劇場公開日 1968年3月20日

「妖怪裁き!」妖怪百物語 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0妖怪裁き!

2022年6月14日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD

楽しい

単純

東宝特撮天下時代、“ガメラシリーズ”で対して人気を博し、“大魔神シリーズ”で特撮と時代劇を融合させ成功させた大映。
続いて挑んだのが…
妖怪!
大映の“妖怪シリーズ”第1弾。1968年の作品。

昨今も様々なメディアに出没する妖怪。
ほとんどが現代劇だが、本作は時代劇。
科学など発展しておらず、迷信や奇怪事がまだ恐れられ、信じられていた時代。
妖怪たちのコンディションもバッチリ!

登場妖怪は…
ろくろ首、からかさ、のっぺらぼう、大首…。
ラストの百鬼夜行では、わんさか登場。さながら“妖怪大行進”。
妖怪たちは特殊メイクや着ぐるみやマペット操演で造形、演出。
残念ながら『大魔神』のような目を見張る特撮技術ではなく、ちとチープ。
でもその手作り感が“妖怪”という古きから伝えられる奇々怪々な存在に妙にハマり、素朴でユーモラスさも漂う。からかさと悪徳商人のバカ息子のやり取りに至っては子供向け。
怖さも皆無。でも唯一、ろくろ首は妖しさ満点。
妖怪総出のラストの百鬼夜行は、幻想的で“美”すら感じた。
10年以上前に一度見ていたが、細部は忘れたものの、ろくろ首や百鬼夜行のシーンは妙に覚えていた。

話は…
悪徳商人と奉行が貧しい下町の長屋と社殿を取り壊し、岡場所を建てようと計画。余興で“百物語”を催すが、一つの物語が終わったらろうそくの火を消さなければならない“憑きもの落とし”のおまじないをせず、ルールを無視する。以来、奇怪な事件が起こり始め…。

ここで印象的なのが、妖怪たちが見境なくではなく、悪人どもを襲う点。
『大魔神』然り。大映時代劇の“座頭市シリーズ”や“眠狂四郎シリーズ”のように悪人を叩き斬る、『水戸黄門』的勧善懲悪。
悪人には必ず天誅が下り、実は意外と時代劇の定石を踏襲。
子供には楽しいが、大人にはドキリとちと苦笑い…かも。

この年にTVアニメでお馴染み『ゲゲゲの鬼太郎』が始まり、世は妖怪ブームへ。
いつの世も人々を怖がらせつつ魅了する妖怪だが、このブームが台頭して怪獣ブームが下火になったのは、怪獣ファンとしては複雑…。

近大