DISTANCE ディスタンスのレビュー・感想・評価
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多くの人の人生を想わざるを得なかった
ドキュメンタリー?
と思うほど、役者陣の演技も自然で、喋ってるところをそのままカメラ回している感じで、ブレもある。音楽もなく、ドラマチックでもない。家族が三年前に亡くなったカルト教団の信者の遺族たちと、そのカルト教団の元信者が一夜を共にすることに。各々もっと感情的になるかと思いきや、家族がどうだったかなどを聞く姿はある意味リアリティがある。3年という月日が経っているからだろうか。台詞も少なく、所々回想シーンに入り、家族が教団に自ら入っていってしまう、家族からすると奪われてしまうシーンは印象深い。実際そうなのだろう。ラストのARATAは一体誰なんだろうとモヤモヤした。教祖の息子?見舞いに行ってた人は誰?リョウは恋人?すっきりしない終わり方は好きではない。
【カルト教団に家族を”引き離された、遺族の想い”をドキュメンタリータッチで描く・・。湖畔に投げられた百合の花が哀しい。】
ー今作品には、カルト教団「真理の箱舟」が起こした、無差別殺人のために水道水に劇薬を混ぜるシーンを含めた凄惨なシーンは、一切出てこない。-
■「真理の箱舟」に家族を奪われ、(そしてその家族は、無差別殺人を犯し、教団により殺害され、その灰を湖に撒かれた・・)4人、きよか、実、勝、敦が前半、ある駅に集まり皆でジープで湖に向かい、花束を投げるシーンが淡々と、きよかが作ったお弁当を食べるシーンなどは少し楽し気に描かれる。
”ピクニックのようだね・・”
その日は、彼ら4人の家族だった者たちの命日であった・・。
そこに、元教団にいた坂田(浅野忠信)が、バイクで現れ・・。
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■彼らから家族が離れていくシーンが挟み込まれる・・。
・教育熱心な夫、環(遠藤憲一)がある日、教団に入ると言い出し、困惑し子供はどうするのかと詰め寄る妻きよか(夏川結衣)
そして、突然帰宅した夫を激しい剣幕で家の外に追い出すことも思い出す。
・妻(山下容莉枝)からある日、教団に入信すると告げられ、(隣には教団の男(村杉蝉之介:不気味である・・)が一緒に説得する・・。
”大事な価値観を見つけたの・・”
逆上する、サラリーマンの夫、実。
”お前ら、おかしいよ・・”
その後、医者から妻が二度、堕胎していたことを告げられる実。
ー何も知らなかったのだ、妻なのに・・-
・勝(伊勢谷友介)は夏の暑い日、兄から何気なく”入信するよ‥、暫く会えなくなる”と言われて、別れる。
・敦(ARATA)は姉の夕子(りょう)のことを元教団員で、事件直前に逃げ出した坂田から聞いている・・。画面では、坂田と夕子の湖畔でのやり取りが描かれる・・。
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彼らの車、バイクが盗まれ、困惑しながら、山道を進む。
そして、たどり着いた且つての教団のアジト。
彼らはそこで、様々な思いで話をする。
・”サイレント・ブルー”の話を姉としたことを思い出す敦。
・”神、正義が大量虐殺を引き起こして来た・・”
そして、翌日、皆で湖に寄ってから、都会に戻る・・。
その途中、不意に坂田が敦に”貴方は誰ですか・・、夕子の弟さんは自殺したはず・・”サングラスをかけたまま、無言の敦。
そして、皆別れる。
ー場面は、急遽、湖に戻る。敦が独り百合の花束を持って、湖畔の桟橋に佇む。そして、”父さん・・”と呟いてから、4人の古い家族写真を焼く。
そして、桟橋から大きな炎が上がる・・。-
エンドロール:湖畔に打ち寄せる波の音だろうか、水音が静に響く。
<近作品は、エンタメ要素は希薄で、物語は大切な家族をカルト教団に奪われた人々の姿を淡々と描く。だが、それが却って人の心に忍び込むカルトの恐ろしさを描いている作品。
敦は姉、夕子を深く愛していたのではないか? だから、後を追ったのではないだろうか?
だが、魂魄はこの世に残り、思い出の家族写真を”忌まわしき湖”で焼くことで、深い哀しみ、怒りを癒したのではないか・・。
等々、鑑賞後もイロイロ考えてしまった作品。
鑑賞後の余韻が、哀しく、苦く残る作品でもある。>
タイトルなし(ネタバレ)
あの時代を過ごした人にとって、本作の生々しさはなんとも言えない嫌な感じがある。多くの人にとっては、オウムに家族を殺されたわけでもなければ、加害者遺族になったわけでもないだろう。それでも本作に通底する漠然とした不安、自分がどこに向かっているのかわからない感覚、どこからきたのかすらわからなくなってしまった感覚にはあの時代特有な不安感が呼び覚まされる気がする。
映画では、登場人物は最初、どこに向かっているかもわからない。車を盗まれ、ますます、行くべき場所を見失う。泊まる場所を見つけても不安はなくならない。自分たちはここでなにをしているのか。彼ら自身がわからないまま不安と向き合う。
自分はたまたまアラタや伊勢谷と世代も近く、舞台の一つになっている小渕沢も音楽フェスなどに行くために通っていたことがあってそうした個人的な記憶も生々しい感覚と関係しているかもしれない。湖畔で揺れる水面。遠くで鳴く鳥の声。風が木々を揺らす音。雨の匂い。土の匂い。都会育ちの自分にとってはそういう音の一つ一つが、あの夏の記憶を呼び覚ます。煙草のシーンでさえ、ヘビースモーカーだった当時の自分を思い出させる。
事件を起こした人間は狂ってるに違いない。それは事実かもしれないけど、一方では、ありふれた日常を送る僕らの隣人や家族、もしくは僕ら自身にあり得た物語なのかもしれないとも思う。どんな時でさえ軽薄に笑う伊勢谷を見てると、とても加害者遺族には見えない。穏やかな表情で優しく笑うりょうを見てると、とても加害者の見せる笑顔には見えない。
僕らはどこからきてどこへ向かうのか。本当は誰もそれを知らない。知らないくせに忘れた振りをして毎日を生きている。あの時もそうだったし、今でもそうだ。せっかく忘れたフリをしている僕らに、りょうは優しく呟く。終わりでも始まりでもない時間。サイレントブルー。終わって始まるその歴史に参加するのだと。狂っているとはなんだろうか。
残された者たちの距離(ディスタンス)
是枝裕和2001年の監督作品。
4人の男女が集い、とある山中の湖へ赴く。
一見そういうアウトドア仲間のように思えるが、彼らには暗く重い共通点が。
3年前、カルト教団が起こした凄惨な事件。
彼ら4人は、その実行犯遺族。
教団によって殺され、遺灰が撒かれたこの湖を、毎年命日に訪れているのだ。
目的も終わり、帰ろうとした時、思わぬアクシデントが。乗ってきた車が盗まれた。
山中に取り残され、とても歩いて帰れる距離ではなく、日も暮れてきた。
途方に暮れていた時、一人の男と出会う。
同じくバイクを無くしたというその男の案内で、ロッジへ。
何故この男は、こんな山中にロッジがある事を知っている…?
実はロッジはかつて実行犯たちが暮らしていて、男も元信者だった…。
前2作同様、ドキュメンタリータッチの演出。
キャストも自分の台詞以外、ほとんど即興演技。
リアルな反応や感情が伝わってくる。
その難演を体現したのは、ARATA、伊勢谷友介、寺島進、夏川結衣、浅野忠信ら豪華キャスト。
こういう事件が起きた時、加害者は勿論、加害者家族も世のバッシングを浴びる。
が、これは余りにも理不尽。
加害者家族だって被害者だ。
家族、親しい者、大切な人たちが危険思想に犯されていく…。
何故、止められなかったのか。
同じくらい悩み、苦しんだ。
そして今また、過去と向き合う…。
非常に考えさせられるテーマ。
淡々と重々しく。
なかなかに分かり難く、伝わり難い作品でもある。
ラスト、ARATA演じる主人公の思わぬ人物像など、ボーッと見ていたら、どーいう事!?
クライマックス・シーンも含め、全体的に難解。
それほど、残された者たちの距離(ディスタンス)は複雑なのかもしれない。
記録映画のよう
てきとーな役作り
井浦×伊勢谷×寺島トリオ再び♡
「DISTANCE」「ワンダフルライフ」「空気人形」は是枝監督なのか。「空気人形」は台本がはっきりありそうなところがちょっと違うけど、キャストも雰囲気も似てる。
「DISTANCE」は、「ワンダフルライフ」と同じくドキュメンタリーみたいな感じ。井浦様の役柄も似てる。自分の言葉で話してる感じが好き。
津田寛治の演技が下手やー。
遠藤憲一も出てきた。今も昔も家庭をダメにする役が多いね。
寺島元妻の笑顔がきもい。完全にいっちゃってる。寺島が暴れても全然動じないし、解脱の境地に至った感じ。
でもほんとに紙一重なんだと思う。私だって洗脳されて楽になるなら、たとえ犯罪者になるんだとしても洗脳されてみたいわ。あんだけ解脱できるなら。その一歩を踏み出すか踏み出さないか。
寺島が大声で掴みかかるシーン、運悪くコーヒーカップ持ってて驚いて盛大にこぼした。
やっぱ井浦様かっこいいなぁー。声がいい。一緒に森でタバコ吸いたいなぁ。授乳終わったら絶対タバコ吸う。
井浦姉が持っていたという雛菊の香り袋。
「孤独な鳥の5つの条件」について話すシーン。こういう時間の過ごし方ってないなぁ。意味のない時間というか。ないっていうかできないのかな、私には。でも、後から振り返ったときに初めて見えてくる意味もあるんだって昔よりは思うようになった。どうでもいいか。
「サイレント・ブルー」っていう時間。夜から朝になるとき。一日が終わって、始まっていく瞬間の時間。
「私はね、終わって、始まる、その歴史に、参加するんだ」
突然出てきた小淵沢行きワンマンカー!あの女の人の声懐かしい。数年のタイムラグはあるものの、同じ電車に乗っていた奇跡。
?な点。
①井浦様とりょうの関係は?井浦様は教団の人じゃないんだよね。
②りょうの弟は本当に自殺したのか?
③合成したり燃やしたりしてた家族写真は結局どこの家族?
④ロケ地は?w
疑問点を確認したいけど、すごーーーくゆっくり進んでいく長い映画だったから、育児中の私にはもう一回観る機会あるかしら。。。
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