってほんと不思議。
行ってしまえばただ血がつながってるだけ。
なのに、ほっとけないし悲しい顔は見たくなくて、そんでやっぱほっとけない。
困っちゃう。
根元をただせば、同じとこから育った木でそこから増えた山でしょう。
だけど隣にいるあなたのことも、あなたが生きる未来も、
そして自分が進む先も、雲がかかってよく見えない。
それでも、あなたが進む先がまっすぐで美しいものであるようにと願う。
それは、つまらない私という人間が持っている、唯一の優しい気持ちかもしれない。
どんなに私が落ちぶれても、つまらない人間になっても。
あなたの悲しい顔は、見たいとは思わない。
それが血がつながった家族かも。
家族って?
平凡な家族があり、父(平泉渉)は勤続30年母(大谷直子)は認知症の義理父を支え頑張っている。娘(つみきみほ)は学校の先生で恋人もいる。そんな一家が義理父の突然の死からがらがらと崩れ始める。告別式に10年音信不通だった長男(宮迫博之)があらわれる。真面目な父と思っていた父は会社をリストラされサラ金に追われていたことが発覚し真面目一本な娘は混乱する。しかも恋人の態度も急変。
母も心が不安定になる。
家族ってなんてもろいものでお互いのことはじつは何にもわかってないのかもしれない。そんなことがよくわかる。
小さい頃倫子に蛇イチゴが美味しかったと兄が場所を伝えたがたどり着くことができず大騒動になったことがあり、またふたりで探しに行く。兄のウソがどこまで信じていいのか家族って兄弟って?
倫子は真面目な性格から兄を警察に売るのだが、それも父と母を守るための優しさだ。
本当のことはなんにも言わなかった兄だが最後に蛇イチゴを食卓に置く兄。
それを見て妹の心もまたゆれるのだ。
西川美和さんの映画は本当すごく日本人の心のゆらぎを描いていて面白いです。
嫌な気分になりたくなったらまた観ようと思います
なんとも嫌な映画でした。勿論良い意味でです。
西川監督のデビュー作?と聞いていてとても期待してみましたが期待以上でした。
とても日本的な嫌な気分になる映画です。韓国映画やハリウッド映画の様な分かりやすい悪意じゃなく、ピントがぼやけた半笑いの悪意が映画全体に染み渡っています。
どうしようもない話なんですよね、本当に。
同僚の不正を庇って会社を首になって、それを家族に言い出せず借金を繰り返す父親、芳。
認知症の義父の世話で疲れ果て、義父を見殺しにしてしまう事になった母親、章子。
嘘ばかりついて、香典泥棒を繰り返す兄、周治。
そして正義感の強い良い子の妹、倫子…。
表面上穏やかだった家族が義父の死と兄の帰宅をきっかけにどんどん壊れていくお話です。壊れていくというか、元から壊れかけだったのを皆が見て見ぬふりで取り繕っていたんですね。それが一気に崩れてしまう。ボロボロの中大量の借金で首は回らない、さあどうするのか。
そんな境地で明智家は一人一人とても人間らしく振舞い、皆が皆悪人ではないのも相まって絶妙に視聴者をイライラさせてくれます。
宮迫さん演じる兄、周治が本当にいい味出してました。
周治は中学生だった妹のパンツを勝手に売ったり香典を掠めとったりとどうしようもないクズですが、口がうまく、信頼を失い家族から勘当されていた筈なのにその中にあっさりと戻ります。父親とフラフープで遊び、母親には甘えられ、兄を疑っている筈の妹も楽しくおしゃべりしてしまう。彼は借金で破滅ぎりぎりの明智家で、借金取りを追い返して、解決策を提示し父母の財産を自分名義にするように仕向けさえするのです。もうこれは才能です。
けれど彼の真意は最後まで分かりません。家族を本当に助けようとしていたのかすら不明。へらへら笑って視聴者にすら何も見せてくれないのです。最後まで視聴者さえ彼を信じればいいのか分からない。とても見ていて不安になる人物を宮迫さんがコミカルに演じていました。
家族の中で倫子だけがそんな兄を疑うのですが、それを父母に言っても白けた態度をとられてしまいます。真面目で正義感が強く嘘なんかつかない倫子の正しさよりも、いい加減でダメな周治の救いの方を両親は必要としてしまったのです。倫子が可哀想ではありました。正しい事を言ってるのに、息が詰まるとまで言われてしまうんですから。しかもあの結末ですからね、正しさって何なのかと考えてしまいました。
印象に残っている場面はいくつかあります。
・義父のご飯シーン(良い感じにイライラする)
・章子のお風呂清掃シーン(悲しいし遣る瀬無い)
・葬式の場面で借金取りとのひと悶着とその最中の義父の絶妙な表情(死体ですが)
・義姉の言葉で一気に壊れちゃう章子(あの無表情から一気に言動がいきいきし始める流れが怖い)
・倫子と恋人鎌田の言い合い(もやもやが半端ない)
・朝目覚めた芳の傍らで倒れている章子(し、死んだの?寝てるだけ?)
・かっこうかっこう~♪
特に最後の蛇いちごが机に置かれているシーンがとても好きです。溜息が零れました。
蛇いちごは本当にあった=兄が本当の事を言っていた=兄は本当に家族を助ける気だった?
いやいや真実はやっぱり誰にもわかりません。そもそも蛇いちごが美味しい訳がないですよね。
周治はやっぱり嘘つきでしょうが、どこまでが嘘だったのか。もしかしたら家族を助けようとしてくれてたの?という可能性が残っているのに半端ないもやもやを覚えました。うーん。たまらん。
蛇いちごとそこを這う虫がとても嫌悪感をあおるラスト。
淡々としていますが引き込まれました、面白かったです。嫌な気分になりたくなったらまた観ようと思います。
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