映画ドラえもん のび太と鉄人兵団のレビュー・感想・評価
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等身大ロボットという男の子の夢
スネ夫が従兄に作って貰ったというミクロスを見て、自分も巨大ロボットが欲しいとなるのび太。いやいやミクロス凄過ぎだろと思わざるを得ない。何しろ人間サイズでありながら空まで飛べる上に、その状態で器用にのび太のランドセルを奪い取るという芸当まで可能なのだ。後にドラえもんが改造することで喋ることも出来るようになるのだが、この時点では純粋に20世紀日本製という設定にも関わらずだ。スネ夫の従兄凄過ぎなんてものじゃない。2025年においてもオーバーテクノロジーの域だ。
話を戻すが、ドラえもんに泣きついたのび太だったが無理と撥ね付けられてしまう。ドラえもんは北極へ行ってしまうのだが、さすがに自分が悪かったと感じたのび太はドラえもんを追いかけて北極へと向かう。そこでボウリングの玉を見つけたと思ったのび太だったが、なんと上空からロボットの足らしきものが落ちて来る。それを持ち帰ったのび太は、次から次へと送り込まれるロボットの部品を組み立てて行くことにする。しかし、あまりのサイズ感に家では無理となり、ドラえもんがおざしきつり堀に逆世界入りこみオイルを垂らしたことで作った鏡面世界で作成することなった。
完成した巨大ロボットはザンダクロスと命名されるも、操縦が出来ないためドラえもんが取り寄せた制御コンピューターを組み込み、コントローラーを握った状態で命令するだけで動かせる仕様になって完成する。実は操縦系統である部分はボウリングの玉のようなものであり、のび太のママによって物置に片付けられてしまっていたのだった。しずかちゃんも呼んで鏡面世界で遊んでいたのび太とドラえもんだったが、しずかちゃんが操縦席でふと押したボタンによってビームが発射され、ビルが破壊されてしまう。恐ろしくなった3人はロボットのことを他言無用として鏡面世界に封印することにした。
しかし、のび太の元にザンダクロスを探すリルルが現れる。うっかり口を滑らせたのび太によってリルルにおざしきつり堀ごと貸し出すことになってしまう。その後、流星が裏山に落ちる様子を見たのび太は落ちた先におざしきつり堀があることを発見する。なんと流星と思われたものは地球侵略、地球人の奴隷化を目論む鉄人兵団の兵隊達だったのである。のび太の様子がおかしいことに気づいたドラえもんと共にリルルの意図を知ったことで二人は慌てるが、リルルに見つかってしまい、捕まりそうになる。間一髪のところでおざしきつり堀から現実世界に戻って来たが、無理にザンダクロスで入ろうとした結果おざしきつり堀が破壊されてしまい、鏡面世界への入り口は閉ざされることとなった。
地球侵略は失敗だと安心したのも束の間、物置に押し込められていた電子コンピューターであるジュドから鉄人兵団の本隊が地球に迫っていることを聞かされる。地球のピンチをなんとか大人に知らせようとするのび太とドラえもんだが、当然相手にされず、途方に暮れる。しかし、信じてくれたスネ夫とジャイアンを伴い、再度鏡面世界へと向かうことにする。ここで鏡面世界への入り口をしずかちゃんの家のお風呂にするのはご愛嬌。
また、ジュドを改造して、こちらの味方にしてしまうシーンもあるのだが、大人になって見るとやっていることが割と酷い。問答無用に寝返りをさせているのだ。リルルに対してはそんなことはしていないだけに、対比するとなおもやっとするシーンである。鏡面世界では街中に散らばっていたロボットを制圧しつつ、鉄人兵団に対する備えをしていくこととなる。しずかちゃんも遅れて鏡面世界にやって来るが、そこで大爆発に巻き込まれて倒れていたリルルを発見する。そこでリルルは実はロボットであると気づく。正体を知られたと知ったリルルが襲い掛かって来るが、ミクロスの助けによって間一髪のところで助かる。
ドラえもん達と合流したしずかちゃんは4人の反対を押し切り、リルルを治療することを選択する。目を覚ましたリルルによって鉄人兵団の故郷であるメカトピアの歴史の話を聞いたしずかちゃんは人間の歴史と変わらないと発言する。何しろロボットなのに貴族階級と奴隷階級に分かれていたというのだ。近年になってロボットは皆平等だから、奴隷階級の代わりに人間を連れて来て奴隷にしようというトンデモ案が通ってしまったとのことだ。そもそも人間はダメだと見捨てた神様によって作られたはずのロボットの世界が、結局やっていることは人間と同じ歴史を辿っているというのはなんという皮肉だろうか。むしろ他星に侵略して奴隷を連れて来るとか、人間以上に酷い。
湖を鏡面世界の入り口にすることで、鏡面世界で暴れ回らせるという作戦を敢行する。ザンダクロスの誘導によって次から次へと鉄人兵団が鏡面世界に誘い込まれ、目論見通りに鉄人兵団は世界中へと散らばって行く。予めドラえもんが熱や光も跳ね返す改良型山びこ山をあちこちに設置していたことで、一定の反撃があったことからこの細工はバレなかったものの、宇宙まで出たロボットによって日本列島が反転していることに気づかれてしまう。
一方リルルはコッソリと逃げ出し、のび太と1対1で対峙する。リルルにショックガンの銃口を向けたのび太だったが、撃てなかったことで逆に意気地なしとリルルに撃たれて気絶してしまう。司令部に着いたリルルはしずかちゃんやのび太と接したことで考えが変わっており、奴隷狩りの中止を進言した結果、捕縛されてしまう。すぐにドラえもん達に助けられたが、祖国は裏切れないということでスモールライトで小さくして鳥籠に閉じ込められることとなった。
湖に戻って来た鉄人兵団とドラえもん達の戦いが始まり、ザンダクロスも使用した決死の戦いを繰り広げる。しかし、圧倒的物量によって追い込まれてしまう。ザンダクロスほどの超戦力をもってしても、数の優位は動かせなかった。偉い人も言っている「戦いは数だよ兄貴」と。一方、しずかちゃんはミクロスの言葉から神様に会いに行こうと思い立つ。リルルも連れて、タイムマシンで3万年前のメカトピアへ向かう。そこで神様とされていたメカトピアの祖先、アムとイムを作った科学者に出会い、3万年後のことを説明する。驚いた科学者は思いやる心をアムとイムに植え付けることでロボットの未来を変えようとするが、寿命の近づいていた科学者は倒れてしまう。
そこでリルルが科学者に代わって操作することになるのだが、このことによって未来が変わり、自分の存在が消えると分かっていてもリルルは操作を行う。ドラえもん達がもうダメだと思ったところで鉄人兵団が消え去る。そしてリルルもしずかちゃんの目の前で消えてしまう。だが、その後現実世界に戻って来たのび太が空を飛ぶリルルを発見するというところで物語は終わる。人とロボットの間に友情は成立するのか、人の思いをロボットは汲み取ってくれるのかなど見どころは多い。
ちなみにザンダクロスだが、Ζガンダムに登場する百式を参考にデザインされているらしい。個人的にイデオンに似てるなぁとか思っていたのだが、確かに全体像を見比べてみるとフレキシブル・バインダーなどそっくりである。ちなみにこの部分は太陽光パネルらしい。まさかの太陽光エネルギーで稼働しているようだ。
わたしが不思議
2025年1月24年、Amazonプライムにて視聴。
ゲストヒロインとメカが秀逸な大長編映画第7弾。
本作からのび太の「ドラえも〜ん」コールからのOP開始が定番化した。
魔界大冒険の美夜子さんと双璧をなすだろう人気ゲストキャラリルル、Zガンダムの百式をモデルにした事でも有名なザンダクロスが登場。
久しぶりに見て改めて思ったけど作業用ロボのはずなのにザンダクロスのデザインがやたらヒロイックすぎる、これががメカトピアデザインセンスなのか?あと元敵側のメカだったとはいえ喋った時のガラの悪さにびっくり。
リルルはミステリアスな雰囲気や結末含めドラえもんキャラとしては中々異質、やたら肌の露出も多く人気出そうな理由はすごく納得。
作中でのしずかちゃんとの関係が印象的なのでラストはのび太じゃなくてしずかちゃんに会いに行って欲しかった。
にしても純粋に地球侵略に来た大兵団を迎え撃つ覚悟する一同も手玉にとるドラえもんの道具もかなりヤバい。
最後にしずかちゃんを危険に巻き込みたく無い!と黙って戦いに向かう展開はよかったのだけど無断でお風呂を鏡世界の入口にして放置は流石に鬼畜だと思った。
スケールの大きな話を日常感覚に落とし込む格好よさ
数多の名作を輩出した映画ドラえもんシリーズですが、個人的に強いて1番を挙げるならコレ。
当時の流行や古今東西の創作物から引用してきたモチーフを、いつものドラえもん世界に混ぜ込んで再構築が大長編の基本的な手法ですが、今回は巨大ロボットに謎の美少女、無人の鏡面世界に創世記や創造論、人間の愚かな歴史というモチーフに異種族間の立場を越えた友情、思いやりの心というテーマを人類の命運をかけ戦ういつものメンツを追いながら見事に結実させています。
本当に色々な要素が混ざっているのですが、それが自然と馴染んでしまうドラえもんという作品の懐の深さに感心し、なによりこれらが約90分という尺に納まっているという密度の濃さ!
開始からラストまで本当にテンポよく進み、ギャグとシリアスのメリハリも素晴らしい。その中でキャラたちの細かい掛け合いがまたいいんですよね。本当にイキイキしてみえる。
これは原作やTVシリーズで散々積み上げてきたノウハウの賜物でしょうが、それをさらりと実践できてしまう手腕に感動です。
藤子F先生は自身のSF作品を「少しふしぎ」の事と言ったそうですが、本作でも日常のなかに非日常が入り込む独特の面白さは健在です。
庭で巨大ロボットを組み立てようとするのび太に『ママが洗濯物干せないって怒るぞ』とたしなめるドラえもん。
いよいよ大兵団との決戦を前に『結果は見えてるよ!』と悲観的なスネ夫に対し『わかる。0点とるとわかってて受けるテストの様だ』とつぶやくのび太。
子供たちが人類の命運をかけて戦っている最中に、何も知らないママはのび太の部屋で掃除機をかけており、それを横目に人類を救うためタイムマシーンに乗り込むしずかちゃん。(クライマックスの流れでこのシーンを入れる余裕に痺れます!)
などなど、スケールの大きな話をとても身近な日常的感覚の中に落とし込んでいく姿勢が最高に格好いいんですよね。
あくまでもドラえもんというベースがある事が前提ですし、強引だったりご都合主義的な部分もありますが、それを差し引いても名作です。
思いやりの心が奇跡を呼んだ!
"ドラえもん(映画)" シリーズ第7作。
Amazon Prime Videoで鑑賞。
原作は未読、フィルムコミックは既読です。
のび太が北極で偶然拾った物体は、なんと巨大ロボットの部品だった。なんともワクワクする導入から始まる本作は子供向けにしては少々ハードな展開を見せ、ドラえもんやのび太たちが敗北確実、絶体絶命の危機に陥ってしまうのがミソ。
ドラえもんたちの危機を救い奇跡を起こしたのは、他者を思いやる美しき心。メカトピアの送り込んだリルルが、しずかちゃんとの交流を通して学んだ感情が、地球だけではなく、メカトピアの運命をも救うラストは涙無しには観られない。
人類が文明を発展させて来た歴史の裏でどこかに置き忘れてしまったのかもしれない心の有り様に考えさせられました。今こそ世界には思いやりが必要なんじゃないかな、と…
※修正(2023/08/01)
大人になっても見られるドラ映画筆頭
鏡面世界で自分の思うままの世界を想像させる藤子不二雄風SF感
ロボットたちと戦いを繰り広げる普通のSF感
うまく馴染んでます。
そして、ヒロインの存在。
これが一番だと思う。
ドラ映画の中でも最高のヒロイン。リルル
お涙頂戴じゃねえよ過程がしっかりしてりゃあね
度肝を抜かれたのがのび太がリルルに銃を向けるところのリルルの表情、最高。
リルルはのび太が銃を向けるという行為をしてくれたことがうれしかったのび太に殺されたかった
まさかドラ映画で鳥肌が立つとは思わなかった
消滅シーンはいわずもがな、EDでスネ夫が涙腺崩壊させる発言をぽツンと言い放つところがこの映画の恐ろしいところ
ここであっさり言わせる演出も演技もすごい
後半は終始涙腺を爆撃してきやがる
空を写しながらの演出も感動を誘うし…
感動系の傑作です。
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