陽はまた昇るのレビュー・感想・評価
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知られざるプロジェクトX(外連味薄め)
かつてNHKで放送され一世を風靡した番組、プロジェクトXのような知られざる技術者達の実話の映画化。
ベータとVHSの争いは、聞いたことがあったが、私が物心ついたころには決着がついていたので、裏でこんなことが起こっていたとは知らなかった。
ノンフィクションが原作とあって、割と淡々とした演出、演技。この手の話にありがちな、意気盛んな技術者達の取っ組み合いとか、飲み屋での愚痴とか、人望厚い主人公という鉄板要素の作品なのだけれども。
役者が豪華。西田敏行、渡辺謙は言うに及ばず、夏八木勲、石橋蓮司、津嘉山正種、仲代達矢。皆さん、抑制の効いた演技なのに存在感ありありで。役者で魅せる映画なのだなと思いました。
弱気でやさしいリーダーがちょっと意外な知られざるプロジェクトX。
俳優たちの顔ぶれが豪華!
世界規格となった日本ビクターのVHSの開発の裏で活躍した人々のドラマ。
俳優たちの顔ぶれが豪華な、そして「いかにも!」というキャスティング。特に頭が硬いビクターの重役達には、それ相応の面々がキャスティングされいる。石橋蓮司と津嘉山正種達だ。悪代官風でヴィランのようだ。(本当は会社想いの真面目な方のハズ)
主軸は家庭用のビデオデッキの開発で、1976年10月31日に日本ビクターがVHS規格の家庭用VTR第一号機「HR-3300」を発売する。一時停止して見たが、VHSの2時間テープが六千円と、映画内の新聞記事に載っていた。
β(ベータマックス)にしろVHSにしろ えらくデカい。私の家は未だにVHSデッキがあるが6倍くらいデカい!
仲代達矢を偲んで映画を観ようと探したら知らなかった今作を見つけた。しかし仲代達矢の出番は少なくて、西田敏行の追悼も兼ねるような結果となったが、中高生の頃に〇〇ロードショーを録画予約してた思い出も蘇った。
仲代達矢演じる松下幸之助が出て来るが、他社の重役達からも扱いが別格だ。「当時は松下電器がそんなに偉かったのか」と、驚いた。
【”何事も人。そして夢を諦めない男。”今作は窓際であったビデオ事業部に異動になった男と仲間達が世界規格となったVHSビデオの開発秘話を描いたサラリーマンであれば、涙する作品である。】
ー 最初に。
今作には邦画の名優を越えた名優である、故西田敏行さん、先日逝去された仲代達矢さんが出演されている。瞑して、ご冥福をお祈りいたします。ー
■粗筋
日本経済がマイナス成長に陥った1970年代前半。
日本ビクター本社開発部門に勤める開発技師・加賀谷静男(西田敏行)に、左遷とも言える、非採算部門である横浜工場ビデオ事業部に赴任し人員削減をするよう、役員達から指示がされる。
だが、人材を財産(人財と言う言葉を我社では使っている。)と考える加賀谷は、ある極秘プロジェクトを立ち上げた。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・ご存じの通り、加賀谷静男は実在の人物をモデルとしている。
実に立派な方であると思う。
<加賀谷が赴任後に行った大改革の数々>
1.本社指示の人員削減をせずに、効率的な組織編成を行った事。
⇒これにより、やる気を失っていた人たちは、加賀谷への想いと共に、やる気を取り戻すのである。
2.ビデオ事業部240名の名前を、全て覚えた事。
⇒組織の長たるものの必須の仕事であるが、240名の名字だけでなく下の名前まで覚えるというのは凄い。だが、これにより240名とのコミュニケーションが進むのである。社長からフルネームで呼ばれて、嬉しくない人はいないでしょう。
3.下請けと言う言葉を部下に使わせずに、”協力会社”と言う言葉を使うように指示している所。
⇒これにより、協力会社社長たち(井川比佐志たち)は、加賀谷を信頼していくのである。
4.開発陣が、昼夜を問わず開発したVHSを【互換性のある、統一規格】とするために、ライバルメーカに内部構造を公開した事。
⇒これは、凄い事である。だが、結果的にこの判断が世界にVHSを広めたのである。
5.世界の松下幸之助(仲代達矢)に、アポなしで夜に車を走らせて、松下の大阪本社に会いに行った事。
⇒これは、博打であるが、日本ビクターの役員達が、ベータ導入を検討している中での行動である。そして、松下幸之助が言った言葉。
【VHSは、150点や!】
<今作は窓際であったビデオ事業部に異動になった男と仲間達が世界規格となったVHSビデオの開発秘話を描いたサラリーマンであれば、涙する作品である。
ラスト、妻子と工場に行った加賀谷静男が見た、ビデオ事業部240名が作った人文字のシーンは名シーンである。
さあ、明日から又、厳しき仕事を頑張ろう!と思わされた作品でもある。>
VHS vs SONY あんたらの時代は熱かった。
NHK「プロフェッショナル」でも神回として残るVHS誕生秘話。
1970年代低迷し始めた日本経済に家電メーカーとしての企業戦争。
ビクターの開発部門にいた加賀谷は突如、不採算部門の横浜のビデオ事業部に部長として赴任。
決起回生のビデオプロジェクトを画策する。
時は1975~1976年なので、自分がビデオデッキに触れるのは5~6年後になることで、開発にメーカーの熾烈なドラマがあるとは知る由もなかった。
中学校に入ると何人かビデオを持っている家庭の同級生が何人かいたが、ベータとVHS半々で、ベータの持ち主はブランド志向的感覚が多かったイメージだ。その後、1985年になるとビデオレンタル店が出始め、両方置いていた店があったように記憶しているが、1泊500~700円とTSUTAYAが1週間レンタルを始めるまでは安くはなかったと思う。
1980年代後半にはメーカー対応の多いVHSデッキが安くなりはじめ勝負あったという感じだった。
ビデオについてはこんな感じではっきりと記憶が残っているので、この映画の内容には気持ちがだいぶ入ったし、実話の人間ドラマとしては感動的な内容だと思う。
あの頃の日本は熱かったんだなぁ。。と憧れにも感じる思いがあった。
見てよかった、
日曜劇場や…
高度成長期だったからという背景はあるだろうけど…。
会社内で自由勝手にタバコが吸えた時代。 車を運転してる渡辺謙も助手席の西田敏行もシートベルトをしてない。 麻丘めぐみ「わたしの彼は左きき」のVTR、
動画配信で映画「陽はまた昇る」を見た。
劇場公開日:2002年6月15日
2002年製作/108分/日本
配給:東映
西田敏行
緒形直人
篠原涼子
真野響子
石橋蓮司
倍賞美津子
江守徹
渡辺謙
津嘉山正種
國村隼
中村育二
田山涼成
蟹江一平
鎌田樹音
新克利
加藤満
崔哲浩
永倉大輔
石丸謙二郎
石田法嗣夏
八木勲(夏木勲)
井川比佐志
仲代達矢
ビデオ戦争の話である。
1975年にソニーが文庫本サイズの媒体を用いるベータマックスを発売したのに対し、1976年に日本ビクターはVHS方式のビデオカセッターHR-3300を発売[2]した。
他社ではVコードを開発した東芝・三洋が「ベータ方式」に参入(当初は併売)、オートビジョン方式・VX方式を開発した松下電器も、子会社であるビクターが開発したVHSの併売を決め、最終的には「ベータ方式」と「VHS方式」に収斂された。
第26回日本アカデミー賞優秀作品賞、
優秀主演男優賞(西田敏行)、
助演男優賞(渡辺謙)、
優秀音楽賞受賞、
第15回日刊スポーツ映画大賞石原裕次郎賞受賞作品。
オレが学生の時には自宅にVHSのビデオレコーダーがあった。
ビデオレコーダーの購入は他の同級生の家庭よりも早かったと思う。
角川映画の「野生の証明」(1978年 )を何十回も見た記憶がある。
松下電器、ビクター、ソニーなどの会社や松下幸之助(仲代達矢)が実名である。
ビクターが松下電器の子会社だったことは知らなかった。
会社内で自由勝手にタバコが吸えた時代。
車を運転してる渡辺謙も助手席の西田敏行もシートベルトをしてない。
麻丘めぐみ「わたしの彼は左きき」のVTR、
いろいろ時代を現した描写があった。
ラストシーンとか脚本が出来過ぎの感はあるが、
見応えのある映画だった。
個人的には石橋蓮司、津嘉山正種のシブい演技が好き。
満足度は5点満点で4点☆☆☆☆です。
規格統一はいつの時代も困難
ビデオテープの規格は消費者側からすると、何とか統一できなかったのかと思っていた。
これは、官主導で統一を強制しようとした結果、企業の反発を食らった、
当時よくあった事例の一つだね。
自家用車参入に苦労したトヨタ、4輪への参入を絶たれかけたホンダなど、
自動車産業でも官に苦労させらっぱなし。
官は規制という横槍を入れるものの、当時の企業が反骨精神で乗り切り、
以降の繁栄の基盤を築いたのが現実。
総じて省庁主導は先見性が甚だ疑問。無い方がマシ。
さて、ソニーはこのビデオ規格競争で敗れたことを教訓にして、
3.5インチフロッピーの規格は公開して競争に勝っている。
だがメモリースティックなど、独自規格に走って迷走する傾向も大いにあった。
と、この映画を観て感慨に浸ったところ。
名優揃い踏み
何度か観てるけど
人が会社をつくる
日本社会への激励
プロジェクトXの映画版
総合80点 ( ストーリー:85点|キャスト:80点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
「プロジェクトX」の映画版のような作品。
架空の話とはいえども、実際の話を基にしているだけあって臨場感がある。特にVHSとベータの規格戦争を実際に見聞きしてきたのでそれもひとしおだ。新製品を自社で独占するのではなく、規格を公開して世界標準という考えをこの当時にもっていたのは先見の明がある。
それまでの努力を踏みにじる官僚的態度そのままの官僚に取りすがる西田敏行がいい。技術者の情熱と魂を見れるし、その背後の日本経済の発展を支えた人々の普段は見られない活躍を照らすという企画もいい。公開当時、どん底にあった日本経済に、一筋の希望と勇気を与える作品でもあったのではないか。
日本の技術者たちへ
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