吉原炎上のレビュー・感想・評価
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花魁の苦しみと怒りを描く
綺麗に生きるのは難しい場所で、まさに命をかけて懸命に生きなければならない人たちの物語。
明治期の遊郭は江戸期に比べて縮小傾向にあったようで、花魁道中もだいぶ久しぶりに行うという話があったように、最盛期はとっくに過ぎてたりもします。
遊郭で人気もあればまだしも、落ち目の場所で、なんでこんな辛い思いをしなければならないのか、女性たちの不満は爆発寸前でした。
主人公はその不満を花魁道中を実施することで果たすのだが、他の女性たちは命を落としてしまう結果となる。ほとんど悲劇でしかない。そんな場所ですら、花を咲かせようとする主人公の生き様は女として人間としての矜持や意地を感じた。
結果として、吉原炎上という形で、全ての遊女たちの怒りと不満の爆発を見るのである。しかし、あれは単なる火事というだけではない、感情を思い起こさせる。
主人公が燃える吉原を見て、微かに笑っているのは恐らく、苦しみの世界の消滅に対する愉悦を、感じているからでしょう。吉原炎上の言葉で、外しているのです。
遊郭は苦界とも言えるまさに女性の地獄。
まさに見るべき作品。
とにかく演技がすごい
一昔前の映画は苦手なのですが、そんなことを感じず楽しく鑑賞出来ました。
ただ、今の俳優と違って、みんな同じ顔に見えて誰が誰だか分かりませんでした。この時代の美人のカテゴリーはひとつだったのかなと感じました。
この映画の目玉は何と言っても体当たり演技です。迫力、思い切りがよくて、狂気もおぞましいほど感じました。
今の映画とは比較になりません。演技でかなりの高得点です。
主人公が恋する若さん、よく分からない謎の男でした。この男がいくら誠実だといっても、所詮吉原に来る男、いい人ではないことは百も承知。
でも、もしかしたら…なんて希望を持って迎えたラスト、まだまだ自分は青いなと思いました。
それでも腑に落ちなくて、他の方のレビューを読んで、やっと納得出来て、少しでも希望を持った自分のバカさに笑ったり。
吉原の疑似体験も出来て、いい映画でした。
吉原に生きる女のそれぞれの生き様
総合:80点
ストーリー: 80
キャスト: 80
演出: 70
ビジュアル: 80
音楽: 65
わざとらしい笑い方や大袈裟な台詞回しなどが三文芝居の舞台劇みたいでちょっと白ける部分もある。他の作品を見てもこれが五社監督のやり方なんだろうが、もうちょっと普通に演技できないのと見ていて感じる。
でもそれぞれの女の背負った不幸や、嫉妬・妄想・希望・辛さといった様々な感情の渦巻く日々の生活の描き方がなかなか見事。どうにもならないがんじがらめの状況の中でも、なんとか自分なりの幸せや自分なりの目的を追いかけようとする彼女らの生き様、あるいは場合によっては死に様がよく描写されていた。それは一時のきらめきであり空しさであり虚飾であり、しかし彼女らにとって現実に存在する日々である。衣装や舞台背景も良く作りこんでいたと思う。
2時間サスペンスの常連ばかり揃ってます!
今となっては実現不可能な、豪華俳優が勢ぞろい。
主役の名取裕子を始め、かたせ梨乃、西川峰子といった女優陣が、体を張った迫力の演技は圧巻です。
これだけでも観る価値はあります。
特に、西川峰子演じる小花の衝撃シーン…鳥肌ものです。
女の怖さや弱さだったり
田舎娘が花魁に成り上がっていく強さが見事に表現されています。
効果的に使われるBGM?が更に場面を盛り上げます。
「いかにも」な、昭和の映画らしい演出です。
女性は、登場する5人の花魁を、自分に重ねて見てしまうのではないでしょうか。
私は、かたせ梨乃演じる菊川みたいな友達が欲しいです。
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