壬生義士伝のレビュー・感想・評価
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有りそうな歴史小説
浅田次郎の長女が岩手の医大に入学したことが、きっかけとなって作られた小説らしいが飢饉で口べらしのために吉村の妻が入水自殺しようとするところなど時代背景も良くわかり父親の愛ゆえに守銭奴をおかしく演じているのも良かった。最後切腹を命じられ、どんなに妻子に会いたかったか。
佐藤浩一もカッコよかった。
想像してたのとは違うかな
終始盛り上がりにかける映画だったかなと。
幕末というと刀と刀のぶつかり合いで血なまぐささがあって、その中にも武士の浪漫みたいなのがあるのが醍醐味だったりするもんですが、こちらの映画はこういった要素はなかったかな。
なんで個人的には物足りない感じがしました。
新撰組は好きなだけに、もうちょっと血の気のあるガチガチな感じの世界観を出して欲しかったですかね。
中井貴一はとってもいい役者さんだなとは改めて思いましたが。
話は良さそうなのだけど
話は良さそうだし、画の作り方はとてもよかったように思う。
かっこいいがよくわかっている。
しかしながら、こんなに多弁でいいの?
何でもかんでもモノローグやナレーションを入れることでごまかしているようにしか思えなかった。
それがドギツイ。
映画はもっと寡黙であるべきだ。
台詞やなんかですべてが台無し。
感動してください。感動してくださいと言われているような気持ちになって途中で見るのを断念した。
武士とはプライド高き生き物
映画評価:65点
ポイント:[家族愛][信念][武士道]
私は根っからの新撰組のファンです
世の中の新撰組作品は、近藤局長や土方、沖田に斉藤一の様な豪華な主人公が多く、丞や鴨等の外目線も存在する
が、今回の様な誰だか分からない下級志士の半生を描くのは珍しい
新撰組の上級層は、野心のため、国のため、幕府のためと殺気立っているが、主人公の様な下級層は家族のためなのだろう
金が必要だから切る
そんな下級武士にもプライドがあり、武士道がある、それを感じさせてくれる素晴らしい作品でした。
骨太な作品
幕末で新撰組と、王道をいく作品なのかなと思いきや、斉藤一に絡む吉村貫一郎という地方武士の物語。浅田次郎原作だけあって、貧しい家族のため脱藩し、小銭を稼ぐ生活が泣ける。そんな中でも、武士としての誇りを失わず、見事な最期を迎える。中井貴一がうまい。佐藤浩市もさすが。
小さな人物を描ききる物語と演出の良さ
総合:85点
ストーリー: 90
キャスト: 75
演出: 85
ビジュアル: 75
音楽: 70
動乱の時代に血生臭い組織において、たくさんの有名な英雄がいたのに、無名の人物のとても小さな物語が描かれている。こういう物語は話が多くの有名人の影に隠れて話が小さくなりすぎて退屈になるものもよくあるのだが、演出と物語がうまく調和していて魅力のある展開になっていた。何よりも家族を大切にして、それを守るためにはこの時代では時に命よりも大切とされていた名誉を傷つけ、命を懸けて家族のために働く。もちろん新撰組にいる以上は武士としての生き方を無視することも出来ず、結局そのためにまた命を懸けることにもなる。そんな中井貴一演じる吉村貫一郎の生き様に引き込まれた。
脇役の登場人物の配役には満足したとは言い難い。例えば斉藤一が身請けした醜女役がすっきりした上品な美人顔の中谷美紀では、いったいどこが醜女なのかというのがあってのめり込めない。あまり美人じゃないけど不幸の影を背負った情け深い女優の配役は他になかったのだろうか。吉村貫一郎の家庭が困窮しているというのも実感がない。女房役の夏川結衣も同様に、所帯じみて貧乏に四苦八苦してるという雰囲気がない。もっとぼろぼろの服着て汚れたやつれた顔していないと、自殺を図るまで追い詰められている印象を受けない。基本的に女優を女優として綺麗に撮影しようとしてすぎていて、妾や貧乏武士の女房を撮影しようとしていない。
それと剣術についても、場面によっては戦闘慣れした新撰組という割にはちょっと素人くささの残る及び腰なものに見えてしまったので、もう少し技術や凄みを出してほしい。
『おくりびと』同様に、セリフをセーブし、間をとって表情の変化だけで感情を表現する演出がなされておりました。それに合わせたカメラアングルやカット割りで見るものをぐいぐいと画面に引き込んでいきます。
MOVIXのワンコイン上映でやっていたので見ました。
何年か前にレンタルで見た記憶もあったのですが、『おくりびと』の滝田監督作品と言うことを念頭に置きながら、演出方法や画作りを中心に見ていったので、ビデオで見たのときは、全然違って見えましたね。
作品は、一見新撰組の話かと思いきや、そのなかの隊士吉村貫一郎の生き様に強烈に語りかけた作品でした。
今見ると『おくりびと』同様に、セリフをセーブし、間をとって表情の変化だけで登場人物の感情を表現する演出がなされておりました。それに合わせたカメラアングルやカット割りで見るものをぐいぐいと画面に引き込んでいきます。特に泣かせるシーンの作り方が上手すぎて、何度も涙をぽろぽろこぼす羽目になりました。
やはり滝田監督は、ずっと前から天才だったのですね。名優中井貴一のポテンシャルを極限まで絞り出すような演出でした。
その中田が演じる吉村貫一郎の面白いところは、剣の腕は立つのに惚けたお人好しの田舎侍で通すところ。この物語は明治以降も生き延びた斎藤一が、吉村の義理の息子に語っている形で進行しているのですが、その斉藤が余りのうざったさに、辻斬りにしようと襲ったほどのものだったのです。
さらに金には強欲。近藤隊長に給金についていちいち駆け引きする始末。武士にあるまじき欲深さでした。
しかし、一度剣を交えれば、剣豪に豹変。そして武士の義において、見かけとは違って頑なに徳川幕府に忠義を貫こうとしたのです。
この二面性を巧みに演じ分けている中田の演技が素晴らしい!
圧巻は、ラストに切腹を覚悟するシーン、約10分に及ぶ自問自答により、家族に対し先に死んでいく許しを請う一人芝居には、画面に引き付けられました。
当初吉村を人一倍嫌っていた斉藤は、義に熱い彼の本性をとことん惚れ込んで行きます。反発しながらも、唯一無二の存在になっていく吉村と斉藤との関係の描き方も良かったですね。
斉藤の話を聞いていた吉村の義理の息子が、吉村の最期を語ったとき、思わず涙ぐむ斉藤に感動しました。あれほど家族のために逃げろ、生きろと言って聞かせたのに、無念であったのでしょう。一匹狼の斎藤一を真に理解し得たのは、生涯で吉村ただ一人であったろうと思います。ニヒルな斎藤を演じた佐藤浩市もドンピシャでした。
そして吉村が脱藩せざるを得なかった経緯も感涙もの。愛する妻とのなれそめ。貧しい生活に襲いかかる飢饉。家族の口減らしのために身もごった子供ごと入水自殺使用とする妻を前にして、脱藩を決意し、心を鬼にして子らと別れるシーンが涙を誘いました。
滝田監督は、特に家族の絆を描くのが上手い監督ですね。
かつての親友であり今は南部藩の差配役となり、吉村に断腸の思いで切腹を命じるった大野次郎右衛門を三宅裕司の演技も良かったです。
金のためには、どんな汚い仕事も引き受けた吉村ではありましたが、根底の部分では、頑なに南部藩士としての名誉を守り抜きました。そのまっすぐな生き様は、息子まで徹底していたのです。きっと彼の生き方に、深く共感されることでしょう。
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