劇場公開日 1987年12月18日

「本当はOVA作品だったのを限定劇場公開された際に鑑賞」ルパン三世 風魔一族の陰謀 アンディ・ロビンソンさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0本当はOVA作品だったのを限定劇場公開された際に鑑賞

2023年9月30日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館

笑える

楽しい

興奮

発表された当時の1987年〜 、元はOVAとしてセル作品という事になっていたのが、発売に先駆ける形で東宝系で劇場での急遽限定劇場公開されることになった。
その後、1988年になってOVAとしてセル作品として発売が開始されたのに合わせ、オールナイト特別上映の企画での限定劇場公開の際に鑑賞する機会に恵まれた作品。

通常の劇場用作品に比して上映時間が73分と短いのは、そうした背景が合った事に由来する。
そのため、オールナイト特別上映時は 『となりのトトロ』と『火垂るの墓』などが併映になっていた。

元々、初代ルパンの作画監督とキャラクターデザインを手がけた大塚康生さん監修という事から期待値高めてたので、劇場で観れること分がかった時、可成り喜びましたね。

声優交代は事前に知れていたので興味もあったが、古川氏や他の声優陣も頑張ってなんかいい感じだしていて、流石だなって、全く悪く無かったのと、ストーリーも五右衛門中心で立ち回りシーンに加えて、ラブコメまがいにイジられたりするのもあり、テンポも良く、劇場スクリーンで楽しんで観れた。

ちょっと、『カリオストロ』の姉妹編みたいなテイストも感じましたしね。

大塚康生さんが関わってる事からキャラクター設定が、初代や、カリオストロ系になっているのも間違いなく、本作品への好感持ってる要因です。

大塚氏は東映入社前の時代に、元は厚生省の採用試験を受けて、関東の麻薬取締官事務所で勤務実績が有るという変わり種で、その時代の知識を活かしてもらうべくルパンの初期段階からの抜擢だったとか。

それで1stシリーズ演出・監督の大隅正秋氏から、実在する自動車や銃や時計といったアイテムを登場させてリアリティ持たせるよう指示を受けて、ルパンのワルサーP38 ac41ミリタリー、ガンマンの次元には威力の凄い S&W M19 コンバット・マグナム 4inch、峰不二子は小型で隠し持ち取り出しやすいFN ブローニングM1910など、それぞれの個性に合わせてコーディネートした人物こそが大塚氏なんです。

麻薬取締官時代には、押収拳銃のスケッチや分解掃除もしたというから、細部までディテールも凄かった。
”TVマンガ”でワルサーP38が「ショート・リコイルして排莢している」のなんて、生まれて初めてこれで観て知った(というかメカニズム理解した)、それをスローで描写して見せるレベルに感動というか、驚愕しか無い。
そんなの、その当時にはあり得ないことだったんですね(今でこそ、そんな事と思われるでしょうが)、恐らくここから始まったのに違いないでしょう。
恐るべき人だと思いますよ。

そもそも大塚康生さんがルパン・アニメの、銃・車などのアイテム・メカ設定の基盤を決定付けたその人、という事なんです。

『ルパン三世』の劇場版を作ることになった際には大塚氏の方から宮崎氏に声かけし、それにより宮崎氏の長編映画初監督作となる『カリオストロの城』が実現したという経緯だったのであり、ここでも大塚氏は作画監督してるくらいなので、『カリオストロ』の姉妹編感も当然といえば当然。

実は大塚氏こそが、元祖的にごく初期から関わってルパンの基礎を築いた、ミスター・ルパン的立役者と言えるように思う。

大隈氏は視聴率不振で1stの前半で降板、後半にテコ入れで宮崎駿・高畑勲氏にバトンタッチしたが、それらにずっと関わって、映画版企画『カリオストロ』と『風魔一族』にまで携わって来た御仁なんですから。
重鎮ですよね、ルパンの。

それに、なんかのシリーズの低評価に甘んじてたヤツみたいで、唯一無二の特別感は逆に愛され映画に転じるのアリかなと。

なんせ、初代ルパンの本放送リアル視聴世代なもんで。
ルパンの中でも好きな一本なんですね、この作品。

アンディ・ロビンソン
pipiさんのコメント
2023年10月1日

アルカディアにもコメントありがとうございます!
私の松本作品No.1は「帰らざる時の物語」No.2が「ガンフロンティア」です。(昭和52年の文庫版です。今は2万円超えらしいですがもちろん売る気はありませんw)
ですからトチロー&ハーロックはもちろんガンフロンティアのイメージ。その後の作品にシヌノラが登場しないのが残念です。(ハードコアなお色気シーンもありましたね。上から下から飲まされるとか)

ピュンピュン丸、そうなんですねー。
私が物心ついたのは第二期以降なので12作で打ち切りは知りませんでした。もっとも一期に生まれていたとしても当時は札幌育ちだったので放映していませんがw

渋谷東映、閉館しましたかー!
この10年、関西に来ていたので知りませんでしたー。頻繁に東京に行ってはいますが、わざわざ関東で映画を観ることはなく渋谷も車で移動してしまうので。
渋谷松竹のあったところですよね。
中学生当時、渋谷・原宿・新宿歩きを始めて(自宅は横浜でして)その時に地図を頭に叩き込む手がかりとしたのが映画館と書店なんです。(ナウシカやアルカディアの頃です)
90年以降は渋谷よりも銀座の映画館に行く事が多く、東急文化会館が閉館してからは益々渋谷から足が遠のいていました。(我が青春の渋谷、ではあるんですが。ちょっと空気感も変わりすぎましたしね)

ではでは懐かしいお話をありがとうございました。

pipi
pipiさんのコメント
2023年10月1日

一言お礼申し述べたくレビュー追いかけて参りました。(ストーカーじゃないのでご心配なく)

CDへのご厚情ありがとうございます。仕事中で返信出来ず、かつ、現在子供達の学費と義両親の介護費用で趣味に予算を投じる余裕がまったくなく、教えて頂いてもすぐには買い求められなくてご迷惑をおかけしてしまうかも、、、それとも買っちゃうか?と逡巡していましたところ、ログインしてみればyour eyes only処理済で安堵した次第ですw
ご親切に深く感謝致します。
(とりあえず今は無しでwお気持ちだけ頂戴致しますね)

さて、風魔一族ですが確かに言われてみれば「女王陛下〜」のように不遇な作品でしたねぇ(笑)
奇遇にも本日放映されるようです。平成〜令和の評価、ちょっとシニカルに構えてしまいつつも楽しみですね。

pipi