別れのタンゴ

劇場公開日:

解説

「シミキンのスポーツ王」「花婿三段跳び」の小倉武志の製作。吉村公三郎「原案」企画を担当している。「陽気な街」「のらくら海浜騒動」の長瀬喜伴の脚本を「懐しのブルース」の姉妹篇として「結婚狂時代」に次いで佐々木康が監督する。「君待てども」の原田雄春がキャメラを担当。音楽は「懐しのブルース」と同様万城目正。高峰三枝子が「女の闘い」に次いで主演し、これに「ボス」の若原雅夫「朱唇いまだ消えず」の佐分利信が助演する。

1949年製作/88分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1949年5月1日

ストーリー

花村恵美子はお嬢さん芸がこうじて、某レコード会社の専属になったが、一向うだつが上らないので、文芸部の村田を盛んにつついていた。恵美子の許婚大井泰介は恵美子が結婚の事も考えないで、歌手になろうとしているのを見てヤキモキするが、恵美子の決心は堅く、ひたすらステージに立つ日を夢見ていた。恵美子と村田がキャバレーに現れた時、そこの用心棒で、かつて名ヴァイオリストとしてならした宮田浩三が戦禍による指の傷手をいたましく「俺の作曲をきいてくれ」と泣叫び、狂人扱いにされて追出されていた。そこに残された楽譜……村田はこれを恵美子の作曲だと会社に偽って恵美子の売出を図った。街々に流れるメロディー、傷心の浩三に響くその楽こそ、自分のメロディーではないか。浩三と将来を誓っていた飯屋の娘富子は恵美子に直談判に及んだが、却って村田の奸智によって浩三は恵美子の顔に傷を負わせ懲役の身に落ちた。良心の呵責に悩む恵美子はそれからの毎日、差入れをおこたらなかったが、その好意が二人を結ばせる結果になった。浩三との仲を知った泰介は男らしく引退っていった。しかし今度は浩三に富子という許婚のある事を知った恵美子は、浩三を富子の懐に返してやるのだった。恵美子の為に作った浩三の「別れのタンゴ」は遂に映画化される事になった。田舎のひなびた映画館に肩を寄りそう浩三と富子は、涙さそわれていた。

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