「松坂慶子の鼻に忍び込んだダリーが羨ましい」夜の診察室 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
松坂慶子の鼻に忍び込んだダリーが羨ましい
クリックして本文を読む
大映が末期にソフトポルノ路線を打ち出した際のシリーズの一編。
倦怠期や性の不一致etc.セックスについての悩みを持つ夫婦の相談を聞き、アドバイスする診療所が舞台の喜劇。
1960年代に流行した性交科学映画の和製パロディとも云える今作は、セックスという過激なテーマながらも、濡れ場はおろか、裸体の露出は一切無く、セックスのために右往左往する男女の滑稽さを笑うスタイルは落語の艶笑噺に近い。
笑いの質はドぎつく、クオリティは低いが、今作の魅力は、主治医の娘で助手であり、セックスに多感な今時の女の子を演じたデビュー直後の松坂慶子の可愛らしさに尽きる。
ミニスカートの看護婦や網タイツetc.セクシーなコスプレ衣装を着こなし、男共を手玉にする小悪魔ぶりは、既に大物女優の片鱗を伺わせる。
相手役がガンで急死した若き日の峰岸徹(隆之介)なのも感慨深い。
劇中でのセリフ「女はムードに弱く、男はヌードに弱い」は、今作におけるセックスに対する哲学とギャグが込められた一言として、印象強い。
その後の日本の性の価値観の変貌を皮肉っており貴重な作品なのかもしれない。
では最後に短歌を一首
『ご無沙汰の ベッドのカルテを 覗く夜 交わる指南 軋みを欲する』
by全竜
コメントする