雪の夜の決闘
劇場公開日:1954年2月3日
解説
「地獄門」の衣笠貞之助「唐人お吉」の若尾徳平の共同脚本を衣笠貞之助が監督、「魔剣」の竹村康和が撮影、「お祭り半次郎」の清瀬保二が音楽を受持った。「魔剣」の大河内傳次郎、「続砂絵呪縛 雪女郎」の黒川弥太郎、「日輪」の木暮実千代などが出演する。
1954年製作/87分/日本
劇場公開日:1954年2月3日
ストーリー
島流しの兇状持我孫子の長次は、意外の恩赦をうけて五年ぶりに女房おちかと会うべく江戸に急ぐ途中、下総の松戸で重病の女おゆきの臨終をみとってやり、遺児三吉を江戸橋場の弥五郎という親分の許にいる父親、仁吉まで届けてやる約束をした。幼い三吉は途すがら長次になついたが、江戸に着いてみると弥五郎とは女郎屋に高利貸の二股かけた冷血漢、娘おりん、養子の仁吉もまた親に似た非情な者どもである。独身と偽って入婿しただけに仁吉は三吉をどうしても我が子と認めない。長次は憤然として席を蹴った。弥五郎から借金のかたに店を渡すように迫られている小料理屋「河清」の清七は、かつて長次の弟分だったが、今は足を洗っておちかを女房にしている。と知って長次は裏切られた怒りを覚えるが、おちかから彼女が清七に救われたいきさつを聞き、改めて清七へおちかを譲る気になった。長次が店の件で弥五郎に掛合いにでかけたあと、借金のかたに弥五郎に売渡された娘おけいを追って、弥五郎の乾分たちが「河清」に踏込み、清七との間に乱闘となった。多勢に一人、清七は重傷を負い、おけいは連れ去られた。どさくさまぎれに三吉は長次を求めて外にとびだした。折しも長次は弥五郎をねじ伏せ、その面前で清七の借金証文を、またおけいの一件を知ると彼女をはじめ女郎たち全部の年期証文をも破りすててしまった。弥五郎や仁吉らは乾分たちを狩集めて長次に斬りかかる。折からの積雪に照りわたる月明りをあびて長次は颯爽と長脇差を引き抜いた。一番手の仁吉が斬込んできたとたん、三吉が長次を求めて泣きながらとびついた。