「金子修介×ゴジラ=怪獣映画の醍醐味たっぷり」ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
金子修介×ゴジラ=怪獣映画の醍醐味たっぷり
シリーズ25作目。
本作の最大の見所は、金子修介監督がゴジラを撮る!に尽きるだろう。
平成ガメラシリーズで怪獣映画に新風を吹き込んだ当人が、どんなゴジラ映画を作り上げるか、怪獣映画ファンは非常にワクワクして公開を待った。
前作前々作同様、設定もストーリーもリセット。
金子監督が創り上げたのは、全くの新しさを感じつつも、初代を彷彿とさせるゴジラ像だった。
今回のゴジラは、戦争で散った者たちの無念の集合体。
平和ボケした現代日本を襲撃する。
あくまでも天本英世演じる謎の老人の言い分なのだが、これがゴジラに神秘性をもたらし、かつ反戦・反核の象徴として誕生した初代を思い出させる。
ゴジラは無敵の怪獣でもあるのだが、背景に暗い影を落とす事によって、その存在意義が際立つのだ。
造形も新しく変わった。
何と言っても一番の特徴は、白目。そして真っ黒な巨体。
得体の知れない恐ろしさを感じさせ、荒々しい凶暴さだけを強調した前作前々作までのゴジラとは訳が違う。
そんなゴジラに対するは、モスラ、キングギドラ、バラゴン。
日本の聖獣として登場する。
モスラとキングギドラが日本の聖獣!?…という違和感は感じるが、バラゴンの復活が嬉しい。
ここら辺が、怪獣少年だった金子監督ならではのナイスなチョイス。
当初ゴジラと対するはアンギラス、バラン、バラゴンで、こっちで見たかった!
人間側のドラマは、新山千春と宇崎竜童演じる父娘が、それぞれの形でゴジラと関わり戦う姿をメインに、平成ガメラシリーズ同様、神話を結び付け、映画に奥行きを出させている。
オキシジェン・デストロイヤーが歴史の闇に葬られた、という設定もリアリティあってイイ。
久々に恐ろしさと存在感を発揮した金子ゴジラ。
怪獣映画の醍醐味がたっぷり味わえ、文句なし。
ハム太郎と同時上映でなければ…。