劇場公開日 2001年9月15日

「ポータブルDVDによる車内鑑賞レビュー」ウォーターボーイズ マーク・レスターさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0ポータブルDVDによる車内鑑賞レビュー

2009年8月4日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

通勤時間を活用して、ポータブルDVDプレイヤーを使っての地下鉄内鑑賞にいそしんでいます。

分割しての鑑賞であるため、感想文も分割となっています。

                    第1回目

「行動」 を起こす時には、その起因となる “キッカケ” というものが、必ず存在すると思うのです。

この映画の訴求点は、宣伝コピーの「男のシンクロ!?」 そのもので、シンクロに没頭する男子高校生の物語なのですが、そもそも、あの5人の男の子がシンクロを始めることになった “キッカケ” の突き詰めが甘いので、

       冒頭から 「ぬるい!」

                        と思ってしまいました。

この映画が動き出す “キッカケ” となる、真鍋かおりとの人間関係をもっと丹念に描くべきであったと、声を大にして主張したい。
また、文化祭での公演を辞退したのにもかかわらず、再び引き受けることになる “キッカケ” の表現も、非常に 「ぬるい」 ため、彼らの活動の薄っぺらさばかりが気になってしまいました。

人が動くこと、人が集うことの土台には、しっかりとした理由がないと、リアリティに欠けてしまうと思うのです。それが、理屈まみれなものでもいいし、感情的なものであってもいいし、本能的なものでも、勿論いいのです。
兎に角、

       行動を支える “理由”

                        というものがあって欲しいのです。

残念ながらこの映画は、行動に至るための、しっかりとした “理由” や “キッカケ” に対する配慮が成されていないため、この映画の存在理由である「男のシンクロ!?」 の必然性が欠如した状態で走り始めてしまったのです。
明日以降、足元を確認しなが動いて欲しいな。

                       第2回目

     ヤッター!

やっとこの映画に“キッカケ”や“理由”という、行動の元となるものが出現いたしました。

ニュース画像にシンクロ5人組が放映され、彼らの人気が急上昇した途端、入部希望者が殺到するのです。テレビで紹介されたことで、 「その祭りの渦に入り込みたい」 という欲求が膨れ上がった末の行動なのです。「行動」 の“ キッカケ” がかなり不確かなこの映画において、何て素直にその 「行動」 を受け入れられたことか!

こんな普通な理由があったからこそ、追加入部組を含めたみんなが、本番に向けて練習する姿に

     ついつい、引き込まれてしまうのです。

こんな普通なことが、やっと2日目に成されたこと、大変、もったいないなと感じております。

本番を明日に控えて、さあー、佳境へと映画は進みます。この勢いで終盤を纏め上げて欲しいものです。

                      第3回目

今、彼らのパフォーマンスが終了致しました。

   うーむ、もったいない.......。

高校時代、僕も持っていただろう、ハツラツとした眩しい時間が、そこにはありました。しかも学園祭という、特権的時間の中でも、よりによって最高潮に達した瞬間に、彼らのピークが到来したことに、嫉妬さえも感じてしまいました。

僕の高校時代は映画研究部員として8mm映画を作ってきたのだけれど、 “作り上げる”  “人に見てもらう” という観点では全く同じ行為になるわけで、高校3年生の時に作った映画を、色々な人に見てもらい、後夜祭の時に 「最優秀クラブ賞」 の発表を受けた時の高揚感が、まざまざと思い起こされました。

もったいない.......。 と嘆いたのは、そんな終盤の見せ方が高度に結実したにもかかわらず、そもそもの映画の出発点である、

   シンクロ開始の必然性の脆弱さ

                      を、やっぱり思い出してしまったからなのです。

しかも、しょうがないな、とは思いつつ、その脆弱性を作ってしまった 真鍋かおり が当然のごとく顔を現す予定調和的な作りに、反発を感じたのも確かです。

でも良かったですよ。前半まるっきりダメだった、“キッカケ” の敷設ですが、 「シンクロの大成功」 という大団円を導き出す  “キッカケ”  に関しては、立派に仕掛ることができたのですから。

夜のデートでの火事発見 → 消化活動によるプールの水不足 → 桜木女子高校のプールを借りてのシンクロパフォーマンス。

めっちゃベタな展開ではありますが、心地よく結末への必然を作ってくれました。

    ハツラツとした眩しい時間が、

                映画の中で、そして自分の回顧の中で、しっかりと輝いたのでした。

↓ 完成版はこちらまで

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マーク・レスター