「岩は人間を分ける」アルカトラズからの脱出 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
岩は人間を分ける
ドン・シーゲル監督、クリント・イーストウッド主演
これで面白くない訳がない
マンハッタン無宿、真昼の死闘、白い肌の異常な夜、ダーティハリー、そして本作
どれも最高だ
ハラハラドキドキ感は異常なほど
本作がなければショーシャンクの空にも無かったかも知れない
それ程の傑作
序盤の所長室での爪切りのシーンの演出は見事
知能指数優秀の文言をチラリと見せて所長の敵う相手ではないと一瞬で理解させてくれます
イングリッシュとの人種を越えた友情も熱い
雑誌は?
ああ、何がいい?
エボニー
(ずっこけたアコーディオンの音)
エボニーとは黒人向けの雑誌
このお互いを認めあう仲にいつしかなり、悪口を言い合っているようで、本当は軽口が通じる信頼できる友人になっている
この二人の距離感の移り変わりが素晴らしい
出会った時の人種間の対立が、二人の別れのシーンではがっちりと握手されて止揚されている
彼の言葉
岩は人間を分ける
逆らって力を出す奴と
潰される奴とに
これが脱獄に成功する三人とバッツの違いの伏線でした
その直前の台詞
「椅子をみたか?」の字幕は変
「他の係もみたか?」としないと意味が通りません
劇中での映像のとおりアルカトラズ島はサンフランシスコ湾の中
有名なフィシャーマンズワーフのピア39から目と鼻の先
肉眼でみても、携帯のズームで写真を撮るとよりはっきり、映画でみた通りの姿がそこにあり感激します
距離感は東京で例えるなら、日の出桟橋とお台場より近いくらいです
エンゼル島はその北側でピア39からは、アルカトラズ島の影に隠れて見えません
距離感は東京ビッグサイトから新木場までよりも
近い
囚人達に花のサンフランシスコの日常生活をこれ見よがしに毎日目の前にみせる孤島の刑務所
それこそが苛烈な管理体制よりも、囚人の精神に堪える残酷さなのかも知れないと思い至りました