アリゾナ・ドリームのレビュー・感想・評価
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三角関係+ギャロ
髭も剃って短髪で小綺麗なヴィンセント・ギャロを見れるのはこの作品だけかも、重要性を感じない役柄の割に目立つ存在感と『レイジング・ブル』や『北北西に進路を取れ』を完コピ?披露、一人で『ゴッドファーザー PARTII』を観ながらセリフを言ったり際立つキャラクターを演じている。
エミール・クストリッツァがアメリカで映画を撮るとジョニー・デップにフェイ・ダナウェイやリリ・テイラーとギャロ、ジェリー・ルイスまで集めてしまうキャスティングが粋で、ジプシーの音楽漂うサントラの安定感と小まめに入れてくる動物演出がクストリッツァらしい。
娯楽要素を含んだ大掛かりなシーンは影を潜め、難解では無いにしても小難しさが見え隠れする物語があるようでスンナリと受け入れられない世界観、飛行機の場面は『クロウ/飛翔伝説』のアレックス・プロヤスが撮った『スピリッツ・オブ・ジ・エア』みたいにも!?
NYで水産局の仕事をしていたアクセル。アリゾナでキャデラックを売...
NYで水産局の仕事をしていたアクセル。アリゾナでキャデラックを売れとすすめる叔父。客である未亡人と連れ子にあたるグレース。最初は未亡人エレインとできてしまうアクセル。手作りの飛行機でパプアニューギニアに行きたがるエレイン。何度も試作機で失敗し、大木に激突するまでが心地よい。アラスカを中心に魚が飛んでいく映像も良かったのに、叔父が死んでからは普通のドラマになってしまったような気がする。
『北北西に進路をとれ』『ゴッドファーザー』にこだわりを見せるヴィンセント・ギャロの演技も面白い。アメリカンドリームをおいかけて成功しても、それは夢でしかない。フランスから見たアメリカ社会への風刺ともとれる。アラスカでのジョニー・デップが真実なのか、どこまでが夢だかわからないという難解さ。自殺さえなければもっと評価してもいいかもしれない
アリゾナって言うよりニューメキシコだ。
なんだ?これ?監督やキャストの誰だかファンであればエコヒイキで得点をつけるのだが
映画視聴者目線でいけばかなりの低得点です。確かに独特なカメラワークとストーリーなんだけど何を何に伝えてたいのか全く分からなかったし夢とは何かを伝えたいと思うんだが不思議な空間が邪魔で心に伝わらなかった。他では評価が良かったみたいだけどどんな気持ちで評価が良かったのか知りたい。唯一音楽が良かったのが最後まで観れた気がする。映画Uターンのようにアリゾナは好きなんだがあまりアリゾナの雰囲気は出て来ずこれもつまらない原因の一つかも。観る人はよっぽどの感性の持ち主じゃないと途中で観るのやめると思います。
心の中も不毛の地になってしまった
1994年フランス映画。140分。今年40本目の作品。奇才エミール・クストリッツァ監督のアメリカを舞台にした作品で、恐らく唯一の英語による作品。主演はジョニー・デップ。
内容は;
1,NYで魚を計測する仕事をしている夢追い人の主人公は、不毛の地アリゾナで車の販売会社を経営する父の再婚のために帰郷する。
2, 主人公に跡継ぎを密かに望む父は、試しに会社のセールスマンをやってみないかと持ちかけ、彼は乗じる。
3, そして主人公は、空を飛ぶ夢を持つ再婚相手の女性と恋に落ちてしまう。
クストリッツァらしい祝祭的なタッチの中で繰り広げられる奇天烈な人間模様。しかし、今作は他のクストリッツァの作品と比べてかなり異色な仕上がりになっています。クストリッツァと言えばやはりヒューマンドラマが核にあるのですが、本作の場合はその奥に抽象的で民俗学的なテーマが色濃く流れています。
そして、それが観ててなかなかつかめない。
すると物語の流れが、頭の中で流れにならずぶつ切れ感がずっと続いているかのようになり、140分間がとても長く感じられるようになる。
クストリッツァ監督は、恐らくアメリカにおいて「夢」というものが歴史の流れと共に変容してしまったことを伝えたかったのだと思う。しかし、今作のもつメッセージが終始遠くにあるような感覚がして、正直わたくしは置いてけぼりになりました。
ワンシーンワンシーンはクストリッツァ監督らしい楽しい描写のオンパレードでそれなりに楽しめますが、それぞれのシーンがどこに向かおうとしているのか掴めない作品でした。
ちなみに本作はベルリン映画祭で絶賛されたらしい。そう考えると、わたくしのこの低い評価は単に映画を観る能力が不足している故のものです。それでも高評価をつけると嘘になってしまうのです。
前のゴダールは分らなくても面白かったが、これは分らなくて退屈だった。映画の感想を書くって難しいです。
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