劇場公開日 2002年3月9日

「本作もまた映画のシュールレアリスムです 表現技法が異なるだけです」自殺サークル あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0本作もまた映画のシュールレアリスムです 表現技法が異なるだけです

2020年7月7日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

紀子の食卓を観て、遡って本作を観ました
新宿駅での一斉飛び込み自殺のシーンに衝撃を受けたからです

冒頭いきなりそのシーンで始まります
映画の作りは、一見オードソックスに見えました
紀子の食卓や愛のむき出しのような、映画のシュールレアリスムではなく、客観的視点の具象的表現だったからです

それが中盤から変容していくのです
もはや自殺クラブの正体を追い求めるサスペンスはいつしか忘れ去られていくのです
もはや謎解きなぞどうでも良いことになっているのです
観客たる私達をいたぶっているかのように
感情のアクセルを踏みつけさせておいて、監督はこっそりブレーキを踏んでいます
タイヤを空回りさせて煙を上げさせるのです

監督の本当の目的、狙いはそれだったのです
目論見どおり疲れ果ててしまいました

しかし騙されていたのに不思議と腹がたたないのです
何故だか感動している自分にきづくのです

あなたは、あなたの関係者ですか?

これに答えようと、懸命に思考のアクセルを踏んでいる自分を、第三者の自分が見つめていることに気付かされるのです

それが感動をもたらしていたのです
そんな映画、あなたは観たことがありますか?
唯一無二の映画です

本作もまた映画のシュールレアリスムです
表現技法が異なるだけです

あき240