「神田沙也加さんを偲んで(おはぎを添えて)」ドラゴンヘッド 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
神田沙也加さんを偲んで(おはぎを添えて)
2度目の鑑賞
いずれもDVD
前回はレンタル開始になって間もないころで久々に鑑賞した
2003年の作品
今から18年前の作品
パニック映画
サバイバル映画
ポンペイ最後の日のような世界観
撮影場所はウズベキスタン
2ヶ月の撮影
山田曰く一度くらいの観光なら良いが住めないらしい
長編の実写映画に限っていえば神田沙也加のデビュー作
日本映画初出演
当時はSAYAKA
原作未読
原作は『バタアシ金魚』『鮫肌男と桃尻女』の望月峯太郎
監督と脚本は『らせん』の飯田譲治
脚本はほかに
『SF サムライ・フィクション』『RED SHADOW 赤影』『黄泉がえり』『鉄人28号』『青いうた〜のど自慢 青春編〜』『チーム・バチスタの栄光』『サムライマラソン 』『老後の資金がありません! 』の斉藤ひろし
『大怪獣、東京に現る』『どろろ』『スキヤキウエスタンジャンゴ』のNAKA雅MURA
修学旅行で東京に戻る途中の静岡県辺りで富士山が噴火し大地震で乗っていた新幹線が脱線事故
多くの乗客乗員が亡くなったが生き残った3人の生徒
青木テル(妻夫木聡)と瀬戸アコ(SAYAKA)と高橋ノブオ(山田孝之)
テルとアコはノブオを残し真っ暗なトンネルの中を抜ける
そこは雪国ではなく灰が降り注ぐ真っ白い死の世界だった
壊滅した街をトボトボ歩く2人
やっと生きている人たちに会えたと思ったら磁場?のせいで頭がおかしくなっている
自衛官の2人が助けにくれたのだが
大事故から生き残る話といえばハリウッド映画の『生きてこそ』を思い出す
内容はだいぶ違うが邦画ファンの僕から見てもあっちの方が面白い
予算の都合なのか事故の瞬間を映像化できなかったので物足りなさは否めない
火山灰の影響で日差しが殆どない設定のため全体的に薄暗い
明るい映像といえば主に火の玉くらい
あと病院の地下室だけが鮮明でカラフルでかなり異質
妻夫木や沙也加の芝居を酷評するレビュアーも見られるがハッキリいって全く共感する気もないし共感できなかった
そりゃ最近の方が上達してレベルが上がっているのは当然だが少なくとも当時だって酷くはない
邦画を叩いておけば映画通だと思い込んでいるよくいるつまらない輩だろう
特殊なメイクを施した山田が印象的
2人に比べると登場シーンは少ない
ヒール役は初めてらしい藤木直人がわりとよく似合っていた
生々しい傷にスキンヘッドの男の子2人はインパクトこそあったけどカットしても良かったのではないか
原作ではきっと人気キャラで外せなかったんだろう
原作ではもっと活躍の場があったのかもしれないが尺の問題でこうなったのかもしれない
それならいっそのことこの作品には必要ない気がするが
火だるまになった男はCGではなく本物のスタントのようだ
凄いですね
せめてギャラははずんでほしいものです
いくらなんでも実際の被害はこれほど酷いとは思えない
リアルに欠けるので身につまされることない
阪神淡路大震災や東日本大震災でも証明された通り日本で生まれ育った人々は大地震で殺し合いを始めるような民族ではない
ラストはド派手に噴火活動を続ける富士山と対峙しアコを抱きしめながら「絶対生き続けてやる」と宣言するテル
星3つが無難かな
セル用ならともかくレンタル用にも関わらず事細かなメイキングが特典映像にある嬉しいサービス
沙也加の誕生日を祝う場面が泣けてきた
神田沙也加のスクリーンデビューは『ドラゴンヘッド』だと思っていたが実際は違う
アメリカに在住していた小学生の頃に現地の短編映画『おはぎ』に出演しているがそれが本当のデビュー作
カンヌで高い評価を得た
たった12分
当時は母親が再婚した影響でクレジットは波多野沙也加と表記している
SAYAKAでもなく神田沙也加でもなく波多野沙也加
波多野と言えば波多野結衣ということもあり強い違和感
時代は1933年で場所は東京
学校の制服が間に合わず着物で登校してきた小学生の男の子は転校生
授業中に先生から1番好きなものを聞かれ「おはぎ」と答えたらなぜか廊下に出され正座をさせられた
母親が呼び出され先生から同じ質問をされ「天皇陛下」と答えると許してもらえた
自宅に帰りクラスメートの女の子(沙也加)と一緒におはぎを食べる
女の子は「わたしとおはぎでどっちが好き?」と質問する
即答できない男の子
そんな話
理不尽な展開からほのぼのとしたオチが良い
10分余りの短編でもこれだけ面白い
『21世紀の女の子』で監督を務めた女性陣の皆さんはこの作品を見習ってほしい