喜びも悲しみも幾歳月のレビュー・感想・評価
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運命、出会いと別れ、行雲流水
Amazon Prime Videoで鑑賞。
灯台守夫婦の25年に渡る物語を、日本中に大ロケーションを敢行して描き出した感動巨編。高峰秀子と佐田啓二の心に沁みる名演を、木下惠介監督が抒情的な演出で魅せる。
セリフに何度か登場した、行雲流水と云う言葉がとても印象に残った。何事にも執着せず、自然の成り行きに任せる生き方はまさに灯台守のそれで、得も言われぬ感動を覚えた。
各地の灯台を転々としながら同僚やその家族と交流を深め、我が子を育み、喜びや悲しみ、出会いと別れを重ねながら生きる夫婦の姿はとても直向きで、人生の尊さを教えられた。
昭和7年
日本最初の洋式灯台である観音崎灯台。「死ぬまで一緒にいよう」と誓った新婚夫婦。ある日、藤井という女学校時代の同級生が訪ねてくるが、簡単に「狂ってる」という言葉を諌めるところ。辛い灯台守の夫婦の愛を教えてくれる。
北海道石狩に移った夫婦は長男・長女をもうける。最初の長女は産婆が間に合わず有沢がとりあげた。ここでは同僚鈴木の妻が病死するシーンが広大な北海道の自然に囲まれ、悲しさと幻想的な雰囲気が同居する。
昭和12年、日本の端っこ長崎の離れ小島の女島。初めての夫婦ゲンカ。戦争が始まろうとしているが、人とのふれあいがないところでは苦労も絶えない。
昭和16年、佐渡。真珠湾攻撃により第二次大戦に参戦した日本。兵役逃れで灯台守になったとバカにされた青年。兄さんが戦死して悲しみに打ちひしがれる。
昭和20年、御前崎。空襲に怯える家族。長崎で一緒だった野津が転勤で来るが、振られたとばかり思っていた正子と結婚したのだ。そして、米軍に狙われる灯台。日本中で何人もの灯台守が殉職する。このシーンが一番印象に残る。
昭和25年、志摩半島。11月1日が灯台記念日になった。光太郎も雪之も高校生。両親へのプレゼントがほのぼの。子供たちを大学へやる決心をする。
昭和29年、四国の男木島。光太郎が大怪我をして入院という連絡が入る。大学入試に失敗し、ヤケになって不良たちと付き合ってたため刺されたらしい。翌日、死亡。真面目一筋で船の安全を守ってきたのに、社会の病巣が家族を襲ったヒトコマ。
昭和30年、娘雪之に縁談が・・・
昭和32年、娘結婚。夫の海外勤務のためエジプトカイロ。警笛で見送る夫婦・・・人生、山あり谷あり、たった1回の見合いで生涯の伴侶を決めた高峰秀子演ずる有沢の妻が回顧するところがなんともいえない。
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