「スケールの大きな話を日常感覚に落とし込む格好よさ」映画ドラえもん のび太と鉄人兵団 モアイさんの映画レビュー(感想・評価)
スケールの大きな話を日常感覚に落とし込む格好よさ
数多の名作を輩出した映画ドラえもんシリーズですが、個人的に強いて1番を挙げるならコレ。
当時の流行や古今東西の創作物から引用してきたモチーフを、いつものドラえもん世界に混ぜ込んで再構築が大長編の基本的な手法ですが、今回は巨大ロボットに謎の美少女、無人の鏡面世界に創世記や創造論、人間の愚かな歴史というモチーフに異種族間の立場を越えた友情、思いやりの心というテーマを人類の命運をかけ戦ういつものメンツを追いながら見事に結実させています。
本当に色々な要素が混ざっているのですが、それが自然と馴染んでしまうドラえもんという作品の懐の深さに感心し、なによりこれらが約90分という尺に納まっているという密度の濃さ!
開始からラストまで本当にテンポよく進み、ギャグとシリアスのメリハリも素晴らしい。その中でキャラたちの細かい掛け合いがまたいいんですよね。本当にイキイキしてみえる。
これは原作やTVシリーズで散々積み上げてきたノウハウの賜物でしょうが、それをさらりと実践できてしまう手腕に感動です。
藤子F先生は自身のSF作品を「少しふしぎ」の事と言ったそうですが、本作でも日常のなかに非日常が入り込む独特の面白さは健在です。
庭で巨大ロボットを組み立てようとするのび太に『ママが洗濯物干せないって怒るぞ』とたしなめるドラえもん。
いよいよ大兵団との決戦を前に『結果は見えてるよ!』と悲観的なスネ夫に対し『わかる。0点とるとわかってて受けるテストの様だ』とつぶやくのび太。
子供たちが人類の命運をかけて戦っている最中に、何も知らないママはのび太の部屋で掃除機をかけており、それを横目に人類を救うためタイムマシーンに乗り込むしずかちゃん。(クライマックスの流れでこのシーンを入れる余裕に痺れます!)
などなど、スケールの大きな話をとても身近な日常的感覚の中に落とし込んでいく姿勢が最高に格好いいんですよね。
あくまでもドラえもんというベースがある事が前提ですし、強引だったりご都合主義的な部分もありますが、それを差し引いても名作です。
おはようございます。
沢山の共感ありがとうございます。
「バクラウ地図から消された村」は、
怪談、法螺話し、SFそして文明への批判・・・などもあり、
そして怪奇譚としても面白い映画でした。
独特のリズムがありました。
私も悪ノリして、
「怪文書」的でしたか?
初めてその言葉は言われました。
とても新鮮で嬉しいです。
楽しいコメントありがとうございます。