「狂気を弄ばないで」ドラゴンヘッド odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
狂気を弄ばないで
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日本は地震大国だし火山噴火も恐ろしい、てっきりその類のディザスター映画かと思って観たら狂気性を弄ぶだけのホラー映画、まんまと騙された。確かに映像的にはカルデラ噴火並みの地獄絵図、あながち嘘とも言い切れない描写はよく撮れていたものの内容は頂けない、如何に過激でセンセーショナルであるかをモチーフとしたエロ・グロ・ナンセンス・コミックが原作だから致し方ないといったらそれまでか。外国では災害時に略奪や暴動が起きるのは当たり前、状況次第で理性が当てにならないことは日本人も例外ではないだろう、ただ利己的に動くことと錯乱とは次元が異なる、前半の描写はまるでゾンビ映画、地磁気がどうとかとこじつけてはいるが、奇異をてらったパフォーマンス狙いにしか映らなかった。
食べ物の嗜好でも唐辛子山盛りやハバネロまでぶち込んで辛さを旨いとする者もいる世の中だから複雑だ、それでもさすがに原作のままでは世間の顰蹙をかうと思ったのだろう「絶望の果ての希望は愛?」と月並みな着地をするから余計おかしな味わいになってしまった。
特撮は良かったが音声が酷かった、セリフがほとんど聞き取れないのに効果音やBGMはやたら大きい、パッケージやストリーミング用には整音し直すくらいの手間は省かないでほしい。
テレビ局も本作を作れるほど金が余っていたなら石黒耀、高嶋哲夫さんといったディザスター小説の大御所の正統的作品の方の映画化を望みたかった、今となってはテレビ局も余力はないから無理な注文か・・。
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